2022年8月(8月1日~9月2日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、海外投資家や投資信託などが売り越した。買い越したのは個人投資家や事業法人などであった。

 海外投資家は現物と先物の合計で4,267億円を売り越した。8月第1~3週には1兆1,346億円を買い越した。一方、第4週にはジャクソンホール会議でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長講演(8月26日)を控える中で3,759億円の売り越しに転じ、翌第5週には同講演でのタカ派(金融引き締め重視)発言を受けて1兆1,854億円を売り越した。

 投資信託は2,742億円を売り越した。売り越しは8月第2、3週が中心であり、株価上昇を受けた利益確定売りを行ったと見られる。一方で、株価が下落した第4週は411億円の売り越し、第5 週は1,560億円の買い越しに留まっており、押し目買い意欲は鈍かった。

 個人投資家は6,478億円を買い越した。8月第4~5週の買い越し額が1兆1,914億円と大きかった。株価下落を受けて押し目買いを行ったと見られる。

 事業法人は5,321億円を買い越した。引き続き、企業は自社株買いに積極的である。第1四半期決算シーズンに当たる22年7~8月の自己株式取得枠設定額は1兆2,575億円と、7~8月の合計としては20年(1兆3,628億円)以来の大きさとなった。通期決算の発表シーズンである4~5月(4兆2,033億円)に続き、高水準の自己株式取得枠が設定された。

(市場戦略リサーチ部 藤 直也)

※野村週報 2022年9月19日号「株式需給」より

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