三菱ケミカルグループ(4188) 化学

MMAが世界トップシェアの総合化学会社

国内で売上最大の総合化学会社。三菱化学、三菱レイヨン、三菱樹脂が統合した三菱ケミカルが中核である。石油化学ではMMA(メタクリル酸メチル)が世界トップシェア。子会社に田辺三菱製薬や産業ガス会社の日本酸素ホールディングスを持つ。

2023.3期10~12月期のMMA の採算は厳しかった。一方、ワクチン製造子会社のメディカゴ社の撤退や英国MMA 工場の生産終了によるコスト削減を発表。また、機能商品は低採算事業の縮小や採算重視の営業活動の強化により採算改善効果が予想以上であった。薬剤のジレニアで当社へのロイヤルティ支払いも発表され、23.3期コア営業利益の会社計画は上方修正された。

MMA の採算は23年1 ~ 3 月にボトム

24.3~25.3期のコア営業利益は特殊要因を除き増益が続くとみる。MMA の市況や採算は中国の景気減速や液晶需要の減少で過去ボトム圏まで低下するなか、中国の競合企業で減産の動きが見られる。中国経済はゼロコロナ政策の見直しなどで持ち直しが見込まれるうえ、テレビ用を中心に液晶パネルの在庫調整は進展しつつある。MMA需要は回復に向かい、採算は23年1~3月をボトムに改善に転じるとみている。

ヘルスケアではメディカゴ社やMuse 細胞の事業撤退を決定したことによる費用削減効果が見込まれる。また、ジレニアにおける当社へのロイヤルティ支払いもコア営業利益を押し上げよう。

(エクイティ・リサーチ部 岡嵜 茂樹)

ロート製薬(4527) 医薬品

スキンケア事業で人気ブランド確立

2000年代に発売開始の「オバジ」「肌ラボ」シリーズが人気を博しスキンケア事業が拡大、リップケア用品を含め現在では売上の6割超をスキンケア事業が占める。一般用目薬では約4割の国内トップシェアを誇り、消費者ニーズの発掘と製薬事業で培った知見と技術力を生かした商品開発とのマッチング力が強みである。

コロナ感染拡大の影響で21.3期は一時的に減収となるも、22.3期は2度、23.3期は3度にわたり通期の会社計画を上方修正するなど業績拡大が続く。新生活様式やウィズコロナ環境に適した製品が奏功し、コスト構造改革も成果をあげている。野村では23.3期に過去最高の業績を見込んでいる。

再生医療、健康経営関連の事業育成

当社製品が日本国内の数倍の価格で販売されているアジアでは、中~高価格帯ブランドとしての訴求が進んでいる。現地事情に合わせた商品開発や現地ブランドの買収など、ローカライズしたブランド戦略が高成長を実現し、業績拡大を牽引している。

既存事業の強化に加えて再生医療事業や食に関わる事業にも進出している。外傷性軟骨欠損を対象とした軟骨細胞キットでは23.3期のフェーズ2試験終了と24.3期の承認申請を会社は目指す。ユーグレナとの資本業務提携契約によるヘルスケア関連商品の企画・販売や、化粧品原料、健康食品などの新規事業やコンパニオンアニマル事業の育成等に注目する。

(エクイティ・リサーチ部 繁村 京一郎)

スタンレー電気(6923) 電気機器

自動車用ランプで安全を提供

当社は自動車用ランプを主力とするホンダ系サプライヤー。主要顧客はホンダだが、日系自動車メーカーを中心に幅広い完成車メーカーと取引実績をもつ。ランプ用LEDや電子基板を内製するなど、光源からの一貫生産体制を持ち、顧客に迅速かつ手頃な価格で提供できる点が強みである。

2022年10~12月期は中国での新型コロナ急拡大を背景に、主要顧客の減産影響を大きく受けた。一方、高付加価値のADB(アダプティブドライビングビーム)の出荷比率は10%と、22.3期の5%から順調に増加した。なお、ADBは配光制御により対向車や先行車への眩惑を軽減する先進安全技術として野村では注目している。

ヘッドランプ進化と共に当社業績も成長

当社は主に日本でADBを出荷しており、直近は中国でも需要が増えてきた。さらに製品要求仕様が厳格な北米でも24.3期以降出荷が始まるとみられ、ADBの出荷比率は上昇ペースが加速しよう。通常のLEDより単価が高いADBの出荷増でランプ平均単価は年率3%程度の上昇を予想する。

21年からは三菱電機と共に運転手監視システムと連動したヘッドランプ開発も進めている。運転状況に応じて要注意エリアに光を照射し、運転手の視線を誘導することで事故を未然に防ぐ効果が期待される。安全意識の高まりを追い風に今後も機能付加が進むと見て高付加価値ランプ出荷増による高い成長に期待する。

(エクイティ・リサーチ部 石本 渉)

※野村週報 2023年3月20日号「銘柄研究」より

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