FINTOS!編集部記事
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2023/12/19 13:21
【速報・解説】日銀政策据え置き、ガイダンスも変更なし
金融政策の据え置きを決定、フォワードガイダンスも維持される 日本銀行は12月18~19日に金融政策決定会合を開催し、大方の事前予想通り金融政策の据え置きを決定しました。ブルームバーグの調査によれば、2024年4月までにマイナス付利撤廃を予想している回答者が65%、うち15%は24年1月会合での撤廃を予想しています。今回の会合では金融政策正常化に向けた地ならしとして、フォワードガイダンス(政策運営の指針)が修正されるのではないかとの見方もありましたが、こちらも修正はありませんでした。このため、本日15時半から行われる植田日銀総裁の記者会見が注目されます。 為替市場では、決定会合の発表を控えてドル円レートは142円台半ばで取引されていましたが、今回の結果を受けて143円台半ばへ1円程度、円安・ドル高が進行しました。ただし、この後の記者会見で植田総裁が金融政策正常化の可能性を否定するとは考えにくいことから、一方的に円安が進行する可能性は限定的だと見られます。 植田総裁の記者会見では、金融政策修正時期やマイナス金利解除後の追加利上げの可能性、国内政治の混乱やFRB(米連邦準備理事会)、ECB(欧州中央銀行)が利下げに転じた場合の政策判断への影響などに市場の関心が集まると考えられます。 なお、野村證券ではマイナス付利の撤廃は2024年1月会合、YCC(長短金利操作)政策撤廃は同年4-6月期(4月を有力視)と予想しています。2023年の春闘では約30年ぶりの高い賃上げ率で妥結されました。その後も、複数の企業から賃上げに積極的な声が聞かれるなど、企業の賃金設定行動に変化が見られます。日銀も「賃金と物価の好循環」達成に徐々に自信を深めている様子がうかがえます。野村では23年に続き、24年、25年の春闘でも前年比3.9%程度の高い賃上げが実現すると予想しています。このような企業行動の変化が、日銀に金融政策の正常化を促す要因となると考えています。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点
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2023/12/19 08:26
【モーニングFINTOS!】米長期金利上昇が米国株の重石に(12/19)
海外市場の振り返り 18日の米国株式市場で、主要3指数は上値の重い展開となりました。シカゴ連銀のグールズビー総裁が、市場が利下げに関して先走っている事に困惑していると発言するなど、市場の早期利下げ観測をけん制しました。これを受け、米10年債利回りが上昇し、株式市場の重石となりました。NYダウは、前週末終値を下回る場面がありましたが、今後の相場一段高を見込む市場参加者も多かったとみられ、小幅上昇して取引を終え、連日で過去最高値を更新しました。 相場の注目点 本日は、日銀金融政策決定会合の結果が発表されます。市場では、金融政策の据え置きが予想の大勢を占めています。ただし、足元の日銀政策委員の発言から、2024年1月会合での修正期待は維持されています。このため、政策変更に向けた地均しとして、追加緩和を示唆した現行フォワードガイダンスの撤廃や植田総裁記者会見での物価と賃金の好循環についての見方の好転、といった変化がみられるか注目されます。 本日のイベント 米国では、アトランタ連銀のボスティック総裁の講演が予定されています。今後のFRBの金融政策の動向を見極める上で、引き続き、FRB幹部の発言や物価統計に注目が集まります。 (投資情報部 澤田 麻希) (注)データは日本時間2023年12月19日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【今週の米国株】マイクロン&ナイキ決算で見通す24年、クリスマス休暇前最後の点検(12/18) 【野村の投資判断】日銀12月会合、事前予想と株式市場の反応 ご投資にあたっての注意点
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2023/12/18 20:00
