将来に亘り安定的な収益を得るには、長期分散投資が効果的だと言われている。

 長期投資は、投資の期間を長くして運用成績が良い年と悪い年をならすことで1年あたりの収益率を安定させる。また、運用益がさらに運用されて増える「複利効果」も長期間になるほど大きくなる。分散投資は、投資のタイミングや投資する国・資産などを分散することで、リスクを軽減させる。例えば、値上り益重視の株式と利回り重視の債券を組み合わせるなどで、ある資産が値下がりした場合に他の資産でカバーする効果が期待出来る。

 長期分散投資で資産を拡大している例としてGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に注目したい。GPIFは現役世代から集めた年金保険料のうち年金の支払いなどに充てられなかったものを年金積立金として管理・運用する公的機関である。運用する際に基本となる資産構成割合は、2013年6月までは国内資産が8割近くを占めていたが、段階的に外国資産の割合を増やし、20年4月からは国内外の株式・債券の4資産を25%ずつ組み入れている。

 年度別の収益率をみると、IT バブル崩壊やリーマンショックなどでマイナスになった年がある一方で、新型コロナウイルスの影響から市場の回復が鮮明になった20年度は+25%を超えるなど、1年単位で見ると収益率のブレ幅は大きい。しかし累積収益額は増加傾向にあり、2001年度から20年度までの累積収益額は約95.3兆円、各年度の収益率を幾何平均すると+3.61%になる。長期間投資をする事で収益がマイナスの年をプラスの年が補ったと言えよう。

 老後に向けた資産形成などでは安定的な運用が求められる。長期分散投資を基本として安定的な収益の獲得を目指すGPIF の運用スタイルは参考になろう。

(投資情報部 谷 晶子)

※ 野村週報 2022年6月13日号「投資の参考」より

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