今週は4日(金)米国雇用統計、1日(火)ISM製造業指数といった重要指標の発表を控える。ドル円相場にもようやく動意が出てきそうだ。108-110円レンジからの明確な脱却を期待したい。リスクは110円台回復へのレンジ上振れ方向だろう。

 雇用統計は前回4月統計が市場予想を大きく下振れ、FRBの金融政策正常化への期待を低下させるとともに、供給制約やインフレへの懸念を強めただけに、注目度が高い。市場予想は65万人前後の雇用増加と、4月雇用統計に向けた100万人の雇用増といった高い期待値からは修正されており、ポジティブサプライズのハードルは下がっている。ただし、供給制約への懸念後退には失業率や労働参加率といった数字も重要となるだろう。米長期金利が1.6%前後と低位にあることから、米金利の低下余地はいずれにしろ縮小していると考えられる。雇用統計が上振れた場合には金融政策正常化期待が実質金利上昇による名目金利上昇圧力をもたらし得るが、一方で下振れた場合にも供給制約への懸念がインフレ期待を高め、名目金利上昇圧力となり得る。金利差への感応度の高いドル円相場には上昇圧力が掛かりそうだが、株価の反応などを見極める必要があろう。4日(金)パウエル議長講演は雇用統計直前となり、為替市場の反応を期待しにくいタイミングだが、2日(水)ベージュブックを含め、FRBからのコミュニケーションも引き続き重要だ。

※2021年5月31日発行「国際金融為替ウィークリー」より一部抜粋
※レポート本文は、画面下部からご確認ください。(有料会員限定)

ご投資にあたっての注意点