2023年の業績修正動向に注意

7-9月期は前年同期比4.2%増益

 11月4日までにS&P 500 指数構成企業のうち428社が、2022年7-9月期決算を発表しました。調査会社リフィニティブの集計では、同期のEPS(一株当たり利益)は、前年同期比+4.2%の55.97ドルと推定されています。

 今回の決算発表シーズンが始まる直前の10月7日時点の集計では、前年同期比+3.2%の55.43ドルと予想されていました。

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 2022年7-9月期は、売上高、純利益とも、決算実績が事前のアナリスト予想を上回る企業の比率(ポジティブサプライズ比率)が、直近4四半期平均を下回っているものの、引き続き長期平均は上回っています。決算発表を前に、アナリスト達が業績予想を慎重に見直した結果と考えられます。

年度EPS予想は引き続き増益基調だが

 アナリストの業績予想の修正状況をみるリビジョンインデックスをみると、FY1(予想1期目。12月決算企業の場合、2022年12月期)には底入れの兆候がみられますが、FY2については、低下が続いており、来年度の業績予想について、下方修正が行われていることが伺えます。

 次に、年度ベースでのEPS予想についてみると、2023年度以降も引き続き増益が予想されています。ただし、今回の四半期決算発表が始まる直前の10月7日時点の集計と比較すると、全般的に下方修正されています。アナリスト達が、今後の業績予想について、より慎重に見直していることが伺えます。

今後の留意点 

 リフィニティブによる集計では、2022年10-12月期以降の各四半期とも、これまでは前年同期比増益と予想されていました。しかし、11月4日時点の集計から、2023年4-6月期が前年同期比-0.7%と減益予想となりました。

 エネルギーセクターなどの一部企業では元々、2023年に減益が予想されている企業は相応にありましたが、他企業の増益で、S&P 500 指数構成企業全体としては、増益予想が維持されていたとみられます。

 足元でドル高や景気動向の影響から、アナリスト達が全般的に業績予想を下方修正していることで、減益となる四半期が出てきたものと推察されます。今後の景気動向によっては、2023年以降の業績ついて、より厳しく見直す必要が出てくる可能性もあり、注意してみていきたいと考えます。

(投資情報部 村山 誠)

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