無難な総裁人事なら日銀トレードは巻き戻しへ

日本銀行は1月17~18日に開催された金融政策決定会合で政策修正を見送りました。一方、共通担保資金供給オペレーションによる日銀貸出しを活用し、イールドカーブのゆがみを緩和方向に修正する策を打ち出しています。直接的な国債買入れ額を節約すると同時に、制度としてのイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の持続性を高める効果を狙ったと推察されます。

また、会合後に公表された経済・物価情勢の展望(展望レポート)は、インフレに対する日銀の慎重な姿勢を映し出しました。今回の展望レポートが示したファンダメンタルズの観点からは、日銀が2023年中に利上げに着手する姿は描きにくいとみます。野村證券では、YCC政策の追加修正やマイナス金利政策の解除は2024年以降と予想します。

会合後の株式市場の反応ですが、「銀行株買い、不動産株売り、日経平均売り」などの「日銀トレード」が一旦巻き戻される展開となりました。一方、為替市場では、ドル円相場が128円台半ばから131円台まで大きく円安に進行しました。日銀が追加的な政策修正に動くとの期待が市場で高まっていたことから、これらの反応自体に驚きはありません。

次の焦点は日銀総裁人事となります。2月10日に日本政府が人事案を国会に提出する見込みですが、その前に観測報道が出てくる可能性があります。現副総裁の雨宮正佳氏、または前副総裁の中曽宏氏の総裁就任となれば、市場は「唐突な政策修正リスクは低下した」という反応になると予想されます。

「2月までに日銀トレードは解消」という野村證券の基本シナリオの確度が高まりつつあるとみますが、リスクシナリオとして、元日銀副総裁の山口廣秀氏が総裁になる場合には、先行きの金融政策の不透明感が高まる公算が大きく、注意が必要です。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート①「日本銀行金融政策決定会合 – 事実上、YCCの持続性向上へ(1月18日配信)」(プレミアム会員限定配信)

要約編集元アナリストレポート②「Quick Note – 日本株:黒田日銀は緩和強化でYCC死守 – 無難な総裁人事なら日銀トレードは巻き戻し(1月18日配信)」(プレミアム会員限定配信)

要約編集元アナリストレポート③「国際金融為替フラッシュ – 日銀政策変更見送りも円高ドル安継続へ(1月18日配信)」(プレミアム会員限定配信)

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