レンゴー(3941) パルプ・紙

段ボールの収益性改善に取り組む

 国内段ボールでシェアは約3割とトップを誇る。フィルム系の包装材料や海外事業も手掛け収益源の多角化を進めている。

 2022年はガスや電力、古紙などで大幅なコストアップに見舞われた。そのため、国内の段ボールでは異例となる年2回の値上げを打ち出し、コスト増の製品価格への転嫁を進めている。累計の値上げ幅は15%程度に達すると推測する。値上げ幅は過去に無いほど大きいが、段ボールは販売先の約6割が食品業界向けで必需品分野であり、他に有力な代替材料が見当たらないため、大幅な値上げを行っても需要が大きく減ることは無いとみている。24.3期には段ボール事業の収益性が改善すると予想する。

買収を駆使して多角化を推進

 当社は事業拡大のツールとして数多くの企業買収を行ってきた。近年それが更に加速している印象があり、対象は海外にも広がってきた。フィルム系の包装材料は食品や日用品、産業用途まで多岐にわたる。当初はフィルムの加工から事業を拡大し、後に原料のフィルム製造にも手を広げた。海外は自動車部品や機械を運ぶ重量物段ボールなど特定の分野に焦点を合わせて事業拡大を図っている。当初はアジアから事業を拡大し、近年は欧米への積極的な投資が目立つ。利益面でも収益源の多角化が着実に進んでおり、24.3期は国内の板紙・段ボール以外の営業利益構成比は33%になると予想する。

(エクイティ・リサーチ部 河野 孝臣)

三井住友フィナンシャルグループ(8316) 銀行

足元業績は好調に推移

 三井住友フィナンシャルグループ(以下「当社」)の2023.3期業績は、外債投資環境などが厳しい中、会社計画比順調に推移している。22年11月14日発表の4~9月期決算では通期計画上方修正、自己株取得(上限2,000億円)並びに増配を公表。計画修正の主因は、為替前提の見直し(概算影響600億円)や本業収益の好調(同300億円)など。1月30日発表の4~12月期決算は親会社株主利益の進捗率が100%と高進捗。連結業務純益は前年同期比14%増加した。債券益減少の一方、顧客部門がホールセール・グローバル部門中心に増益。内容的にも資金利益(同17%増)、役務利益(同4%増)とも増加とバランスがよい。

次期中期経営計画に注目

 24.3期から開始が想定される新中期経営計画の内容に注目したい。充実した資本基盤を生かして株主還元を強化できるか、ROE(自己資本当期純利益率)を向上させられるかが、株式市場から問われるものと野村では考えている。23.3期4~9月期決算発表のように会社計画の上方修正が還元強化につながる経営姿勢を示すことは重要であろう。また、一連の出資戦略を含めた自社の資本政策が株主価値向上に貢献することを、定量的かつ明確に伝える姿勢に期待したい。注力しているデジタルトランスフォーメーション(DX)が、収益・経費率改善やさらなる構造改革につながるかにも野村では注目している。

(エクイティ・リサーチ部 高宮 健)

ミスミグループ本社(9962) 卸売業

中国・アジアを中心に成長を見込む

 FA(ファクトリー・オートメーション:工場自動化)関連装置部品や金型部品の製造・販売、他社製品含む幅広い商品群を扱うEC(電子商取引)プラットフォームを展開する。細かい寸法や様々な形状の商品を1個から受注し、最短2日で納入する。

 世界で人材不足と賃金上昇が続いており工場自動化への需要は継続しよう。業績は2022.3期に国内では自動車メーカーの減産、中国では一部都市の都市封鎖やエレクトロニクス需要減少の影響を受けたが、23.3期は持ち直すと見る。さらに、中国、アジア市場ではミドルレンジ製品の展開を進め(従来はハイエンド製品のみ)、ボリュームゾーンで需要を獲得しよう。

顧客の時間価値の創出はさらに強化

 当社の事業は短い納期で製品を納め、顧客の工数を削減し、顧客の時間創出に貢献する。これは今後も強化されよう。

 納期短縮に向けて海外で半日配送の範囲拡大を目指す。特に、中国・アジア市場を重点戦略地域として位置づけ、納期短縮に向けた生産拠点・物流拠点の新設を計画。

 また、新サービス「meviy」の展開を加速し、顧客の工数削減に取り組む。同サービスではウェブにアップロードされた図面データを即時に見積もり、短納期で製造、出荷を行う。顧客は見積もり取得などにかかる時間を大幅に削減できる。22.3期末からグローバル展開を進めており、中長期的に成長が見込めよう。

(エクイティ・リサーチ部 小笠原 れい)

※野村週報 2023年2月6日号「銘柄研究」より

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