【今週の米国株】マイクロン&ナイキ決算で見通す24年、クリスマス休暇前最後の点検(12/18)
先週:FOMC無事通過で7週連騰の米国株 FOMCと株式市場の反応 先週は、12月FOMC(米連邦公開市場委員会)を無事通過したことで、S&P500指数とナスダック総合指数は年初来高値を更新し、ダウ指数は史上最高値を更新しました。 12月FOMCで示された今後の政策金利見通し(中央値)では、1回あたりの変更幅を0.25%ポイントとした場合、2024年末までに3回の利下げ見通しが示されました。市場では2024年末までに4~5回の利下げを織り込んでいたため、この点だけをみると、株式市場はネガティブに反応してもおかしくはありませんでしたが、今回のFOMCでは2024年中に利下げに転じる方向性が明確に示されたことで、政策金利が当面高い水準で維持されることへの警戒感が緩和され、株式市場はポジティブに反応していると推察されます。 なぜFOMCは利下げを明確化したか 12月FOMCでFRBが発表した経済予測では、実質GDP成長率や失業率の見通しは前回発表の9月時点から大きく変わってはいませんでした。一方、インフレについては、FRB(米連邦準備理事会)が目標とする2.0%を上回る状態が2025年まで続くとみているものの、9月時点の見通しよりは、2023年から2025年にかけて水準を引き下げました。FRBでは、インフレ鎮静化と景気のソフトランディング(軟着陸)を同時に達成する確度が増していると判断したと推察されます。 Point1:23年最終、消費・インフレを確認 FRBと市場が見込んでいるインフレ鈍化のシナリオが正当化されるためには、消費や期待インフレの鈍化が条件となります。今週は住宅関連統計に加えて、20日(水)に12月消費者信頼感指数(コンファレンスボード)、22日(金)に12月ミシガン大学消費者マインド(確報値)、11月個人消費支出・所得統計(中でも、PCE(個人消費支出)デフレーターと呼ばれるインフレ指標)と、いずれも今後の消費、インフレ動向を予想するうえで注目度の高い指標が発表されます。これらの指標が消費減速やインフレ鈍化を示唆し、市場の利下げ観測を促す結果となれば、長期金利の低下、株高につながる可能性があります。 Point2:薄商いとなる中での要人発言には注意 クリスマス休暇が近づく中、週後半に向けて市場は薄商いとなることが予想されます。流動性が低下する可能性もあり、何かサプライズがあった場合にはボラティリティの高い展開となるリスクには警戒が必要です。現時点では19日(火)にアトランタ連銀ボスティック総裁の発言機会が予定されているだけですが、メディアインタビューを含め、FRB高官からの市場の利下げ観測をけん制する発言が見られるかも注目されます。 Point3:マイクロン、ナイキ…実は重要な9-11月期決算発表 米国は9-11月期決算発表が本格化しています。9-11月期決算企業数はS&P500企業ベースで全体の4%にすぎませんが、最も企業決算が集中する10-12月期決算(全体の89%)と2か月分の重なりがあることから、米国株を見通す先行指標として重要な決算期となります。 先週決算を発表した、オラクル(ORCL)とアドビ(ADBE)はいずれも9-11月期の一株当たり利益は市場予想を上回りました。しかし、オラクルは9-11月期の売上高(特にクラウド部門の売上高)が、アドビは12月-2月期の売上高見通しが、それぞれ市場予想を下回ったことで、発表翌日の両社の株価は下落しています。こうした状況から考えると、10-12月期に控えるソフトウェアセクターも好決算一色というわけにはいかなさそうです。米金利低下の恩恵を受けられるグロース銘柄を軸にしつつも、あくまでファンダメンタルズ(基礎的条件)に基づいた選別投資を進めていく局面でしょう。 今週は、2023年の相場をけん引した半導体関連株の先行きを見る上で20日(水)のマイクロン・テクノロジー(以下マイクロン)の決算を、グローバルな消費動向を見る上で21日(木)のナイキの決算に注目したいと考えます。特にマイクロンの決算は業界を見通すうえで示唆の多いものとなりそうです。 マイクロンが生産するメモリー半導体は、2024年の半導体市場の牽引役(WSTS予測によれば、前年比+44.8%)と予測されており、同カテゴリの成長が半導体市場全体の成長にとってもカギとなります。メモリーは足元で生成AI関連でデータセンター向けの需要が旺盛なDRAMに加えて、PCやスマホに多く搭載されるNANDの単価が減産効果と相まって上昇傾向にあるため、市場の関心が高まっています。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2023/12/18 16:26
