海外市場の動向

軟調な経済指標を受けた長期金利低下で、押し目買いの動き優勢に

 7月1日の米国株式市場で、NYダウは前日比+321.83ドル(+1.04%)と反発し、31,097.26ドルとなりました。S&P500指数は前日比+1.05%、ナスダック総合指数は同+0.89%となり両指数は5営業日ぶりに反発しました。この日は、市場予想を下回る企業の業績見通しや、軟調な経済指標により、景気減速への悪化懸念が高まった一方で、長期金利が低下したことが株式市場の支えとなりました。

 前日引け後に発表された、マイクロンテクノロジーの決算内容は、実績は市場予想を上回ったものの、見通しが市場予想を大きく下振れ、会社は半導体需要の弱さを示唆しました。また、ゼネラルモーターズがサプライチェーンの問題を背景に、市場予想を下回る業績見通しを発表しました。

 企業業績の悪化懸念が高まった一方で、長期金利が2.85%付近まで低下し、強弱の材料が混じる中、NYダウは前日からやや下落して取引を開始しました。

 取引時間中に発表された、6月のISM製造業指数は、53.0と市場予想の54.9を下回りました。また、新規受注は49.2、雇用は47.3と、それぞれ前月の55.1、49.6を下回り、市場予想も下回りました。また、仕入れ価格指数も78.5と前月の82.2を下回りました。

 景気減速を示す経済指標の結果ととなったものの、長期金利が下落したことで、株式市場ではディフェンシブセクターを中心に押し目買いの動きが優勢となり、主要3指数は上昇に転じ、この日の高値圏で取引を終えました。

日経平均先物CME終値は前営業日終値を大幅に上回る

 日経平均先物CME終値は26,310円となりました。日経平均株価の前営業日終値(25,935円)を大幅に上回る水準です。足もとのドル円相場は1ドル=135円20銭台半ばと、前日の15:00時点の134円80銭台からやや円安です。

 2日、KDDIが提供する携帯電話の音声通話とインターネット通信などが利用しづらくなる通信障害が起きています。この通信障害は50時間程度続き、2021年10月にNTTドコモが起こした通信障害の29時間を大幅に上回っています。総務省は電気通信事業法上の「重大な事故」にあたるとみて、行政指導を検討していると報じられています。同社の高橋社長は、障害の内容を精査した上で、補償も検討するとしており、株価動向には注意が必要です。

 前日の米国株式市場では、主要3指数は揃って反発したものの、6月30日にマイクロン・テクノロジーが失望的な見通しを示したことにより、半導体関連株は下落し、フィラデルフィア半導体株指数は前日比-3.82%と大きく下落しています。この影響が日本株にどのような影響を与えるかが注目されます。

 米国は本日、独立記念日のため休場です。

今週の主な注目点

 今週最大の注目点は8日(金)の6月米雇用統計です。同統計でどの程度の雇用増加ペースの減速が確認されるかが注目となります。また、市場のインフレ期待が2.4%割れまで低下する中、平均時給がインフレのピークアウトの機運を高めるかどうかも重要だと野村證券ではみています。

 また金融政策関連では、金融政策関連では、6日(水)にFOMC議事録の公表が予定されています。7(木)にはセントルイス連銀のブラード総裁が、8(金)にはNY連銀のウィリアムズ総裁の講演が予定されています。足元のインフレやリセッション、利上げに対する考え方に注目が集まります。

 日本では6日(水)の日銀・生活意識に関するアンケート調査において、消費者のインフレ期待がどの程度加速するかが注目されます。1日公表の日銀短観では企業の物価見通しが広範に上昇したものの、5年後の物価見通しは+1.9%と2.0%超えには至りませんでした。ただし、消費者のインフレ期待が上振れれば、市場の日銀への政策修正期待は維持されやすくなるだろうと野村證券ではみています。8日(金)発表の経常収支は、小幅な黒字維持との市場予想ですが、原油価格上昇の影響で赤字に転落するリスクは残されていると考えられます。

 企業決算では、7日(木)にセブン&アイ、8日(金)には安川電機などが決算発表を予定しています。

 

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