リサーチレポート「日本株ストラテジー – 金利観より「過去業績逆張り」の短期戦術」が発行されました。同レポートの冒頭部分を公開いたします。

日本株ストラテジー – 金利観より「過去業績逆張り」の短期戦術

発行日:2022年1月24日

日米株はFOMC姿勢に対して過不足なく織り込む

米株安は米金利上昇によるバリュエーション悪化で説明可能

 世界的な株安局面が続いている。1月21日時点の年初来パフォーマンスは、S&P500が-7.7%、TOPIXが-3.3%である。FRBが早期の利上げ開始およびバランスシート縮小(QT)の意向を示したことが最大の株安要因であるが、(1) 市場の「弱気」が主にバリュエーション調整に集中している、(2) 景気・業績見通しは安定している、(3) 米金利はすでにQTを概ね織り込んでいる、といった点を見ていく。3月末までの日本株戦略としては「過去業績への逆張り」を再確認する。

 まず、米金利と米株の関係をイールドスプレッドの観点からみると、昨年末から1月21日までの変化は、実質10年金利が-1.10%→-0.61%(+49bp)、S&P500の益回り(12ヵ月先Bloomberg予想)が4.66%→5.10%(+44bp)と、ほぼ同幅で上昇している。米株のバリュエーション調整は米金利上昇に即した範囲内で生じているといえる。TOPIXの年初来の下げ率がS&P500の約半分となっている点も、前者の後者に対するベータ値:0.60(週次、過去2年間で計測)と大きな矛盾はない。

業績モメンタムは低下しつつも世界景気の急速な悪化サインは見られず

 業績はどうか。日米の増益モメンタムをEPS(12ヵ月先Bloomberg予想)の前年比としてみると、日米ともにやや減速しているが高い増益ペースを維持していることがわかる(足下の日本企業の業績については22年1月17日付「日本株ストラテジー – Q3決算の見方とストラテジー」)。

 ちなみに、米景気のバロメーターとみなせるインフレ期待(10年BEI)もピークアウト感があり、マクロ景況感はミクロとおおむね一致している。グローバル景気が急激に悪化しているわけではない点は、実需を反映しやすい商品市況が軒並み上昇していることも傍証といえる。新興国通貨も年初からプラス圏で推移しているものが多い。

米金利はFOMCの政策変化に対して過不足なく織り込む

 日本株のバリュー/グロース相対株価も、米金利動向と矛盾していない。言い換えれば、米・日株価指数、日本株のバリュー/グロース相対パフォーマンスは、現時点までの米金利上昇を過不足なく織り込んでおり、今後も米金利の方向性に影響されやすいと考えられる。

 米金利、なかでも実質金利を占う上では、FOMCの政策姿勢が重要となるが、利上げについては1月21日時点で年内計98bpと、市場は25bpx4回の利上げをほぼ織り込んでいると見られる(FF金利先物から算出)。さらに、バランスシート縮小についても、野村が予想しているペース(21年末8.20兆ドル→22年末8.15兆ドル→23年末6.97兆ドル)であれば、過去の相関を踏まえても追加的な金利上昇圧力は限定的とみる。12月会合でFOMCはタカ派シフトを大きく進めたが、市場はそれに追いつき、かつ当面の姿勢変化をある程度は先取りしている公算が大きい。

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※3月末までの短期戦術「過去業績への逆張り」については、プレミアムプラン限定で公開しています。

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