今週最大のイベントは10日(木)ECB政策理事会となる。ラガルド総裁などの当局者は欧州金利の上昇に警戒感を強めており、市場ではパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の債券購入ペースは据え置かれるとの見方が強まっている。またECBは景気物価見通しにおいて2023年のインフレ見通し(ヘッドライン)を前年比1.4%と据え置くことで、現状ペースでのPEPPを継続する姿勢を強調すると見られる。タカ派メンバーの反発はサプライズとなりえるものの、ECBが強い姿勢で金利上昇を抑制するスタンスを示すことで、短期的にユーロ相場の上値が重くなるだろう。もっとも、ファンダメンタルズの改善が続く中で、中長期的にはユーロ高トレンドは継続すると見込まれる。

 米国では6月FOMCが近づく中でFRB高官による講演は予定されず、10日(木)CPIや11日(金)ミシガン大消費者センチメントにおける長期期待インフレ率、といったインフレ関連指標が注目となる。また、財政政策面ではバイデン政権がインフラ投資法案で共和党との合意に動くか、または民主党単独での採決に動くかなど、その戦略が注目される。

 日本からは8日(火)国際収支統計などフローデータが予定されているが、特に5月分の投資家別外債投資が注目される。週次データからは5月には日本人投資家が外債の売り越しに転じた可能性が示されているが、仮に年金勢が売り主体となっていれば、市場の年金フローの見方に一段の変化が生じる可能性がある。

※2021年6月7日発行「国際金融為替ウィークリー」より一部抜粋
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