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01/31 09:51
【米国株決算速報】マイクロソフト(MSFT):生成AI利用の主導が業績に好影響、株価は+0.19%(時間外取引)
決算概要:2023年10-12月期(2024.6期第2四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間1月30日引け後に、「Office」や「ウインドウズ」、クラウドソフトの「Azure(アジュール)」などで知られるソフトウェア企業であるマイクロソフト(MSFT US)が2023年10-12月期(2024.6期第2四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を1.5%上回り、EPSは市場予想を5.3%上回りました。 会社の2024年1-3月期売上高見通しは、ビジネスソフト部門やPC・ゲーム部門が市場予想を下回った一方、クラウド部門は市場予想を上回りました。 生成AI利用の主導が業績に好影響 サティア・ナデラ会長兼CEOは「当社はAIについて語る段階から、AIを大規模に適用する段階に移行しました。当社のテクノロジーのあらゆる分野にAIを導入することで、新たな顧客を獲得し、あらゆる分野で新たなメリットと生産性の向上を促進しています」とコメントしました。「ChatGPT」で知られるOpenAIとの提携を強化し、オフィスソフトなどに生成AI機能を追加する「コパイロット」を実用化するなど当社が主導してきた生成AI利用の拡大が、市場予想を上回るクラウド部門の実績や見通しに反映されたと考えられます。 売上高とEPSの推移 株価は時間外取引で終値近辺で推移 マイクロソフトの株価は、前日比0.28%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では一旦下落後反発し、終値比0.19%高の409.35ドルで推移しています(NY時間18:05)。市場予想を上回るクラウド部門の売上高見通しに反応したと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。2023年10-12月期の実績は、2023年10月13日に買収したアクティビジョン・ブリザードを含む(PC・ゲーム部門)。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2024年1月30日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年10-12月期(2023/12)。2024年1-3月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2024年1-3月期以降の予想は2024年1月29日時点。2022年10-12月期以前のEPSの実績・予想は非米国会計基準。(出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】マイクロソフト(MSFT):コパイロットのリリースを前にクラウド事業堅調、株価は+3.47%(時間外取引) 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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01/31 08:24
【モーニングFINTOS!】NYダウは4日続伸、史上最高値更新(1/31)
海外市場の振り返り 30日の米国株式市場は、主要3指数はまちまちの展開でした。アナリストによる目標株価の引き上げが好感され、ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースなど金融株の一角が上昇したことから、NYダウは4日続伸し、史上最高値を更新しました。一方、FOMCの結果公表や大型のハイテク株の決算発表を控え、持ち高を調整する動きが強まり、S&P500指数やナスダック総合指数は小幅に反落しました。 相場の注目点 FOMCの結果は、日本時間1日午前4時に公表され、4時30分からパウエル議長の記者会見が予定されています。前回12月のFOMCでは、先行きの利上げについての表現が微修正され、「場合」が追加されたことで追加利上げの前提の姿勢が弱められましたが、今回は「調整」といった表現に更に弱められる見込みです。一方で、パウエル議長は利下げ開始時期について曖昧さを残し、引き続き、データ次第の姿勢を強調すると想定されます。足元で概ね5割程度となっている3月利下げ開始の織り込みに大きな変化は生じず、結果を受けた金融市場の反応は、落ち着いたものになるとみられます。 