三菱ケミカルホールディングス(4188) 化学

国内最大の総合化学メーカー

 三菱化学・三菱レイヨン・三菱樹脂が統合した三菱ケミカルが中核である国内最大の総合化学メーカー。石油化学ではMMA(メタクリル酸メチル)で世界首位。2019年度に田辺三菱製薬を完全子会社化。日本酸素ホールディングスも子会社である。

 全社的に業績は好調であろう。MMA 需要は塗料向けなどで改善傾向が見られる。自動車・半導体製造装置向けエンプラや工業・ポリエステルフィルムなどのフィルムズ&モールディングマテリアルズ、半導体用洗浄サービス、EL(電子工業用高純度)薬品などのアドバンストソリューションズなどの機能商品の需要もそれぞれ堅調に推移していると予想される。

新経営体制による構造改革を注視

 当社の収益性の改善を求めている指名委員会による選任議案を経て、ベルギー出身のジョンマーク・ギルソン氏が21年4月に社外から当社社長に就任した。

 6月のセルサイド・アナリスト向けミーティングで、ギルソン氏は投資家の期待に応えるため、ポートフォリオ改革等を含めた施策で収益性や低炭素の点で勝ち組になるために尽力するとコメントしている。

 また、伊達英文CFO は社長の戦略のスピード感にはやや驚いたが、従来からの施策であるポートフォリオ改革を加速させたいと言及した。グループの役職員一体となった石油化学や炭素の事業見直し等に期待したい。

(岡嵜 茂樹)

三浦工業(6005) 機械

新型コロナ禍でもメンテナンスは伸長

 国内貫流ボイラ市場のシェア55%を誇る首位メーカー。当社の特徴は、情報技術を活用した高収益メンテナンス事業である。当社は機器にセンサーを設置、24時間のオンライン監視体制で事前に異常を検知し、故障停止を未然に防ぐ“ビフォアメンテナンスサービス”を強みとする。例えば更新期間が15年のボイラの場合、契約開始年から15年目にかけてメンテナンス料金が段階的に上昇していき、安定的なキャッシュフローが生み出される仕組みとなっている。

 新型コロナ禍において売上は機器が減少する中、メンテナンスは伸長した。2021.3期において、国内メンテナンス事業が全社営業利益の53%を占め、業績を下支えた。

設備投資回復で機器販売増加を予想

 国内を例とした場合、ボイラ顧客の業種では製造業が8割を占め、食品、鉄鋼、機械、電機、化学、繊維等と多岐にわたる。残りの2割は非製造業向けで、クリーニングが多く、オフィスビル、病院、学校等が含まれる。22.3期は、設備投資意欲の回復に伴い、新型コロナ禍で抑えられていた更新需要の発生により、機器販売が増加に転じると予想する。

 営業利益は22.3期に前期比9%増の194億円、23.3期に同20%増の232億円、24.3期に同14%増の265億円と、国内外の機器販売に加えて、国内ランドリー事業の回復に伴う利益寄与を予想する。

(王 博瓊)

ニトリホールディングス(9843) 小売業

商品企画から販売まで一貫展開

 家具やインテリア用品等を販売する「ニトリ」業態を中心に、2020年度末で国内外において722店舗を展開する。商品企画から製造、物流、販売を一貫して手掛けることで、高品質・低価格を実現している。高い利益創出力に特長があり、他の小売企業を上回る収益性を持つ。また、21年1月にはホームセンター用品や家具等を手掛ける島忠を子会社化している。

 商品力の強化や販売効率向上、小型の店舗フォーマットの確立等を背景に、従来よりも小商圏への出店が可能となっている。地方・都市部ともに、国内での出店余地は依然として大きい。国内での出店を軸に、中期的な業績拡大確度は高いだろう。

事業領域拡大や海外動向が注目点

 ニトリの商品力を活かすことで、島忠の収益性改善が進むと野村では見ている。島忠が販売する標準的な家具やホームファッション関連商品にニトリのPB 商品を活用することで、島忠の収益性は中期的に向上しよう。また、購買統合による経費削減なども予想されよう。

 海外では、中国での新店の販売が順調と見られる。組織や人材面の強化を進めてきた成果が出始めていると野村では見ており、今後の出店拡大に向けた素地は整ってきている印象を受ける。

 島忠や中国の取り組みは順調で、改善のスピードを加速することができるかが、今後の注目点となろう。

(山岡 久紘)

※野村週報2021年7月26日号「銘柄研究」より

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