主要アセット週間騰落ランキング【2021年6月11日~6月17日】
前週の世界株式市場はまちまちの値動きとなりました。FOMCで2023年からの利上げ示唆を受けてNYダウは下落しましたが、長期金利の低下を受けてNASDAQ総合は底堅く推移しました。為替市場ではドルが上昇し、NY金先物は急落しました。
業種別に見ると、グローバルでは、情報技術が堅調に推移しましたが、素材、金融、資本財、エネルギーなど、景気敏感セクターを中心に総じて軟調でした。一方、日本では、エネルギー資源、自動車・輸送機、電機・精密、金融(除く銀行)、食品など、幅広い業種が堅調に推移しました。
(注)業種別株価は、グローバルがS&P Global 1200指数(GICS11業種)ベース、日本がTOPIX17業種ベース。業種表記は一部略称。為替ランキングは対円レートの騰落(プラスが円安)。直近値は2021年6月17日。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成
(山内 正一郎)
日本:日本の消費関連の統計や主要国のPMI速報値に注目
前週の振り返り
ワクチン接種の進展や円安ドル高が下支えとなった一方、FOMC後の米国株安が重石となり、日経平均株価は上値の重い展開となりました。
今週の展望
日本では、5月全国百貨店売上高(22日)、5月全国スーパー売上高(24日)など、消費関連の統計が発表されます。6月後半から本格化する小売企業の決算発表を前に、これらの統計に注目が集まります。
主要国では6月マークイットPMI速報値(23日)が発表予定です。米国の5月分では製造業とサービス業が共に好調な結果となりました。経済活動が正常化に向かっているため、引き続き高水準を維持できるか注目です。
(今村 允)
米国:今週もインフレ関連指標を注視
前週の振り返り
FOMCを受けて景気敏感株は下落しましたが、長期金利低下で成長期待の高い銘柄群は上昇しました。
今週の展望
FOMCでは2023年利上げの可能性が示唆されましたが、米経済回復に伴う金融政策正常化が目的とみられます。インフレ予測が2021年は引き上げられましたが、翌年以降は鎮静化する見通しを示し、FRBはインフレは一時的との見方を変えていません。
今後インフレが加速し、FRBがインフレ抑制に政策転換する必要が出てこないか、個人消費支出・所得統計と合わせて発表される、FRBが重視するコアPCEデフレーターが注目されます。
(村山 誠)
新興国:インフレ加速を受けたメキシコ中銀の金融政策に注目
前週の振り返り
新興国通貨はまちまちの展開となりました。ブラジルレアルは0.75%ポイントの追加利上げに加え、声明文でインフレ見通しが悪化する場合には利上げペースを加速する可能性が示唆されたことを受けて一段高となりました。一方、トルコリラは、政策金利が据え置かれるも、利下げ懸念が燻る中、下落しました。
今週の展望
24日にメキシコで金融政策会合が開催されます。市場では政策金利据え置きが予想されていますが、5月にエネルギーや生鮮食品などを除いたコア消費者物価上昇率も加速を示したことを受け、同国中銀がインフレ警戒姿勢を強めれば、メキシコペソの追い風になるでしょう。
(野手 朋香)