本日のイベント 本日は、1月金融政策決定会合における日銀の主な意見が公表されます。植田総裁が23日の金融政策決定会合後の記者会見で示した、「インフレ目標達成に向けた見通し実現の確度が高まっている」との見方が政策委員内でどの程度共有されているか注目です。また、日米ともに多数の企業決算発表が予定されています。 (投資情報部 澤田 麻希) (注)データは日本時間2024年1月31日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【週間ランキング】最も閲覧数が多かった個別銘柄は?トップ10を紹介(1/30) 【特集】野村證券「四季報の会」 新春号の見どころを探る【5000~9000番台】 ご投資にあたっての注意点
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01/30 19:00
【週間ランキング】最も閲覧数が多かった個別銘柄は?トップ10を紹介(1/30)
決算発表シーズンがスタート、ニデックなど複数の決算銘柄がランクイン 2024年1月24日のニデック(6594)などを皮切りに、日本企業の2023年10-12月期決算の発表が本格化してきました。ランキングの上位には、すでに決算発表を実施した企業が複数名を連ねています。 信越化学工業(4063)が2位にランクインしました。2023年10-12月期(3Q)決算では、営業利益が1,776億円となり、野村予想の1,926億円を下回りました。3Qでは、「レアアース(希土類)磁石」の原材料の在庫評価損失などが計上されました。野村ではこれらを一過性のコストとして認識しています。 ニデックが3位にランクインしました。2023年10-12月期決算では、営業利益が536億円となり、野村予想の540億円とほぼ一致しました。機器装置事業は半導体パッケージ用検査装置の出荷が減るなど、想定外に振るいませんでした。一方、精密小型モーターやEV(電気自動車)向け以外の車載用モーターは好調であり、負の影響を相殺しました。 ファナック(6954)が10位にランクインしました。2023年10-12月期決算では、営業利益が409億円となり、野村予想の330億円を上回りました。期末の為替レートが円高となったことで、棚卸資産(在庫)に含まれる未実現利益が変動した影響と見られます。そのほか、会社は2024.3期の営業利益計画を、売上高見通しの引き上げなどに伴い、従来の1,219億円から1,322億円に上方修正しました。 (野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2024年1月29日時点。 ご投資にあたっての注意点
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01/30 16:21
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、主要企業の決算発表を控え小幅続伸(1/30)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前日比169円高の36,196円で取引を開始しました。前日の米国株式市場でフィラデルフィア半導体株指数が上昇した流れを引き継ぎ、東京エレクトロンなどの半導体関連株の上昇が目立ちました。その後も、ファーストリテイリングなどの主力株の上昇に押し上げられ、日経平均株価は一時前日比222円高の36,249円まで上げ幅を広げました。しかし、新規の材料も見当たらない中、主要企業の決算発表を控え、日経平均株価は勢いを失い36,100円を挟んで一進一退となりました。米ドル円相場は、1米ドル=147円台前半で、円高米ドル安が重石となりました。日経平均株価は方向感を失ったまま辛うじて36,000円台を維持し、前日比38円高の36,065円と小幅に続伸して取引を終えました。 2023年10-12月期の決算発表を終え、減益決算が悪材料視されて前日まで大幅に下落していた信越化学工業は、先行きの業績改善を期待され前日比+3.02%と反発しました。前日減益決算を発表し、同時に自社株買いを発表した日東電工は、本日も同+3.50%と続伸しました。 本日発表予定の海外経済指標等 【ユーロ圏】・10-12月期実質GDP速報値(前期比) 前回:-0.1% 予想:-0.1% 【米国】・ 1月消費者信頼感指数(コンファレンスボード) (総合)前月:110.7 予想:114.5 ・12月雇用動態調査(JOLTS、求人件数) 前月:879.0万人 予想:875.0万人 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/30 09:30
【特集】野村證券「四季報の会」 新春号の見どころを探る【5000~9000番台】
