主要アセット週間騰落ランキング【2021年5月21日~5月27日】

 前週の世界株式市場は、米国のインフレ加速は一時的との見方から、FRBが早期の量的緩和縮小に動くことへの過度の警戒感が後退し、全体的に底堅く推移しました。5月前半に急落したNASDAQ総合指数や日本株、台湾株も戻り歩調が続きました。

 業種別に見ると、グローバルでは、通信サービス、一般消費財、資本財、情報技術などが堅調に推移しました。一方、公益などのディフェンシブ業種は軟調でした。

 日本でも、内需・ディフェンシブ業種は軟調でしたが、自動車・輸送機、電機・精密、機械などには買い戻しが広がりました。

(注)業種別株価は、グローバルがS&P Global 1200指数(GICS11業種)ベース、日本がTOPIX17業種ベース。業種表記は一部略称。為替ランキングは対円レートの騰落(プラスが円安)。直近値は2021年5月27日。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(山内 正一郎)

日本:米国の経済指標に注目が集まる

前週の振り返り

 FRB高官による量的緩和の早期縮小をけん制する発言が相次ぎ米国株が上昇する中、日経平均株価も堅調な値動きとなりました。

今週の展望

 米国のインフレ動向や金融政策の行方に注目が集まる中、経済指標等の発表が相次ぎます。米国では6月1日の5月ISM製造業景況指数、2日のベージュブックに加え、4日には5月雇用統計が公表予定です。インフレ加速による金利上昇には注意が必要ですが、景気回復を示す結果となれば、米国株だけでなく日本株の上昇要因にもなるため注目されます。

 日本では、4月鉱工業生産(5/31)、1-3月期法人企業統計(6/1)が注目されます。

(今村 允)

米国:史上最高値接近で警戒感も強まっているが

前週の振り返り

 長期金利の落ち着きと経済正常化期待で株価は押し上げられた一方、史上最高値接近で利益確定売りにも押されました。

今週の展望

 5月ISM製造・非製造業景況指数、5月雇用統計など重要指標が複数発表されます 。

 調査会社リフィニティブの集計では、21年1-3月期は、S&P 500 指数構成企業のうち476社が発表した段階で、87%で純利益が市場予想を上回りました。このためS&P 500 指数構成企業の業績予想は上方修正が続いています。

 上方修正が続けば、いずれ株価指数は高値を更新すると予想され、業績動向を引き続き確認していきたいと考えます。

(村山 誠)

新興国:感染最悪期を脱し、景気回復期待の強まるインドに注目

前週の振り返り

 欧米金利が低下傾向となる中で、新興国通貨は総じて堅調に推移しました。しかし、中央銀行副総裁が解任され、中銀の独立性への懸念が強まったトルコリラは軟調推移となりました。

今週の展望

 1-3月期実質GDPが31日にインド、6月1日にブラジルで、5月消費者物価が2日にインドネシア、3日にトルコで発表されます。

 インドは3月後半以降、新型コロナ感染が急拡大したため、4-6月期に景気への悪影響が顕在化すると見込まれます。しかし、感染は最悪期を脱しつつある上に4日の金融政策会合では金融緩和継続が見込まれ、景気回復期待が強まると見られます。

(服部 哲郎)

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