米国市場(9/15)の相場動向

 15日の米国株式市場で、NYダウは前日比+236.82ドル(+0.68%)の34,814.39ドルと反発しました。S&P500指数は前日比+0.84%、ナスダック総合指数は同+0.82%と主要3指数は上昇しています。ナスダック総合指数は6営業日ぶりの反発となりました。この日は、市場予想を大幅に上回ったNY連銀製造業景況感指数や原油高を受け、景気敏感セクターを中心に堅調な推移となりました。

 この日発表された中国の8月小売売上高と8月鉱工業生産はいずれも市場予想を下回り、中国経済鈍化への警戒感が高まりました。しかし、午前8時半発表の9月のNY連銀製造業景況感指数が市場予想を大幅に上回ったのを受けて、米国の景気鈍化懸念はやや後退しました。続いて発表された8月鉱工業生産はほぼ市場予想並みで、これを受け米国株式市場は小確りで寄り付きました。

 エネルギーや素材、金融、資本財などの景気循環が小確りの出足となった一方で、公益や一般消費財、コミュニケーション・サービスがやや軟調に開始して、S&P500はしばらくは前日終値付近でもみ合いとなりました。しかし、午前10時半にEIA(米国エネルギー情報局)が発表した週間原油在庫の減少を受けてWTI原油先物価格が73ドル付近まで上昇した中で、エネルギーセクターが上昇し、つれて素材や資本財、金融などの景気循環株が確りとなる中で、米国株式市場は上げ幅を広げる推移となりました。午後には、情報技術やコミュニケーション・サービス、一般消費財、生活必需品なども堅調に推移し、主要3指数は軒並みこの日の高値圏で取引を終えました。

本日の相場動向

 日経平均先物CME終値は30,415円となりました。日経平均株価の9月の配当落ち約182円を考慮した場合、実質的なCME終値は30,597円と試算され、日経平均株価の前営業日終値(30,511円)を上回る水準です。米国市場の流れを引き継ぎ、日本市場でもエネルギーや素材などのセクターが堅調なスタートとなりそうです。

 河野行革担当相は、金融政策について「新型コロナウイルス禍だから緩和的なものを続けざるを得ない」と発言しています。総裁選に正式に出馬している3候補の中で、河野氏は金融緩和に対して最も消極的との見方が強かったですが、仮に河野氏勝利の場合でも、早期に金融緩和が巻き戻される可能性は限定的で、特に来年の参院選までは景気回復に注力され、金融緩和持続が政治的にも選好されやすいと考えられます。昨日は日銀黒田総裁も、必要な場合は金利低下を含めた緩和措置を講じる姿勢を示しています。株式市場にとってはポジティブだと言えるでしょう。

 中国市場に関しては、昨日公表された8月中国経済指標が市場予想を軒並み下振れました。感染拡大による散発的なロックダウンが行われたことを受け、特に小売売上の減速が目立っています。9月にかけても中国経済の回復ペースは鈍化する公算が大きくなっています。不動産業界での信用リスクの高まりもあり、当面は中国市場への警戒が必要でしょう。

 昨日発表された9月のNY連銀製造業景況感指数は市場予想に反し、大きく改善しました。8月鉱工業生産も市場予想並みの堅調な伸びを記録しています。NY連銀製造業景況感指数の内訳を見ると、新規受注DIなどを中心に改善していますが、販売価格や入荷遅延などのDIも過去最高となっており、供給制約の継続やインフレ圧力の高止まりを示唆しています。9月FOMCを前に、FRBのインフレへの警戒を維持させる内容と言えるでしょう。本日もフィラデルフィア連銀製造業景況感指数や小売売上といった米指標の発表が予定されており、米景気への期待が維持されるかどうかが注目されます。

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