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、反落 金融政策転換への警戒感が重石(12/18)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前週末比201円安の32,769円で取引を開始しました。寄付き後は、日銀の金融政策決定会合の結果発表を明日に控え、金融政策転換への警戒感から徐々に下げ幅を拡大しました。売り一巡後は32,500円台でもみ合いとなり、下げ幅は一時前週末比429円安となる場面もありました。後場に入ると、米株価指数先物が堅調に推移していることから、日経平均株価は徐々に下げ幅を縮小する展開となりました。結局、この日の日経平均株価は前週末比211円安の32,758円と、ほぼ寄値まで回復して取引を終えました。 業種別では、海運業が前週末比+5.61%と大きく上昇しました。紅海に通じるイエメン沖で、イスラエルと敵対する勢力が、船舶への攻撃を活発化しており、欧州の海運大手が周辺海域での運行を見合わせていることから、海運運賃上昇の思惑が広がりました。 個別では、ファーストリテイリングやアドバンテスト、リクルートホールディングスなどが下落し、3銘柄で日経平均株価を84円超押し下げました。 本日発表予定の海外経済指標等 【ドイツ】・12月Ifo企業景況感指数 前月:87.3 予想:87.8 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2023/12/18 08:30
【モーニングFINTOS!】NYダウ連日の史上最高値更新(12/18)
海外市場の振り返り 15日の米国株式市場で、NYダウは連日の史上最高値更新となりました。S&P500指数は前日比ほぼ変わらず、ナスダック総合指数は同+0.35%となりました。S&P500の連騰は6でストップしましたが、週間ベースでは7週連続で上昇し、2017年11月にかけての8週連続以来の長期連騰となりました。この日はFRB高官による利下げ期待へのけん制を受け、上値の重い展開となりました。ただし、米金利は上昇に至らず、大手テクノロジー株を中心に底堅い動きとなりました。 相場の注目点 今週は、日本で18日(月)~19日(火)に日銀の金融政策決定会合が開催されます。市場では金融政策の据え置き予想が大勢を占めています。次回24年1月会合での政策修正期待が高まっていることから、フォワードガイダンス(政策運営の指針)修正の有無や植田総裁の発言が注目されます。米国では、住宅関連統計に加えて、20日(水)に12月消費者信頼感指数(コンファレンスボード)、22日(金)に12月ミシガン大学消費者マインド(確報値)、11月個人消費支出・所得統計と、いずれも今後の消費、インフレ動向を予想するうえで注目度の高い指標が発表されます。これらの指標が消費減速やインフレ鈍化を示唆し、市場の利下げ観測を促す結果となれば、長期金利の低下、株高につながる可能性があります。 (投資情報部 寺田 絢子) (注)データは日本時間2023年12月18日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【最新ランキング】日本株、今週の値上がり/値下がり銘柄は? (12月第3週) 【今週のチャート分析】日経平均は12月に入り不安定な動き、75日線が下支えなるか(12/15) ご投資にあたっての注意点
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2023/12/17 19:00
【野村の動画】米金利低下による円高局面、半導体製造装置セクターに魅力
金融市場では、米国の利下げへの期待感が高まっています。ドル円相場に影響を与える米5年国債利回りがピークアウトする可能性が高まっており、金利差の観点からはドル円相場の上昇にも歯止めがかかりそうです。野村證券は2024年末のドル円相場を1ドル=135円と予想しており、このような市場環境下での適切な銘柄選択が問われています。 ご投資にあたっての注意点
