中国では「ゼロコロナ」政策から「ウィズコロナ」政策に転じ、入国者に対する水際対策などが緩和される見込みです。入国時の隔離期間が2023年1月にも短縮されるとの報道もあり、中国との往来が容易になる可能性があります。

中国では例年、旧正月の休暇に国内外への旅行者が急増します。2023年の旧正月の休暇は1月21日から27日までですが、同期間の旅行者数は、新型コロナの感染状況やコロナ対策の緩和の程度に依存すると考えられます。中国では、感染対策が緩和される中、新型コロナの感染が急速に拡大しているため、訪日中国人旅行者の増加の本格的な回復は、2023年春以降になると予想されます。

訪日外国人旅行者数は、2019年7月には月間約300万人に達しましたが、2020年10月に新規入国を原則禁止し、激減しました。2022年9月に入国制限を緩和したことにより訪日外国人旅行者数は増加傾向にあります。特に、韓国、台湾、米国からの旅行者が回復しているのに対し、中国や香港等の旅行者の戻りは鈍く、2022年11月は約93万人と全盛期の約3割に留まります。

コロナ禍前の2019年の傾向をみると、訪日外国人全体の1人当たり旅行支出の構成比では、買物代、宿泊費、飲食費の順となりました。買物代では、食料品や化粧品などの人気が高く、日本ブランドが評価されていたと考えられます。

アジアからの訪日客は買物、欧米は宿泊や飲食に多く支出しており、それぞれ小売業や宿泊業、外食業などの関連産業への恩恵が期待できます。

訪日外国人の増加がもたらす経済効果は、経済産業省の試算ではGDP比0.9%に相当します。インバウンド需要の回復が待たれます。

(野村證券投資情報部 坪川 一浩)

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