海外市場の振り返り

24日の米主要3株価指数は揃って続伸しました。ドイツ大手銀行のCDSが急騰し、欧州株が下落する流れの中で反落して取引を開始しましたが、米セントルイス地区連銀のブラード総裁が「規制当局の「強力かつ迅速」な対応によって銀行セクターを巡るストレスが和らいだ」と述べたことが市場に安心感を与え、反発しました。また、イエレン米財務長官が24日午前に、金融安定監視評議会(FSOC)の緊急会合を開催するため米金融監督当局の責任者らを招集したことも、金融当局の機動的な対応措置として市場を後押ししました。米国の3月S&PグローバルPMI(速報値)は製造業、サービス業とも市場予想を上回りましたが、市場の反応は限定的でした。なお、市場ではFRBは5月に利上げを停止し6月から利下げとの予想が広がる中で、ドルはNY早朝に129円64銭と2月上旬以来の安値まで下落しました。

相場の注目点

FRBが24日公表した週次統計によれば、中小銀行の預金残高は前週から1,190億ドル減少し、5兆4,600億ドルとなりました。これまでの過去最大の2倍強の減少を記録しています。中小銀行は米国の商業銀行のうち最大手25行以外と定義されていますが、最大手銀行の預金残高は670億ドル増加し、10兆7,400億ドルとなっています。26日の講演会でIMFのゲオルギエワ専務理事は「先進国の行動により市場のストレスは緩和したものの、金融安定性に対するリスクが高まっている」と発言しました。米国の金融システム全般には総じて安定性が維持されており、システミックリスクに発展する可能性は低いと思われるものの、市場の懸念が払拭されるには相応の時間がかかります。今週もFRB要人の講演が相次ぎますが、当局の対応に目配せが必要です。

(投資情報部 佐々木 文之)

(注)データは日本時間2023年3月27日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

FINTOS!編集部オリジナル記事

【4月の投資戦略】欧米金融不安は一時的でインフレ鎮静化なら株価復調へ

【#水素】AI抽出15銘柄/岩谷産業、エア・ウォーター、三井金属…

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事の配信スケジュール

ご投資にあたっての注意点