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2023/12/17 13:00
【業界展望】拡大するトレーディングカード市場
トレカ市場は急拡大 トレーディングカード(以下トレカ)市場は近年急拡大している。2020年頃から多くのYouTuber がポケモンカードを中心にトレカのパック開封動画を投稿するようになったことが一因と見られる。加えて、かつて幼少期にトレカで遊んでいた世代が経済力を有する大人になり、購買単価が上昇したことも背景にあると考える。市場シェアは概ねポケモンカードが4~5割程度、遊戯王カードが2~3割程度、ワンピースカードゲーム、デュエルマスターズがそれぞれ1割程度と推察する。 トレカは価格変動が激しい トレカの二次流通価格は新パック発売やルール変更等に伴う需給動向に左右されやすい。新パック発売直後はカードの供給が少ないため価格が高騰しやすいが、数日で下落し落ち着く傾向がある。その後は新たなパック発売と共に旧パックの流通量が減少するため、徐々に価格が上昇し、販売終了後には高騰しやすくなる。23年に入ってからはポケモンカードの価格高騰が目立つが、1月にルール変更を実施しており、再販が見込まれないカードが増加したことが一因と推察する。 ルール変更の影響も大きい 遊戯王カードでは17年3月に大規模なルール変更を実施し、需要が大きく減少する局面もあった。当時のルール変更では過去のカードの使い勝手が大きく悪化し、プレイユーザーの引退や中古価格暴落に繋がった。新品・中古トレカを扱うテイツーでは関連商材の売上高が18.2期に大きく減少しており、ルール変更の影響が垣間見える。20年4月には再び遊戯王カードのルールが変更されたが、過去のカードの使い勝手が改善したことからユーザーの需要は再拡大している。なお、ポケモンカードでも23年1月にルールが変更されたが、変更が軽微であったことからユーザーに受け入れられたと考えられる。 遊戯王カードは25周年 遊戯王カードでは24年2月に25周年を迎えるにあたり、商品展開が拡大している。記念パックやフィギュア等の発売が複数予定されており、24.3期のコナミグループの売上高拡大に寄与すると野村では予想する。11月には海外で人気商品「RarityCollection」が発売され、国内でも人気の高い高単価パックの発売を24年2、3月に計2種類予定しており(例年は1種類)、ラインナップは充実している。25.3期は周年後の反動減がリスクであるが、24.3期上期決算説明会ではデジタル等の新しい展開やイベント開催等で今の流れを継続したいとのコメントがあり、更なる売上拡大に繋がるか注目したい。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 三木 成人) ※野村週報 2023年12月11日号「産業界」より <お知らせ>「野村週報」は、2023年12月18日号(15日発行)より「週間 野村市場展望」と統合し、新たな「野村週報」としてリニューアルされます。今後ともご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。 ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2023/12/17 09:00
【市場展望】ユーロ下落リスクは低下か
ユーロ円は一時160円台に上昇 ユーロドルは11月末に一時1.10ドル台と8月以来の水準を回復、ユーロ円も10月末以降は概ね160円超の歴史的高水準での推移を続けてきた。 野村では、①世界の景気減速懸念を受けた市場心理の悪化、②ユーロ圏の景気減速による対内証券投資の減少、③原油価格上昇に起因する交易条件の悪化、の要因から、ユーロは年末にかけて対ドルで1.02ドル程度まで下落すると想定していた。10月上旬には1.05ドル割れと概ねシナリオに沿って推移してきたが、足下のユーロは想定以上の底堅さを見せていると言えよう。 最近のユーロ反発の背景には、①米金利のピークアウトを受けた独-米金利差のマイナス幅縮小や②米国経済のソフトランディング期待に起因する市場心理の改善、があろう。