中央銀行のバランスシート残高

 2008年のリーマン・ショック以降、景気を支援するための金融緩和の手段として、主要先進国・地域の政策金利がゼロ近辺に引き下げられると、金融緩和の手段の対象が「金利」から「量」へと移りました。具体的な方法として中央銀行が、国債などの金融資産を市場から買い入れたり、資金を貸し付けることで、市場に資金を供給しています。一方、中央銀行のバランスシートは、資産としての保有国債や貸付金などが増え、負債は銀行券(日本は日銀券など)の発行や金融機関から当座預金を預かることで、拡大しました。2020年に新型コロナの感染が拡大すると、米国を中心に中央銀行のバランスシートは急激に拡大し、量的金融緩和が浸透しました。

金融引き締め局面で利上げも同時に行われる

 足元では、欧米を中心にインフレ率が許容できないほどに上昇しています。米国を中心に利上げによる金融引き締めが行われています。米国はFRBのバランスシートの縮小ペースを、2022年6月から最大月額475億ドル、同9月から最大950億ドルのペースで縮小する(QT、量的引き締め)と発表しました。仮に、量的緩和第4弾の期間に増えた4.24兆ドルと月額950億ドルで減少させた場合、3.7年を要します。日本やユーロ圏は現時点で量的引き締めを行っていません。

(野村證券投資情報部 小髙 貴久)

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