最近の国内消費者物価指数(総合)は、前年同月比で2%以上の上昇が続いている。日本銀行発表の企業物価指数は更に高い上昇を示していることから、消費者物価の上昇も当面継続し、加速することも予想される。一方、円安や資源高が経済成長の足枷となっており、資産を守り育てていくには厳しい環境がしばらく続きそうだ。

 不確実性が高まる市場環境に対応するために、資産運用のプロである機関投資家のポートフォリオ管理を参考にできないだろうか。年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)を例に見てみよう。

 GPIFは、200兆円近い資金を運用する世界最大の年金基金である。7月に公表された業務概況書によると、2021年度の運用収益は年率+5.42%、01年度から21年度の通算でみても年率+3.69%の収益率となっている。

 このように、GPIFは長い期間にわたり着実にパフォーマンスを積み上げており、その運用の核となるのが、基本ポートフォリオと呼ばれる資産構成割合だ。年金運用に必要とされる利回りを最低限のリスクで継続的に達成するため、複数の資産を組み合わせて策定し、それに基づき運用を行っている。

 基本ポートフォリオは長期的な観点で作成されるが、市場環境が策定時と乖離した場合など、必要に応じて見直しの検討を行うものとされている。現在の構成は国内債券、外国債券、国内株式、外国株式に各25%ずつの割合だ。

 こうした分散投資や、市場環境に応じたポートフォリオの検証・見直しは、個人投資家の資産運用にも有用だろう。

 個人投資家は、運用規模が小さく投資手段の選択肢も限られるため、機関投資家と全く同じ運用は出来ない。しかしインデックスファンド等を利用することで、個人投資家の運用資産でも機関投資家のように投資対象を分散させたポートフォリオの構築は可能だ。

 市場環境に応じた検証や定期的な見直しには、専門家によるサービスを利用する方法がある。野村證券の営業店でも、現状の資産全体をチェックし、提案を受けられる資産設計コンサルティングサービスを提供しているので、参考にしてみてはいかがだろうか。

(インデックス業務室 松浪 侑奈)

※野村週報 2022年8月1日号「資産運用」より

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