ビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下ゲイツ財団)は、マイクロソフト元会長のビル・ゲイツ氏とメリンダ・ゲイツ氏が創立した世界最大級の慈善基金団体である。

 2019年において、ゲイツ財団は約51億ドルの投資と寄付を通じて支援を行っている。支援先は、グローバル開発関連が最も多く(約17億ドル)、次いでグローバルヘルス関連であり(約15億ドル)、これら2つの分野で約3分の2を占めている。

 グローバル開発関連では、世界で最も貧しい地域への健康製品とサービスの提供に焦点を当てており、図書館支援や母子の健康・小児保健などへ支援を行っている。これらは、SDGs(持続可能な開発目標)の1:貧困をなくそう、3:すべての人に健康と福祉を、4:質の高い教育をみんなに、該当する。またポリオ撲滅へ向け世界ポリオ撲滅イニシアティブへ支援している。ポリオは1988年には125カ国以上で流行していたが、2020年では野生株ポリオはアフガニスタンとパキスタンのみとなっている。

 近年支援額が増加している分野がグローバルヘルス関連である。20年3月にはマスターカードなどと約1.2億ドルの寄付を行った。同年12月にはCOVID-19検査や治療、ワクチン開発と公平な配布の加速に対し合計17.5億ドルを約束した。この迅速な対応ができたのは、これまでワクチン開発や製造におけるプラットフォームに対し支援・投資をしてきたことが大きい。

 そのほか、新興国の女性と子供の死因で多いマラリアなどの感染症の罹患者数を減らし、世界の健康格差を縮小するために、ユニセフやWHO(世界保健機関)などと協働している。これは、SDGs の3と10:人や国の不平等をなくそう、に該当する。

 SDGs を考慮した投資を行う際には、こうしたゲイツ財団の投資先に注目してはどうだろうか。

(野見山 翔太)

※野村週報2021年8月2日号「資産運用」より

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