1月は予想外に景気敏感業種が高パフォーマンス

年初来のファクターリターン(TOPIX500、除く金融)をみると、景気敏感な外需株が強く、昨年強かったバリュー株は相対的に弱いことが読み取れます。

野村證券は従来、2023年の日本株について「春先から回復」「物色はグロース株を軸に、ディフェンシブ株から景気敏感株へシフト」と描いてきました。1月の相場展開は、我々のシナリオを3ヶ月程度、先取りしています。どうみればよいのでしょうか。

バリュー株へのシフトは正当化しにくい環境に

バリュー株からグロース株へのシフトは、日本株のアクティブファンドが依然バリュー寄りのポートフォリオになっていることもあり、持続しやすいとみます。加えて、日米株価指数について「バリュー対グロース」の相対値を長期トレンドに照らしてみると、バリュー株のアウトパフォーマンスは日本で特に顕著となっています。グローバルな資源ブームや、持続的な金融環境の引き締まりを想定しない限り、正当化しにくい水準です。

確かに「日銀金融政策の正常化」というテーマは、くすぶり続ける可能性があります。しかし、仮に日本の金利がイールドカーブ・コントロールの撤廃などにより「自由化」されたとしても、金利上昇にはおのずと限界があります。「日銀金融政策の正常化」を理由に、バリュー株へのシフトを進めるには、グローバルな金利再上昇のシナリオが欠かせないとみます。

しかし、現状、世界的なインフレ・金利の上振れリスクは後退する方向にあります。米国では、供給ボトルネックの指標となるISM製造業指数のサプライヤー納期指数が低下し続けており、インフレデータの上振れショックが生じにくいとみます。

景気敏感への傾斜は、中国リオープン関連以外はいったん修正か

日本株におけるグローバル景気の織り込み状況を「景気敏感業種vsディフェンシブ業種」の相対株価でみると、2023年1月は景気回復を先取りする動きになっています。問題は、これを正当化する景気回復の萌芽がどこにみられるかですが、中国についてはリオープン期待が高まっていることに違和感はありません。春節明けに経済活動が本格化すると、さらに勢いがつくとみます。

しかし、中国景気回復といっても、古典的な建設投資主導のパターンは期待しにくいとみます。サービス消費の急回復および製造業のボトルネック解消が起点となり、徐々に企業の設備投資意欲が回復していくという順序が予想されます。

引き続き「グロースxディフェンシブ」を最優先

まとめると、1月は予想外に景気敏感業種のパフォーマンスが高まりましたが、中国リオープンのテーマについては持続性を見込む一方、米・中の耐久財消費については期待先行の面もあります。日本株は引き続き、「グロースxディフェンシブ」の特性を最優先し、準じて、どちらか一方の性質をもつものを推奨します。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – マクロ環境の変化とシナリオ再検証(1月30日配信)」(プレミアム会員限定配信)

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