野村證券社内で長く受け継がれている、四季報を読み解き国内経済の動きを学ぶ「四季報の会」。『会社四季報2024年新春号』(東洋経済新報社刊)を読破した投資情報部のリサーチャーらがパートナー(個人投資家向けの営業担当者)向けに解説した。2回目は後半(銘柄コード5000~9000番台)の一部を紹介する。 【5000番台】成長事業の動向が中期的な注目点に 5000番台の主な業種は石油・ゴム、非鉄金属、金属製品などが中心です。全般的に重厚長大の素材産業が多い番台ですが、東証の要請や脱炭素に向けて変革をとげ、投資家から大きな評価を受ける企業がこの中から出てくると期待しています。 石油は、原油価格の上昇が追い風になったものの、引き続き、事業ポートフォリオの見直し、脱炭素に向けた事業の見直しがまだまだここから、と言った印象です。 出光興産(5019)の右側の見出しは「増配」とありますが、「燃料油は前半輸出伸びても後半は利幅暗転」などとあります。 一方、材料記事となる左側の見出しは次世代の蓄電池「全固体電池」です。「トヨタ自動車(7203)とEV(電気自動車)向けで協業」などと非常にわかりやすいキーワードが出てきます。新しい事業が成長し、企業変革を遂げていくことができるのか、今後も注目したいと思います。 同様に、ENEOSホールディングス(5020)の左側の見出しは「脱炭素」となっており、石油以外の事業に注力していく戦略が見て取れます。石油元売りの企業だけでなく、5000番台の多くの企業が成長戦略に脱炭素関連を掲げており、今後はこの分野で利益を出せる企業の評価が高まるのではないかと期待しています。 5000番台でも、低いPBR(株価純資産倍率)を意識した資本政策を実施、検討している企業がありました。一方、三ツ星ベルト(5192)には、「『配当性向』100%方針は次期中計で見直し、来期以降60%強メド移行か」とあります。一見、株主還元が後退し、株価にとっては悪い材料となりそうな動きですが、後の記述に「国内外で電動パワステ用ベルト生産ライン増強」とあります。 株主に対していつまでも配当性向100%で還元を続けていては、自社の成長自体が困難となります。電動パワステ用ベルトが成長し、現在の利益水準、収益性を改善させることができれば、株主還元以上の評価を中期的に受けることになるのではないでしょうか。 【6000番台】「企業経営の教科書」はあの会社 6000番台は日本の強みともいえる半導体や電子部品、産業用機械、ロボットなどの企業が並ぶ、メインともいえる番台で大手の企業もたくさんあります。 ソディック(6143)をご覧ください。機械メーカー全体、6000番台全体に、今号の全体にもいえることですが、やはり中国市場の厳しさについて触れられています。「主力の中国向けの工作機械が想定以上に低迷」で赤字に転落してしまう見通しです。 続く西部電機(6144)は、右側の見出しが「好転」とはありますが、こちらも「中国の景気減速受け精密機器が減少」と書いてあります。さらにNITTOKU(6145)も「上振れ」ながらも、中国向けは後退しているとのことです。ただ、北米、南米向けは好調のようです。 時価総額の大きな銘柄も中国の影響を受けています。空圧制御機器で世界首位のSMC(6273)も右側の見出しは「反落」です。「中国景気低迷で高採算のEV向け数量減」と厳しいようですが、2025年3月期は欧米向けが伸びてくるそうで、半導体関連も回復する見通しとのことです。中国景気は依然として厳しいものの、その他の地域で回復感がみられる点や、4000番台でも確認したように半導体の回復が来期の業績回復をけん引していく可能性があります。 半導体の話が出たので、続けてディスコ(6146)をご覧ください。半導体の切断装置で世界首位の企業ですが、「生成AI向け牽引」という言葉があります。 生成AI向けの製品では、やはり半導体に注目すべきではないかと考えています。 生成AI向けの製品には、さまざまな半導体を積み上げていく「パッケージ」の技術が必要になるとみられ、TSMC(台湾積体電路製造)などが設備投資し、能力を増強するのではないかという見方があります。これに伴ってディスコの手掛ける装置の需要が伸びる可能性があります。 さらに、エヌビディア製のAI用GPUに搭載されている高性能なメモリ半導体(HBM)の需給も逼迫しており、その設備投資の恩恵を受ける半導体関連銘柄も見受けられました。 生成AI向け半導体のパッケージ技術と、HBMという2つのテーマに沿っているのがディスコで、株価もかなりのスピードで上昇しているのがわかります。EV化のトレンドで、シリコンカーバイドなど実際のパワー半導体関連の技術にも関連する企業なので、株式市場で評価されているのではないかと思います。 東証の要請もあって、企業の構造改革も進んでいます。