主要アセット週間騰落ランキング【2021年5月28日~6月3日】

 前週の世界株式市場は、コロナワクチン接種の進展や、経済正常化への期待感を背景に、新興国を中心に全体的に堅調な相場展開となりました。ただ、インフレ加速、金利上昇への懸念が重石となり、テクノロジーに代表されるグロース関連は上値の重さが目立ちました。

 業種別に見ると、グローバルでは、原油価格の上昇を好感し、エネルギーが相場上昇の牽引役となったほか、不動産(REIT)の上昇が目立ちました。半面、ディフェンシブや情報技術は軟調でした。日本では、自動車・輸送機、運輸・物流、エネルギー資源、不動産の上昇が目立ちました。

(注)業種別株価は、グローバルがS&P Global 1200指数(GICS11業種)ベース、日本がTOPIX17業種ベース。業種表記は一部略称。為替ランキングは対円レートの騰落(プラスが円安)。直近値は2021年6月3日。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(山内 正一郎)

日本:米国の消費者物価に注目

前週の振り返り

 米国でインフレ高進への懸念が残る一方、原油高や堅調な経済指標を受け米国株が上昇する中、日経平均株価は29,000円前後で底堅く推移しました。

今週の展望

 米国では10日に5月消費者物価が発表されます。発表を受け、複数のFRB高官が言及してきたようにインフレが一過性のものであるとの見方が強まれば、金融緩和策の早期縮小懸念が後退し、米国株や日本株の上昇につながるとみられます。またインフレ加速の一因である原油価格については、9日に米国で発表される週間石油在庫統計にも注目です。

 他方、日本の経済指標では、9日発表の5月工作機械受注速報が注目されます。

(今村 允)

米国:様子見姿勢が強まる可能性は考えられるが

前週の振り返り

 複数の経済指標で景気回復が示され、長期金利が上昇し、成長期待の高い銘柄群を中心に上値の重い展開となりました。

今週の展望

 5月消費者物価(10日)が発表されますが、4月は市場予想を上回り、相場も動いたことから、留意したいと考えます。

 米主要企業の1-3月期決算発表は概ね一巡し、企業のファンダメンタルズからの追加材料が乏しくなる一方、次週にFOMCを控え、様子見姿勢が強まるかもしれません。 

 しかし米景気拡大と共に企業業績は回復・拡大しており、いずれ株価は上昇基調に復帰すると予想され、引き続き投資機会を探っていきたいと考えます。

(村山 誠)

新興国:資源高が続く中、インフレ指標とロシアの金融政策に注目

前週の振り返り

 ブラジルレアルは市場予想上回る成長率の加速や利上げ期待を背景に上昇基調を強めました。一方、トルコリラはエルドアン大統領の利下げが必要との発言を受けて中央銀行の独立性への懸念が強まり下落しました。

今週の展望

 7日にロシア、9日にメキシコとブラジルで5月の消費者物価(CPI)上昇率が発表されます。原油などエネルギー価格が高値圏で推移する中、CPI上昇率の上振れに伴う追加利上げ期待は各国通貨の支援材料となるでしょう。

 11日に開催されるロシアの金融政策会合では、インフレ抑制のため、3月と4月に続く追加利上げが予想されています。

(野手 朋香)

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