米国市場の動向

FOMC0.75%ポイントの利上げ決定でも株価は上昇

 15日の米国株式市場で、NYダウは前日比+1.00%、S&P500指数は同+1.45%、ナスダックは同+2.50%となり、主要3指数は揃って上昇しました。FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表直後は一時下落しましたが、その後、上昇に転じました。

 米政策金利の引き上げ幅は0.75%ポイントで、フェデラルファンド金利誘導目標は、従来の0.75-1.00%(中央値0.875%)から1.50-1.75%(中央値1.625%)に引き上げられました。ただし、10日発表の5月CPI(消費者物価指数)など、直近発表された複数のインフレ関連指標でインフレ加速が窺える内容だったことを受けて、米国株式市場は直近大きく下落していました。このため、6月FOMCにおける利上げ幅が0.75%ポイントとなることは、既に織り込まれていたと推察されます。

相場の注目点

今後の政策金利見通しとパウエル議長コメントは要チェック

 今回のFOMCで焦点の一つとなっていたのが、FOMC参加者の今後の政策金利見通しです。

<2022年末>
 3.25-3.50%、中央値3.375%となっています。前回、今後の政策金利見通しが示された3月時点では1.75-2.00%、中央値1.875%でしたので、今回、大幅に引き上げられています。

<2023年末>
 政策金利の予測中央値は3.75%です。3月時点では予測中央値は2.75%でした。こちらも大幅な引き上げとなりました。

<2024年末>
 政策金利見通しは3.25-3.50%、中央値3.375%で、2023年末の水準からの低下が予想されています。3月時点では、2024年末の予測中央値は2.750%で、2023年末の水準から横這いとなっていました。

<長期(Longer run)>
 中央値は2.50%となっていて、3月時点の2.25-2.50%、中央値2.375%から引き上げとなっています。ただし、今回示された2023年末、2024年末の水準よりも、低い見通しが示されました。なお3月時点でも、長期は2023年末、2024年末の水準よりも、低い見通しが示されていました。

<パウエルFRB議長コメント>
 利上げのペースは今後のデータ次第で、0.75%ポイントの利上げ幅が一般的になるとは思わないと述べ、次回FOMCでは0.50%ポイントか0.75%ポイントのいずれかが適用される可能性が高いとの見方を示しました。

市場の関心事は、FRB高官発言と24日(金)期待インフレへ

 当面の市場参加者の大きな関心事であった6月FOMCは、金融政策の変更という点からはほぼ想定通りに通過しました。ただし、パウエルFRB議長も会見の中で、利上げのペースは今後のデータ次第としていることから、今後のインフレの状況によっては、状況が大きく変わる可能性には注意が必要です。

 今後のインフレの状況を確認するうえでは、24日発表の6月ミシガン大学消費者センチメント指数確報値に併せて発表される消費者の期待インフレ率や、30日発表の6月個人所得・消費支出統計と併せて発表され、FRBがインフレ関連指標として重視するコアPCEデフレーター(食品とエネルギーを除く個人消費支出価格指数)などが注目されます。

 また、FOMCが終了し、沈黙期間が終わったことで今後、パウエルFRB議長やその他のFRB幹部の講演会等の機会は増えるとみられます。当面はそれらにおける発言などを通して、FRBによる現状認識と金融政策に対するスタンスの状況を判断していきたいと考えます。

日本でも金融政策への注目が高まる

 日経平均先物CME終値は26,510円となりました。日経平均株価の6月の配当落ち約48円を考慮した場合、実質的なCME終値は26,558円と試算され、日経平均株価の前営業日終値(26,326円)を上回る水準です。なお、足もとのドル円相場は1ドル=133円80銭台と、前日の15:00時点の1ドル=134円60銭台半ばからやや円高です。

 日銀が本日より17日まで金融政策決定会合を開きます。米国の金融政策を受けた動向が注目されます。

FINTOS!編集部オリジナル記事

・前日の特集:【テーマ銘柄】日本の連続増配企業を紹介

・厳選レポート:運輸セクター投資戦略/トイレタリー株分析/米金融政策予想の変更【編集部厳選レポート3本】

・配信スケジュール:【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事の配信スケジュール

ご投資にあたっての注意点