先んじて構造改革に成功した例の代表格は日立製作所(6501)です。足元は「剥落」になっていますが、株価はずっと右肩上がりで推移しており、PBRでの評価も利益水準も高まっています。業績の悪い部分を徹底的に見直してROIC(投下資本利益率)を向上させている、「企業経営の教科書的な存在」といえそうです。左側の見出しは「再編」です。IT事業を再編し新会社を設立、生成AIなどの事業を推進するようです。今後は自動車向け事業などが焦点になりそうです。 【7000番台】自動車業界「最高益」続出、小売はPB強し 7000番台では輸送機器、特に自動車メーカーや卸売・小売などを中心にご紹介します。 自動車業界は「最高益」や「再増配」「再増額」などの見出しが目立ちました。半導体の供給改善や円安などが追い風となって業績に寄与し、業界全体の営業利益の押し上げにつながっているようです。 世界最大手のトヨタ自動車(7203)は右側の見出しが、「再増額」となっています。「世界販売(台数)は過去最高の1138万台。高単価のSUV(スポーツ用多目的車)が伸長、中国苦戦も台数増の日米欧が高水準」とあります。円安効果や販売価格改定が想定を超えている模様です。米国初の電池工場に1.2兆円の追加投資も行い、2025年には稼働予定ということで、まだまだ期待が持てると考えています。 マツダ(7261)は低燃費で性能が高いエンジンが強みの自動車メーカーで、右側の見出しは「最高益」です。米国などで利幅の厚い高級SUVが貢献しているそうです。営業増益幅も拡大し増配も行っています。 各社の業績を見てわかるのは、現在、北米などを中心にSUVがかなり売れているというのがわかります。高品質なSUVの好調ぶりがさまざまな銘柄に表れています。 7000番台の小売や外食はコロナ禍からの人流回復に伴う売上高の増額が顕著にみられます。また、PB(プライベートブランド)の伸長に伴う営業利益の改善も特徴的でした。 コーナン商事(7516)はホームセンター大手で、大阪府発祥で近畿圏を中心に国内各地に店舗を展開しています。こちらは、買収した九州地盤のホームセンター「HIヒロセ」へのPBの供給を増やし連携とあります。これが右側の見出しにある「連続増配」につながっている可能性があります。 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)は総合ディスカウントストアのドン・キホーテを展開していることで知られています。右側の見出しは「増額」となっています。国内外での出店が進展し、既存店はインバウンド需要などで好調のようです。PB商品の比率を上げており、業績はかなり好調です。 西松屋チェーン(7545)の右側の見出しは「増配」です。こちらも店舗を50店舗増やし、「最高純益で増配」とのことです。左側の見出しは「成長戦略」となっており、「PB商品の海外卸売りは引き合いが強い」とあります。 【8000番台】 地銀、住宅価格高騰で住宅ローン見直し 8000番台には商社や小売、アパレルから始まり、中盤から後半にかけて銀行や証券・保険など金融機関や不動産などの業種が並びます。 商社は全体として、各商品の市況がそのまま業績に影響を与えている印象を受けました。半導体不足の解消を背景に、自動車や建機などの商品は堅調に推移している一方で、石炭や鉄鉱石などは、需要の落ち込みにより減速傾向がうかがえます。 伊藤忠商事(8001)は「石炭鉄鉱石価格下落だが円安恩恵もあり小幅減益止まり」とあります。商品市況が悪化する一方で、円安の恩恵により減益幅が縮小しているという記載は、他の商社でも多く見られました。 左側の見出しは「アンモニア」となっています。次世代エネルギーの開発など将来の成長へ向けた新規投資の動きも見られ、これらの具体的な投資額や完成時期などの動向にも今後注目したいと思います。 次に銀行業界を見ていきます。銀行は前号に続き、金利上昇によるスプレッドの改善を示す記述や、株主還元に関する記述が多く見られました。 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)の右側の見出しは「最高益」です。「海外軸に預貸金の利ザヤが拡大」しているとあります。やはり金利の上昇が利益に好影響を与えていることが見て取れます。左側の見出しは「巨額」となっており、「24年3月末までに4000億円、4億株上限に自己株取得」とあります。堅調な企業業績の一方で、積極的に株主還元の取り組みを進めていることもうかがえます。 そして、好調な銀行はメガバンクだけではありません。群馬銀行(8334)は「県外法人や住宅ローン軸に貸出残高漸増」となっているほか、東北最大の地銀である宮城が地盤の七十七銀行(8341)も「法人向けを中心とした貸出金利息や利息配当金想定超え好調」とあります。