2022年10-12月期決算が出そろいました。ラッセル野村Large Cap(除く金融、ソフトバンクグループ)の増収率は18.5%(前年同期比)、営業増益率は同6.3%でした。円安や、資源価格高騰の影響から、増収率は極めて高く、一方価格転嫁の遅れなどから営業増益率は低位にとどまる傾向が続いています。

その結果、マージン(営業利益率)は8.5%と、前年同期の9.5%から急低下しています。報道では「企業の収益力に陰り」といった表現が目立つようになっていますが果たして真相はどうなのでしょう。仔細に企業の営業利益率を見てみると、そのような単純な構図ではないことがわかります。

パターン 1】‥マージンはリバウンドするものの過去のピークに及ばないグループです。素材を中心にコモディティー系の業種が目立ちます。また、コロナ禍特需が一段落したサービス系の業種も目立ちます。

パターン 2】‥リバウンドの後に、ピーク更新が見込まれるグループです。コモディティー色の薄い、国際展開が進んだ業種の多くがこのグループに属しています。

パターン 3】‥外部環境にかかわらずマージンにほとんど変動がみられないグループです。国際展開が進んでおり、同時に競争力が強い業種の多くがこのグループに属しています。

パターン 4】‥継続してマージンが向上しているグループです。継続して構造改善に取り組んでいる、或いは過去に厳しい業界再編を経験した業種の多くがこのグループに属しています。

パターン 5】‥長期的にマージンの低下が見込まれているグループです。環境対策などで膨大なコストが必要となる、長期的な価格下落圧力に晒されている、など理由は様々です。

【パターン 6】‥メモリー需要低迷、中国ロックダウンの影響が大きかったグループです。マージンの改善にはやや時間を要するとみられます。

V字型回復からかなりの時間が経過し、サブセクターごとで業績・収益力の方向性に相当な差が出始めているのは間違いないようです。なお、これらはあくまで現時点でのアナリスト予想に基づいたもので、今後属するグループが変化することは十分あり得ます。また、そうした変化が広く市場に認知された場合には、新たな投資のチャンスになりえることを、付け加えておきたいと思います。

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