日本銀行が四半期ごとに全国の企業動向を調査する全国企業短期経済観測調査(以下、日銀短観)の2022年9月調査結果が、22年10月3日に公表された。

 大企業の業況判断「最近」は製造業が+8、非製造業が+14となり、前回6月調査結果(それぞれ+9、+13)と比較してそれぞれ1ポイントの悪化、1ポイントの改善となった。事前の市場予想(ブルームバーグ調査中央値)では、大企業製造業が+10、大企業非製造業が+13であり、製造業で下振れ、非製造業で上振れた。中小企業についても、製造業が6月調査結果比横ばい(市場予想比では1ポイント下振れ)、非製造業が同3ポイント改善(市場予想比では4ポイント上振れ)と、非製造業の改善が目立った。製造業の業況鈍化は、中国で再びロックダウン(都市封鎖)が実施されたことによる外需減少が理由として考えられる。一方、非製造業の業況改善は、調査期間(8月29日~9月30日)に新型コロナの新規陽性者数の減少傾向が鮮明であったことが影響したと考えられる。

 22年度の設備投資計画(全規模・全産業、除くソフトウェア・研究開発、含む土地)は前年度比+16.4%と、6月調査結果の同+14.1%から上方修正された(図表)。業種別で見ると、宿泊・飲食サービス業などの上方修正率が大きかった。コロナ禍からのリオープン(経済活動の再開)、インバウンド(訪日外国人)需要増加に対応した設備投資計画が強含んだ可能性があろう。

 日銀短観22年9月調査結果は、全体としてコロナ禍からの経済活動の持ち直しが緩やかながらも継続していることを示唆する内容であったと言える。先行きの景気については、米国や欧州で景気後退が見込まれる中、内需においては家計消費が物価上昇に耐えられるかどうかがポイントになろう。

(経済調査部 髙島 雄貴)

※野村週報 2022年10月10日号「経済データを読む」より

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