地元の企業の借入需要が増加しているようです。 地方銀行の新しい取り組みとしていくつかの銀行で見られるようになったのは住宅ローンの見直しです。「値上げ」などの言葉が多く見られる四季報ですが、原材料高によって住宅価格も上がっています。そうなるともちろん、個人が住宅を購入するハードルが高まります。 長野地盤の八十二銀行(8359)の「住宅価格の高騰を受け、住宅ローンの限度額を従来の1億円から2億円に引き上げ」島根、鳥取が地盤の山陰合同銀行(8381)の「住宅価格高騰受け、住宅ローン借入期間を最長50年まで拡大」など、住宅価格の上昇に対応し、個人の借入限度額を引き上げたり、返済期間を長期化し毎月の返済額を減らしたりし、住宅ローンを組みやすくする動きが見られ始めています。 【9000番台】人件費や値上げがやはり注目テーマに 9000番台は主に業種として、運輸や通信、電力、ガスなどインフラに関わる業種が中心です。全体を通して「回復」が続いている印象です。 東日本旅客鉄道(9020)は、前々号の2023年夏号には「通勤定期客がコロナ禍前の8割ほどで頭打ち」とありましたが、今回は「定期客も想定超えて伸長」としっかり回復したことがわかります。 一方、気になるのはロジネットジャパン(9027)の左側の見出し「改善」です。ドライバーに最大15%の待遇の底上げで退職を引き止め、若手や中途採用の社員の確保を急ぐとあります。人員の確保をするように動いています。 こういったドライバーの人員不足は、バス業者などの動きにも表れています。西日本鉄道(9031)には「2024年1月に路線バスの運賃値上げ」とあります。初乗り運賃を170円から210円に引き上げるそうです。金額は40円とわずかな額に感じますが、値上げ率で言うと約23%です。23%値上げし、客数が大きく減少しなければ、企業業績にとって大きなプラス影響になると言えます。 京福電気鉄道(9049)は逆に運転手不足の解消にめどが立たなかったパターンです。「福井~東京間の高速バス路線を正式に休止」とあります。このようにドライバーを確保できなくなり、事業を縮小する動きもみられます。 ヤマトホールディングス(9064)の右側の見出しは「一転減益」となっており、「宅配便は値上げで単価改善だが、中小のEC鈍く物量減が想定超」とあります。物量は「2025年3月期に徐々に底入れする」とありますが、1000番台の建設業者の解説でも触れた運送業者の「2024年問題」への対応などもあり、ヤマトなどの物流業者はあまり楽観的な見方はできないといえそうです。 同じ運送業者でもアマゾン向けのEC関連の配送などを手掛けるAZ-COM丸和ホールディングス(9090)はROE(自己資本利益率)が24%と非常に高い水準です。PBRも非常に高水準といえます。この会社はEC関連以外にも公募増資などで資金調達し、食品物流センターの建設資金に充てるなど、攻勢をかけているのがわかります。 (【1000~4000番台】を読む) ※「四季報の会」は、パートナー(個人投資家向けの営業担当者)に対して四季報の読み方を解説したものであり、個別の企業の株式に対する投資判断を提供する目的ではありません。 ご投資にあたっての注意点
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01/30 08:27
【モーニングFINTOS!】NYダウ、金利低下を好感し最高値更新(1/30)
海外市場の振り返り 29日の米国株式市場で、主要3指数は上昇しました。この日は、ECBの政策委員会メンバーであるビルロワドガロー仏中銀総裁が「ECBは今年いつでも利下げが可能」と発言したことを受け、欧州主要国債利回りが低下したことや、米財務省が2024年第1四半期の政府借り入れ額を従来予想から下方修正したことから、米10年国債利回りが低下し、主要3指数は揃って上昇しました。 相場の注目点 今週は注目イベントが目白押しです。1月30日(火)~31日(水)に米国FOMC、31日(水)のFOMC後にはパウエルFRB議長の記者会見が予定されているほか、2日(金)には米国1月雇用統計の発表があります。決算発表では、30日(火)にマイクロソフトやアルファベット、2月1日(木)にはアップルやアマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズなどが2023年10-12月期決算発表を予定しています。FOMCでは、4会合連続の政策金利据え置きがコンセンサスです。市場の関心は2024年3月以降と見られる利下げ開始時期、利下げペース、政策金利の着地点や、バランスシート縮小ペースに集まっており、何らかのヒントが得られるか注目です。また、これまでの米国企業の決算発表では、情報技術企業を中心に全般的には堅調です。足元の業績動向に加え、各社経営陣による生成AI市場への取り組みなどが注目されます。 本日のイベント 本日は、日本で今年の内閣全体の基本方針を示す岸田首相による施政方針演説など政府4演説が行われます。 (投資情報部 寺田 絢子) (注)データは日本時間2024年1月30日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【今週の米国株】「マグニフィセント7」決算続々、NYダウの高値更新はあるか(1/29) 【特集】野村證券「四季報の会」 新春号の見どころを探る【1000~4000番台】 ご投資にあたっての注意点