11月に入り公表された10月分の米雇用統計やCPI(消費者物価指数)はともに市場予想を下振れ、市場はFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ局面は終了との見方を強めた。加えて、FRBウォラー理事が11月28日にあと数カ月インフレ率が低下し続ければインフレ低下に対応した利下げを開始できると言及、市場はFRBが2024年前半にも利下げを開始するとの期待を強めている。為替市場でもドルピークアウトとの見方が広がり、米金利低下や欧米株高がユーロ高材料となっている。 加えて、③イタリア国債の格下げ・格付け見通し変更の回避、④スペインの政治リスク低下、⑤ LNG(液化天然ガス)価格の低位安定が原油価格上昇による交易条件の悪化を抑制したこと、⑥投機筋のポジション整理が進みユーロ買い・ドル売りポジションを構築しやすくなったこと、の要因もユーロ高材料となっている。ユーロ安リスクは低下していると判断されよう。 対ドルでは一段のユーロ高も 24年入り後のユーロドルは、①市場がFRBへの利下げ期待をやや高めすぎていること、②米欧の景況感の違いからFRBよりECB(欧州中央銀行)への利下げ期待が先行しやすいことなどにより、米欧金利差が上値を抑え、上昇は一服すると見込んでいる。 野村の経済見通しでは、米国は24年後半までマイナス成長を回避する一方、ユーロ圏は23年7~9月期から3四半期連続でマイナス成長に陥ると予測している。こうした米欧の景況感の差を反映し、24年初めにかけてはECB の利下げの織り込みがFRBに対するそれより先行しやすいであろう。24年前半のユーロドルは1.10ドル前後での推移が続きそうだ。 24年半ば以降は、ユーロは対ドルで再び上昇に転じ、24年末には1.14ドル程度まで達すると想定している。24年央に入ると、米国のマイナス成長入りが現実味を帯び、市場のFRBの利下げ織り込みが本格化する一方、ユーロ圏では景気が持ち直しに転じる公算が大きい。したがって、24年末にかけては、米欧の景況感が逆転し、米欧金利差に支えられる形でユーロは対ドルで堅調に推移すると考えられる。 対円でのユーロの値動きを展望すると、23年末にかけては、ユーロドルの堅調が見込まれるもと、リスク心理が改善する中でキャリー需要による円安圧力が根強いこともあり、ユーロ円は160円台後半まで上昇するリスクも否定できない。 もっとも、24年入り後のユーロ円は春頃から下落傾向が明確になり、24年末時点で154円程度まで円高が進行すると予想する。年明け以降は、米国経済および世界経済の減速感が徐々に強まっていき、市場心理の悪化がユーロ安円高圧力として作用しよう。加えて、野村では、日銀は24年4~6月期にイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)を撤廃、7~9月期にもマイナス金利解除を決定することをメインシナリオとして想定している。ECBが利下げ開始に差し掛かるタイミングでの日銀政策正常化の進展は、日欧金利差を大きく縮小させる公算が大きく、ユーロ円の下押し材料となろう。 ユーロ円は既に08年以来の高水準まで上昇している。短期的にはユーロ円に上昇余地が残るものの、160円台での推移は定着しない見込みだ。ユーロ円については、ECBへの利下げ織り込み本格化が見込まれる24年央に向けては下値リスクを警戒すべきだろう。 (野村證券市場戦略リサーチ部 後藤 祐二朗、茂木 仁) ※野村週報 2023年12月11日号「焦点」より <お知らせ>「野村週報」は、2023年12月18日号(15日発行)より「週間 野村市場展望」と統合し、新たな「野村週報」としてリニューアルされます。今後ともご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。 ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2023/12/16 19:00
【野村の動画】2024年12月末のドル円相場は135円と予想
野村證券は、2024年に向けたドル円見通しを見直しました。2024年3月末の見通しは1ドル=142円、そして2024年12月末の見通しは1ドル=135円とします。その背景を動画で解説いたします。 ご投資にあたっての注意点