日本株の2022年7-9月期決算では、売上高が市場予想と比較して上振れた一方で、営業利益は低調となり、利益率の悪化が鮮明になってきました。インフレの影響が想定以上に大きいことが示唆されます。そのような環境下でも、会社の配当計画を上方修正した銘柄が存在します。以下の図表では、時価総額上位企業の中から計画を上方修正した主な銘柄を紹介しています。

(注)12月6日時点。日本株の時価総額上位50銘柄のうち、直近決算で年間配当計画を上方修正した上位10銘柄を掲載。
配当計画は会社予想。決算期は日本たばこ産業は2022年12月期、その他は2023年3月期。
(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成

 大手商社では、三菱商事(8058)と三井物産(8031)がいずれも通期の配当計画を上昇修正したほか、併せて自社株買いも発表しました。商社セクターの決算は、大手7社がそれぞれ通期利益計画を上方修正するなど、全般的に好調でした。4-6月期から引き続き、自動車関連事業や化学品、鋼管事業など非資源分野が業績のけん引役となっています。

 大手銀行では、みずほフィナンシャルグループ(8411)が通期の配当計画を上方修正したほか、三井住友フィナンシャルグループ(8316)は増配に加えて自社株買いも発表しています。銀行セクターの決算では、大手銀行の業績が総じて会社計画の達成圏内で推移しました。米国長期金利の急騰に伴う外債損失の計上をこなしつつも、好調な本業収益などで打ち返した格好となりました。

 その他の主要企業では、日本たばこ産業(2914)も通期の配当計画を上方修正しています。同社は主要市場でシェアが上昇しており、特にEMA(東欧、アフリカ、トルコ、南北アメリカ大陸及びすべての免税市場)市場の販売が好調でした。

 株主還元の拡充は株式市場からポジティブ視されることが多く、下期についても各社より追加の株主還元があるのか注目されます。

(FINTOS!編集部)

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