企業買収は株式市場でも特に注目度の高いイベントの一つです。一般論として、買収提案が出た際の対象企業の株価動向はどのようなものになるのでしょうか。野村證券投資情報部の村山誠シニア・ストラテジストが解説します。

買収の実現性が株価動向のポイントに

 買収の実現性が高ければ、買収対象となる企業の株価は、買収提案価格に近づきます。また、当該企業について他の企業も買収に名乗りを上げて、買収合戦のようになれば、買収価格の上昇を見越して、株価は一段と上昇する可能性があります。

 一方、買収の実現性が低い場合には、株価は買収価格を下回る水準で推移するということもあります。買収の実現性が低い場合とは、買収する側の資金調達力に疑問がある場合とか、規制当局の認可がおりそうにない、などが例として挙げられます。

 規制当局の認可とは、買収によってその産業の独占・寡占度合いが高まることが危惧される場合、買収そのものが阻止される可能性があります。あるいは認可されるとしても、買収後に幾つかの事業部門を売却することを条件とするなど、当初の計画から大きな修正が必要となることもあります。この場合、買収価格の変更や、買収提案が実行されない可能性が意識されたりして、やはり株価は当初の買収価格を下回って推移するということもあり得ます。

(野村證券投資情報部 村山誠)

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