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01/29 20:00
【今週の米国株】「マグニフィセント7」決算続々、NYダウの高値更新はあるか(1/29)
先週:情報技術銘柄主導で史上最高値更新へ 米主要企業の2023年10-12月期決算発表が本格化しています。先週発表分では失望的なものも散見されましたが、情報技術企業中心に全般的には堅調で、情報技術セクター主導で株式市場を押し上げ、S&P500指数、NYダウ指数は共に連日史上最高値を更新しました。 今週のポイント1:30日(火)~マグニフィセント・セブン決算相次ぐ 今週も米主要企業の決算発表が続きます。30日(火)にはマイクロソフト(MSFT)とグーグルの親会社であるアルファベット(GOOGL)、2月1日(木)にはアップル(AAPL)、アマゾン・ドットコム(AMZN)、フェイスブックやインスタグラムを運営するメタ・プラットフォームズ(FB)の発表が予定されています。いわゆる「マグニフィセント・セブン」のうち先週発表となったテスラ(TSLA)を合わせ6社が決算発表を迎え、市場の関心が高い週となります。(残り1社のエヌビディア(NVDA)は2023年11-2024年1月期決算のため約1ヶ月後に発表)。 米国の主要株式指数の変動に対して、これら7社の寄与率が過半を占めることも珍しくありません。マグニフィセント・セブンの時価総額の騰落率は、2022年の金利上昇による相場下落時にはその他企業(S&P500構成企業)を大幅に劣後しました。しかし、2023年には利上げによる悪影響を克服し、米国株全体を牽引し相場上昇に寄与しました。 時価総額の裏付けとなる業績を見ても、マグニフィセント・セブンの寄与度は大きいといえます。S&P500構成銘柄のうちこれら7銘柄を除いた銘柄合計では2023年10-12月期決算においても前年同期比減益が予想される一方、7社合計では大幅に同増益となることが予想されています。 S&P500構成企業の純利益に見る業種別の増減率の推移 (注)データは四半期。2023年第3四半期は実績が無ければLSEG(旧リフィニティブ)集計の市場推定、2023年第4四半期以降は市場予想で、2023年11月21日時点。S&P500組入銘柄のうち、データを取得できる企業の純利益の合計。純利益は継続事業ベースの調整後利益。市場予想の無いバークシャー・ハサウェイは除いている。予想については、3社以上の市場予想が無い企業は前年同期比変化なしと置いている。マグニフィセント・セブン(Mag7)はアマゾン・ドットコム、アップル、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、マイクロソフトのGAFAMと呼ばれる5社にエヌビディアとテスラを加えた7社。情報技術は、ソフトウエア・サービス、コンピューターや通信機器などのテクノロジー・ハードウエアおよび機器、半導体・半導体製造装置が含まれる。マグニフィセント・セブンの7社は、情報技術やその他の項目と重複はしていない。 (出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 マグニフィセント・セブンの実績・見通しが市場予想を上回る内容であれば、株価には更なる追い風となりそうです。 先週の株式市場では、市場の関心が高い半導体セクターの2023年10-12月期の決算発表が相次ぎました。半導体製造装置グループは、ASML(米国預託証券(ADR)のティッカーコードはASML)では受注額が、ラムリサーチ(LRCX)では売上高・一株当たり利益の見通しがいずれも市場予想を上回りました。一方、半導体メーカーであるインテル(INTC)は売上高・一株当たり利益の見通しがともに市場予想を下回りました。個社ではデータセンター向けやプログラマブルチップなど利益率の高い半導体でやや出遅れていると見られ、半導体セクター全体を見渡しても製品別や業界内での位置づけにより明暗が分かれている様子がうかがえます。