連続増配企業への投資が注目される

株式市場は時折、様々なリスクにより大きな変動を余儀なくされます。2008年のリーマンショックをはじめ、近年では、2018年の米中貿易摩擦の激化や2020年の新型コロナ感染拡大、2022年のウクライナ紛争により、株価は大きな影響を受けました。こうした中、長期的な視点で安定的な配当を得ることを目指す連続増配企業への投資が注目されます。

連続増配企業の強みと企業例

連続増配企業は社歴の長い企業も多く、これまでブランド力や技術力等を武器に安定的な利益を創出しうる独自の経営スタイルや販売手法を培い、大幅な景気変動や各種のショックを乗り越えてきました。そのため、単年度では減益に陥ることがあっても継続的な配当が可能で、市場で評価され続けています。日本の連続増配企業の代表格として、花王が挙げられます。同社はトイレタリー国内首位で、日本企業で最長の連続増配年数を維持しています。コーポレートガバナンスやESGに関する情報開示にも積極的で、長期成長を見据えた経営姿勢を明確にしています。また、独自の経営スタイルを持つ小林製薬はヘルスケアや日用品においてニッチ製品の開発に強みを持ち、規模は小さいながらも多くの製品で国内トップシェアを握ることで収益の安定を図っています。

連続増配企業のパフォーマンス

時価総額4,000億円以上、かつ今期会社予想を含め19期以上連続で増配している12銘柄の合成株価指数(等金額)のパフォーマンスは、長期的な視点でみれば日経平均株価を大幅に上回る傾向がみられます。2022年度の日本企業の企業業績は、2021年度に続き、経常増益が予想されており、企業の株主還元拡大の余地は大きいと考えられます。長期的な視点で、連続増配企業が持つ本源的強みを重視した投資が注目されます。

(野村證券投資情報部 寺田 絢子)

ご投資にあたっての注意点