米国市場(9/16)の相場動向

 16日の米国株式市場で、NYダウは前日比-63.07ドル(-0.18%)の34,751.32ドルと小幅に反落しました。S&P500指数は前日比-0.15%、ナスダック総合指数は同+0.13%となりました。この日は、米長期金利の動きが株価動向を左右しました。

 寄り前に発表された週間新規失業保険申請件数は33.2万件と、市場予想に比べやや多い結果となりました。一方、こちらも寄り前に発表された9月のフィラデルフィア連銀景気指数は30.7と、前日に発表された9月のニューヨーク連銀製造業景気指数に続き、大幅に市場予想を上回ました。また、同時発表の8月の米国小売売上高も前月比+0.7%と市場予想に反して増加となりました。

 これらの経済統計を受け、米国10年債利回りが上昇したことに加え、民主党の雇用・インフラ投資法案が成立に向けてやや難航していることや、ブルームバーグが「中国住宅都市農村建設省は主要銀行に対し、中国恒大グループが20日までに借り入れの利息を支払えないことを通知した」と報じたことなどもあり、NY主要指数は軟調に推移しました。

 個別株では、マカオ当局がライセンスに関するルールを見直すとの報道が伝わり、ウィン・リゾーツやラスベガス・サンズなどのカジノ関連株が下落しました。

本日の相場動向

 日経平均先物CME終値は30,335円となりました。日経平均株価の9月の配当落ち約182円を考慮した場合、実質的なCME終値は30,517円と試算され、日経平均株価の前営業日終値(30,323円)を上回る水準です。

 景気回復のモメンタムが後退していましたが、最近の経済指標は持ち直しを示唆しており、ブルームバーグ算出の米景気サプライズ指数は8月27日以来のプラス圏を回復しました。本日のミシガン大消費者信頼感指数も市場予想並みないしは上回るようだと、米経済への懸念は大きく後退しそうです。ただし、強めの経済指標はFOMCタカ派化懸念を喚起することもあり、昨日は米国株が調整するなど、リスク心理への影響も考慮する必要があります。

 為替市場で円安ドル高が進行していることから、輸出関連セクターの上昇が期待されます。

 しかし、輸出関連の代表格である自動車・自動車部品セクターには注意が必要です。16日に発表された8月の欧州主要18ヶ国の新車販売台数(乗用車)は、前年同月比-20%の62.8万台となりました。半導体不足で新車の供給が遅れていることが要因です。これを受け、欧州市場では自動車・同部品株が下落しました。日本勢では、トヨタ自動車が同-0.4%と小幅な減少にとどまり、販売シェアを1.3%ポイント上昇させ、全体の6位に浮上しました。一方、日産自動車は同-38%、ホンダは同-31%と大きく減少しています。半導体不足による供給不足はある程度市場では認識されていたと考えられますが、本日の自動車関連株の動向に注目が集まります。

 本日は、自民党総裁選挙告示日です。昨日、野田聖子幹事長代行が出馬を表明し、4名が候補者で総裁選が実施される公算が高まりました。本日は、立候補者の演説会や共同記者会見に注目が集まります。自民党総裁選に関して、9月14~16日にかけて野村證券で顧客サーベイ(日本の政治イベント)を実施しました。レポートでは主な結果として、「1) 次期首相としては河野氏を予想する向きが6 割以上、2)財政金融政策の姿勢は高市氏が積極的との見方が強い、3) 高市氏勝利時には最も株高・円安が進むとの見方が多い、4) 河野氏勝利の場合も株高期待は強い、5) 岸田氏及び河野氏勝利の場合はドル円・日本10年国債利回り共にレンジ圏を見込む向きが多い、6) 衆院選では自民党の単独過半数を見込む向きが過半を占め、 政権交代を予想する投資家はいない」などを挙げています。引き続き、政局をめぐる動向が日本市場に大きな影響を与えるとみられます。サーベイ実施後の昨日、野田聖子幹事長代行が出馬表明し、4候補での争いとなったことには注意が必要です。党員投票が割れることで、決選投票の可能性が高まったと言えます。河野行革担当相にとって不利に働く可能性があるでしょう。

 米国では本日、9月の消費者マインド速報値が発表されます。8月の米国小売売上高と同様に、市場予想を上回る結果となるか注目されます。

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