投資家の皆様から関心の高い質問を専門分野のリサーチャーに聞いてみました!

Q:訪日中国人観光客の本格的な回復はいつから?

3月初めに中国に対する水際対策が緩和されたことで、徐々に中国人観光客の訪日が増えてきています。ビザなどの準備期間を1ヶ月ほどと考えると、4月からは観光客数が一段と増加する可能性もあると考えられますが、どのように予想していますか?

A:大幅な増加は5月下旬からと予想

4月時点での大幅な増加は見込みづらい

野村も23年4月以降に中国からの観光客数が徐々に増加すると予想しておりますが、4月時点での大幅な増加は見込みづらいと考えています。その理由としては、3月の水際対策緩和以降も、(1)陰性証明の提示義務が残ること、(2)現時点では航空便の回復が限定的であること、(3)日本向けの団体旅行が解禁されていないことの3つが挙げられます。

(1)陰性証明の提示義務が残る

中国から日本に渡航するためには、出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書を提示する必要があります。観光客の立場に立てば、出国直前に旅行が中止になるリスクは残っているため、日本への旅行のハードルは依然として高いと予想されます。野村は、陰性証明の提示義務が解除されるタイミングは、早くても5月(新型コロナの5類移行)以降になると考えています。

(2)現時点では航空便の回復が限定的である

日本と中国本土間の直行便数はコロナ前の2019年冬ダイヤで週1300便程度就航していましたが、足もとの直行便数はその1割に満たない状況です。日本政府による増便制限の撤廃を受け、日本航空が3月下旬以降の大幅な増便(週12.5便→64便)を発表するなど、航空便を増やす動きもあります。しかし、中国の大手航空会社の増便発表は今のところ限定的であるため、航空便数による観光客数の制約は残るのではないかと考えています。

(3)日本向けの団体旅行が解禁されていないこと

中国人観光客全体に占める団体ツアー客のシェアは27%(2019年時点)と一定のシェアを占めています。個人客が全体の7割強を占めているものの、団体旅行が認められていないことは、回復ペースに対して一定の足かせになると考えています。

本格回復は早くて5月下旬以降

上記の理由から、中国人観光客の本格的な回復は早くても5月下旬以降になると考えています。

(出所)野村證券経済調査部より野村證券投資情報部作成

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