6月FOMCでのタカ派サプライズをこなし、金融市場は安定感を取り戻しつつある。米S&P500指数はFOMC前の水準を回復し、史上最高値を更新した。米10年債利回りは1.5%台前半に留まっているが、鮮明なのが2年や5年金利の高止まりだ。ドル円相場は米5年金利への感応度が高く、6月FOMCを経てドル円相場は上昇リスクが高まったとの評価が妥当だろう。ドル円が昨年3月以来となる111円台回復となったことに違和感はない。

 今週の最大の焦点は2日(金)米雇用統計となる。現時点の市場コンセンサスは70.0万人の雇用増と5月の55.9万人増からの加速が見込まれている。FRBの政策姿勢への影響という点では、雇用者増加数に加え、供給側の影響を受ける賃金上昇率や失業率、労働参加率も重要になる。労働市場における供給制約の完全な解消は時期尚早だろうが、解消の兆しが強まれば、より持続的な景気拡大への期待から7月FOMCでのテーパリング議論の本格開始の機運が高まろう。株価などの反応を見極める必要はあるが、ドル円相場には追い風となり得る。

 日本では2日(金)GPIF(年積立金管理運用独立行政法人)運用状況で3月末時点のポートフォリオが判明する。新年度入り後、年金勢の外債及び外株投資は弱い状況だが、その背後にやはりGPIFのポートフォリオシフト完了があったかを確認したい。1日(木)日銀短観では年明け後の円安基調を受け、本邦企業の想定為替レート(前回時点の21年度ドル円想定は106円07銭)にどの程度の動きが出るかが注目される。

※2021年6月28日発行「国際金融為替ウィークリー」より一部抜粋
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