来週の注目点:米小売り統計で年末商戦の行方を探る

 世界景気の減速、FRB(米連邦準備理事会)の利上げペース、米中間選挙の結果が引き続き焦点です。

 米中間選挙は、上院は激戦で議席確定は12月上旬になる見込みです。下院は共和党が優勢で、「ねじれ議会」となる公算が大きい情勢です。過去の傾向に鑑み、中間選挙後の株高を期待する向きもありますが、財政を巡る協議の膠着状態が続く可能性が高まることで、経済政策が停滞するリスクがあります。

 12月13-14日開催のFOMCに向けて経済指標やFRB高官の発言に一喜一憂する展開が続くでしょう。経済指標では、15日(火)に11月NY連銀製造業景気指数、16日(水)に10月小売売上高、10月鉱工業生産、17日(木)に11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、10月住宅着工・建設許可件数が発表されます。今年は年末商戦が早まることが想定され、特に財の消費がインフレ高騰、供給制約によりどの程度影響を受けるのか注目されます。

 ユーロ圏では、15日(火)にドイツで11月ZEW景況感調査が発表されます。物価高やエネルギー供給への懸念が景況感を引き続き下押しすると考えられます。

 中国では、15日(火)に10月小売売上高、鉱工業生産、1-10月固定資産投資、不動産投資など主要統計が発表されます。新型コロナの感染再拡大とゼロコロナ政策の継続、不動産市況の低迷、輸出の伸び鈍化などが引き続き景気を下押しすると考えられます。

 日本では、15日(火)に7-9月期実質GDP(1次速報値)が発表されます。野村證券では、経済活動の正常化、供給制約緩和に伴う民間設備投資の持ち直しなどを受けて前期比年率+0.6%(ブルームバーグ予想は同+1.2%)になると予想します。また、16日(水)に9月機械受注と10-12月期見通し、17日(木)に10月貿易統計、18日(金)に10月全国消費者物価指数が発表されます。世界景気減速懸念が強まる中でも設備投資は増勢を維持するか、注目されます。

(投資情報部 坪川 一浩)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2022年11月11日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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