ドル円相場は108-110円を中心としたレンジ相場を抜け切るには至っていない。米長期金利は1.5%割れまで低下しており、ドル円相場110円台定着の障害となっている。今週は多くの中銀会合が予定されており、特に16日(水)FOMCが最大の注目となる。当社ではテーパリング議論は6月会合では開始されないと見るが、議論開始に近づいていることが示唆されると見ている。また、短期的なインフレ見通し上方修正もあり、FOMC参加者の予想で23年のドッツ中央値が引き上げられ、23年中の利上げ開始の見通しが示される可能性もありそうだ。FOMCを前に米金利が大きく低下していることもあり、追加的な金利低下余地は限定され、ドル円についても下値は限定されよう。

 今週は政治イベントも注目される。バイデン大統領が就任後初の外遊を行っており、週末にかけて行われたG7首脳会議に加え、今週も多くの首脳会議が予定されている。15日(火)米EU首脳会議では貿易面での対立緩和が実現するかが注目される。また、バイデン米大統領は14日(月)トルコのエルドアン大統領と、16日(水)ロシアのプーチン大統領とも会談予定であり、緊張を抱える米国との関係に修復の兆しが見られるかが焦点となる。G7首脳会議を中心に対中強硬姿勢も強まる可能性があり、中国側の反応も注目されよう。

 日本では18日(金)日本銀行金融政策決定会合が予定されているが、為替相場への影響は限定的だろう。16日(水)貿易統計で原油価格上昇や半導体不足の影響がどの程度表れるかが需給上は注目となる。ワクチン接種が進む中、20日に期限を迎える緊急事態宣言を延長するかの決定が今週中にもあるだろうが、いずれの結果となってもドル円相場の反応は限定的と見る。また、野党が内閣不信任案を提出する可能性があるが、菅政権は五輪後の9月めどの解散総選挙を考慮している可能性が高いと考えられ、否決で終わる可能性が高そうだ。この場合、為替へのインパクトも限定的だろう。

※2021年6月14日発行「国際金融為替ウィークリー」より一部抜粋
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ご投資にあたっての注意点