森永乳業(2264) 食料品

50年以上の研究成果が実を結ぶ

 当社は、1969年にビフィズス菌536を発見して以降、50年以上に亘り、ビフィズス菌を研究している。また、ドイツのミライ社においてラクトフェリンの研究も行うなど研究成果を活かして事業に繋げている。

 BtoC(消費者向け)事業の基幹ブランドは、チルド飲料では「マウントレーニア」、アイスクリームでは「パルム」、「ピノ」、「MOW」、ヨーグルトでは「ビヒダスヨーグルト」、「パルテノ」、「森永アロエヨーグルト」、乳製品では「フレッシュモッツァレラ」、などである。その他に業務用向けに乳製品や機能性素材を販売するBtoB(企業向け)事業、育児用粉ミルク等を販売するウェルネス事業、海外事業を手掛ける。

国内の収益性改善、海外成長力を評価

 野村では、営業利益は2022.3期の317億円から24.3期に368億円へ年率8%増益と予想する。その要因として、①20.3期に大型投資を終え、工場を集約させることで、22.3期に減価償却費や人件費を削減できるため前期比15億円の増益要因となること、②国内では、機能性素材を活かし、血圧・血糖値・中性脂肪対策に効果がある「トリプルヨーグルト」や「森永ビヒダスヨーグルト便通改善/ KF」など機能性ヨーグルトを拡販することで、製品構成の改善が期待できること、③中国の粉ミルク向けにビフィズス菌やラクトフェリンの売上が拡大することで、海外事業が成長すること、等が挙げられる。

(迫間 正)

日本セラミック(6929) 電気機器

自動車用センサに強いセンサメーカー

 自動車用の超音波センサ、防犯や照明、家電向けの赤外線センサ等を手掛ける。超音波センサは自動車の前後方部に搭載され、駐車時に障害物への接近を検知し運転手に警告する等の安全用途で使用される。

 Q1(1~3月期)は、安全用途向け超音波センサや防犯及び家電用途の赤外線センサ需要が好調に推移した。両センサとも、顧客ニーズを反映した製品及びサービス提供が奏功し、シェアが上昇傾向にある。

 21.12期は半導体不足による自動車の減産影響を一時的に受けよう。ただし、年後半より挽回生産とともにセンサ需要は回復すると見込み、営業利益は前期比32%増の37.5億円と過去最高益更新を予想する。

安全と環境規制を追い風に成長へ

 近年、自動車用超音波センサは、障害物への接近通報だけでなく、自動駐車用途にも採用されており、検知エリアの増加とともに台当たりセンサ搭載数は増加すると見込む。また、国土交通省は自動車後方部へのセンサ及びカメラの装着義務化を表明した。野村では、安全用超音波センサの需要が年率5~10%程度で伸びると予想する。

 電動車のバッテリー監視やモータの電流量を検知する電流センサにも注目。下期以降中国顧客への量産出荷が始まる模様で、今後も納入実績と豊富な製品ラインナップを強みに拡販が進もう。各国の環境規制強化も電動車普及に追い風となり、同センサの需要の高い成長を見込む。

(石本 渉)

KDDI(9433) 情報・通信

携帯事業の構造改革が進展

 携帯各社が2021年春に携帯料金値下げを発表したが、当社は本体で提供するUQ モバイルの競争力を本格的に高める施策を導入している。UQ モバイルで最も需要がある15GB /月のデータプランでは、料金の安さと未使用のデータ量の繰り越しをユーザーに訴求しているが、電力サービスに加入すると追加の料金割引を享受できる。

 また、UQ モバイルの店舗数は20年12月の300~400店から21年5月末には約2,000店に達しているが、7月上旬には全auショップ内でUQ モバイルの取扱いが開始され、UQ モバイル専門店200店を加えると総店舗数は2,300店まで拡大する予定である。

23.3期は営業増益率が高まる見込み

 22.3期と23.3期は携帯ARPU(顧客一人当り月間収入)の低下を各々700億円、900億円の費用削減で吸収する見込みである。非通信サービスでは、クレジットカード契約数の拡大に加え、デジタルコンテンツを含む課金代行サービスの利益貢献が大きいと予想する。法人サービスでは、利益率の高い携帯契約や海外データセンター事業に加え、国内IoT(モノのインターネット)事業の拡大、先行投資期の海外IoT 基盤事業の利益改善、などが見込めよう。

 このため、23.3期の営業利益は前期比7%増益を予想しており、継続的な増配や自己株式取得などの株主還元強化も注目点となってこよう。

(増野 大作)

※野村週報2021年7月12日号「銘柄研究」より

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