2022年3月からFRB(米連邦準備理事会)は政策金利であるFFレートの引き上げを始めました。「景気を犠牲にしてでも」という強い姿勢で、インフレを抑え込むために行っているこの利上げは、2022年だけで、0.25%から4.5%まで計7回、4.25%ポイントも引き上げました。上段の図は、1980年以降に行われた政策金利の累計の引き上げ幅と経過月数です。今回のように1年以内に4%ポイント以上という急ピッチで引き上げをしたことは、1980年代以降ありませんでした。いかに今回の利上げのペースが速かったかわかります。

現時点での野村予想では、FRBは2023年3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げを打ち止めると想定しています。上段の図からは、2021年12月以来のナスダック総合株価指数(赤色折線) は、ターミナル金利(米政策金利の利上げ到達水準の市場見通し、灰色折線)の上昇(逆目盛なので下にシフト)に連動して下落したことが分かります。

図の縦の網掛けはFOMCの結果発表日で、過去は短期的な株価の転換点となることもありました。ターミナル金利に対する不透明性が株価の変動=リスクを生んでいたとも考えられます。FRBが利上げの打ち止めを発表するか、打ち止めが市場から確実視された段階で、株価は一旦ボトムを付ける可能性が高いと推察します。

(野村證券投資情報部 竹綱 宏行、東 英憲、佐々木 文之)

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