ドローン(小型無人機)は、国内ではこれまで、農業分野での農薬散布やインフラ設備の点検等で利用が進んできたが、足元、都市部での目視外飛行による利用拡大が見えてきている。

 政府は、「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」を設立し、ドローンの社会実装に向けたロードマップを作成、環境整備に取り組んでいる。

 このロードマップでは、ドローンの飛行状況によってレベル分けがされている。レベル1「目視内での操縦飛行」、レベル2「目視内での自動・自律飛行(操縦なし)」、レベル3「無人地帯での目視外飛行(補助者の配置なし)」、レベル4「有人地帯(都市部等第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)」と定義している。

 現在、政府は2022年度を目途に、レベル4の実現を目指している。レベル4では、有人地帯の第三者上空を目視外飛行するため、使用する機体の信頼性や操縦者の技量に加え、運航管理等が重要となる。

 レベル4の実現に向けて、政府は航空法の改正や、国産ドローン普及に向けた支援拡大に取り組んでいる。また、ドローンの機体認証(国等が検査を行い、技術基準への適合を認証する)、操縦ライセンス(技能証明)、運行管理のルール等、各種制度の導入を進めている。22年6月からはドローンの機体登録が義務化され、重さ100グラム以上の機体の所有者は登録番号の表示(22年6月以降の登録には小型無線機器「リモートID」の搭載)が必要となる。

 有人地帯での目視外飛行が実現すると都市部における物流をはじめ、警備、インフラ点検、災害時対応等で、ドローンによるサービスの広がりを見込めよう。

 既にドローンを活用した物流では、過疎地・離島物流、医薬品物流等で、自治体と企業が連携した様々な目視外飛行の実証実験が行われている。また、ドローンメーカーと物流事業者、航空会社等との提携や連携も進められている。

 ANA ホールディングスは、ドローン配送サービスの本格運用に向けて、人口集中地区を含む東京都郊外での実証をセブン-イレブン・ジャパン、ACSLと共同で21年11~12月に実施した。レベル4による配送サービス本格運用に向けた取り組みが活発化している。

(フロンティア・リサーチ部 田崎 僚)

※野村週報 2022年1月17日号「新産業の潮流」より

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