金融政策の据え置きを予想、日銀は動じないことのメリット大きい

1月18日に日銀金融政策決定会合の結果が公表されます。1月10日付の読売新聞は「大規模緩和の副作用点検へ」と伝えました。市場では日銀の更なる政策修正への期待が高まっています。

ここで注意したいのは、日銀には動じないことのメリットも大きいことです。「再度の実質利上げ」への観測を空振りに打ち取れば、「当面追加修正なし」に期待を押し戻しつつ「市場の圧力には屈しない」というメッセージになります。

12月20日の前回会合におけるサプライズ修正については、円安由来のインフレ圧力を減じるという政治的な配慮もあったと考えられますが、すでにドル円レートは一時127円台まで円高が進行しており、日経平均株価の急落という対価も支払いました。力学は変わっているとみられ、野村證券では今回の決定会合で各種政策は据え置かれると予想します。

一方で、決定会合後に発表される「展望レポート」への注目度も高まっています。特に、コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)の修正幅次第では、いよいよファンダメンタルズの観点からも、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の修正が正当化されるとの見方が刺激される可能性もあるため注意が必要です。

1月の決定会合を終えると、市場の関心は日銀の正・副総裁人事へと向かうことになります。野村證券では岸田内閣が正・副総裁の候補を国会に提示するのは2月の半ばないし後半と予想します。

総裁候補については、雨宮現日銀副総裁、中曽前日銀副総裁、山口元日銀副総裁、その他が挙げられます。実際に総裁候補に選ばれる確率は、同順で35%、20%、35%、10%とみます。市場が各種政策の変更を最も意識するのは、山口元副総裁が次期総裁に就任する場合でしょう。

今後の金融政策の見通しですが、野村證券はメインシナリオ(実現の可能性:50%)として、日銀は2023年中はフォワードガイダンス(金融政策の先行き指針)の変更に留め、YCC政策の追加修正やマイナス金利政策の解除は2024年以降にずれ込むと見ています。しかし、安定的な2%インフレが想定よりも早く実現するケース(同:30%)や、副作用への配慮が強まるかたちで政策修正が進むケース(同:20%)では、2023年中にYCCの追加修正やマイナス金利政策の解除に加え、YCCの撤廃の可能性も否定できないと判断されます。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート①「日本銀行金融政策決定会合プレビュー – 金融政策の据え置きを予想(1月11日配信)」(プレミアム会員限定配信)

要約編集元アナリストレポート②「Quick Note – 日銀決定会合に関する日経、読売報道の整理 – 日銀は動じないことのメリット大きい(1月16日配信)」(プレミアム会員限定配信)

要約編集元アナリストレポート②「国際金融為替ウィークリー – 日銀会合でドル円はどう動く?(1月16日配信)」(プレミアム会員限定配信)

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