観光立国実現に向け、施策を実行

 日本政府は、観光立国実現に向けて、2016年3月に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」において、2030年に訪日外国人数を6,000万人、訪日外国人消費額を15兆円にすることを目標に掲げ、現在もその目標を維持しています(2022年10月時点)。観光地におけるキャッシュレス環境の推進などの施策や観光資源の活用を通じて、コロナ禍前の2019年の訪日外国人数は3,188万人、訪日外国人消費額は4.8兆円に拡大しました。

(注1)データは年次で直近値は2021年。2030年目標は観光立国推進閣僚会議「明日の日本を支える観光ビジョン」より参照。
(注2)訪日外国人消費額の2020年、2021年は観光庁試算値。
(出所)国土交通省観光庁より野村證券投資情報部作成

 コロナ禍で観光関連ビジネスを展開する企業は打撃を受けていましたが、足元では訪日外国人数の回復傾向が示されています。加えて、宿泊事業者への非接触のチェックインシステム導入促進や顧客管理システムの導入など、デジタル化による生産性向上を進展させる施策が推進されており、業績の回復が期待されています。

入国制限の上限撤廃など、水際対策緩和が進む

 2022年10月11日から日本政府は、入国者数の上限撤廃や個人旅行の解禁、ビザ免除措置の再開、新型コロナウイルスのワクチン接種証明書や陰性証明書があれば原則として入国時検査を行わないことなど、水際対策の大幅な緩和を実施したことによって、訪日外国人数の増加に対する期待が高まっています。

 一方、2019年の訪日外国人数は、アジアからの観光客が全体の75%を占めていたことから、日本のインバウンド需要の本格回復には、アジア地域の出国制限緩和が重要な条件になると考えられます。今後、中国などの動向に関心が高まるとみられます。

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