円安やインフレに備える資産の一つとして、外貨資産を考える際に、候補となる資産はたくさんありますが、米ドルと米国株式は、その中でも有力な候補です。 

 下の図の左は、世界の取引量における通貨別シェアです。米ドルは基軸通貨で、円の5倍以上取引されています。日本にいると、全て円で買っているように見えますが、原材料などは、円をドルに換えてから買い付けているのがほとんどです。下の図の右は、世界の外貨準備の通貨別シェアです。米国は6割近くを占めています。

 基軸通貨ドルは日本政府も、外貨準備という形で、1兆ドル以上持っています。為替市場における基軸通貨として、又、各国が保有する外貨準備としてのドルの存在感は、非常に大きいと言えます。

 下の図は、左が世界の名目GDPを、右が世界の株式時価総額のそれぞれ構成比を表しています。GDPは国内総生産で、その国で生まれた付加価値、あるいは利益の合計といえます。米国に注目すると、名目GDPのシェアでは、世界のおよそ4分の1ですが、株式時価総額だと、世界の半分近くのシェアを占めていることがわかります。

 これは、米国企業が、母国以外で活動し、収益を上げている、あるいは、世界で活躍するようになった企業が、米国市場に上場することが理由として挙げられます。

 世界経済は、人口の多い新興国で、いわゆる中所得層が増えることによる需要増加もあり、さらに拡大を続けるのであれば、世界全体の株式時価総額も、世界経済に比例して拡大していくことが想像できます。その場合、米国企業も世界経済の成長の恩恵を享受できると考えられます。

 このように、世界の株式市場において、米国株式の存在感は非常に大きいといえます。外貨で分散投資を考える際の選択肢として、米ドルや米国株式は、有望な投資先の一つと思われます。

(野村證券投資情報部 東 英憲)

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