今週も、データセンター向けで伸長するアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)が30日(火)、携帯通信向け半導体のクアルコム(QCOM)やメモリー半導体最大手のサムスン電子(米国上場なし)が31日に決算発表を予定するなど、半導体製品別のインプリケーションとなる注目決算が続きます。 またソフトウェア決算発表の前哨戦として注目された24日(水)発表のサービスナウ(NOW,企業内の業務フローをデジタル化するソフトウェアに強み)は、売上高・一株当たり利益とも市場予想を上回り、2024年12月期の通期見通しを引き上げました。幅広い業種でソフトウェア契約が進んだほか、生成AI(人工知能)を活用した新機能が市場から好感されました。今週のソフトウェア決算では、こうした傾向がセクター全体に広がっているかを確認したいと考えます。 今週のポイント2:31日(水)のFOMC結果発表 1月FOMC(米連邦公開市場委員会,30-31日)が開催されます。今回のFOMCは今後の政策金利見通し(ドッツ、FOMC参加者による金融政策見通し)が公表される会合ではなく、政策変更もないとみられます。ただし、FOMC結果発表後のパウエルFRB(連邦準備理事会)議長の会見などで、今後の政策金利操作について何等かの示唆がないかが注目されます。 野村ではこれまで景気減速・後退をFRBの利下げ転換の条件とみてきました。しかし、2023年12月FOMC見通しでは、参加者の過半数が「インフレ率の見通しに関するリスクは上下に均衡している」との見方を示しました。加えて、足元のFRB参加者の発言によれば、インフレ抑制に前進がみられれば利下げ開始が可能になるとのコンセンサスがあるとみられます。こうしたFRBの方針転換を背景に、野村では米国が景気後退入りするとの予想を撤回した上で、2024年中に1.00%ポイントの利下げが実施されると予想します。タイミングは5月、7月、9月、12月に各0.25%ポイントと予想します。 今週のポイント3:2日(金)の雇用統計 経済指標では、FOMC通過後ではあるものの、2日(金)の1月雇用統計に注目が集まります。非農業部門雇用者数の市場予想は前月比+18.5万人(12月同+21.6万人)、失業率の市場予想は1月3.7%(12月3.7%)、平均時給の市場予想は前月比+0.3%(12月同+0.4%)と、総じて堅調な数字が予想されています。これまで労働参加率の回復がインフレ減速に寄与してきましたがこのところ回復が止まっており、賃金上昇がインフレ要因となるシナリオには注意が必要です。 その他1日(木)に1月ISM製造業景気指数など重要指標は今後の金融政策決定にも影響を及ぼすため、注意深く確認したいと考えます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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01/29 15:58
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、反発 米景気の軟着陸への期待が支え(1/29)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前週末比63円高の35,814円で取引を開始しました。前週末の米国株式市場で、米景気の軟着陸(ソフトランディング)への期待から、NYダウが最高値を更新したことが好感されました。寄付き後は、徐々に上げ幅を拡大し、前場の間はほぼ一本調子で上昇する展開となりました。後場に入り、中国株式市場で、経営危機に陥っている不動産大手の恒大集団に清算命令が下されたと報じられると、中国の不動産市場が一層冷え込み、中国経済に悪影響を及ぼすとの懸念から、上海総合指数が下落に転じたことが嫌気され、日経平均株価は徐々に上げ幅を縮小する展開となりました。引けにかけてやや値を戻し、前日比275円高の36,026円でこの日の取引を終えました。 個別では、前週末引け後に決算を発表した日東電工の株価が、決算内容は振るわなかったものの、自社株買いを発表したことが好感され、前週末比+5.19%となりました。 本日発表予定の海外経済指標等 特にありません。 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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01/29 09:30
【特集】野村證券「四季報の会」 新春号の見どころを探る【1000~4000番台】
野村證券の社内企画「四季報の会」。同社投資情報部のリサーチャーらが『会社四季報』(東洋経済新報社刊)2024年新春号を読破し、パートナー(個人投資家向けの営業担当者)向けに、解説した。まず、新春号の前半(銘柄コード1000~4000番台)の解説の一部を紹介する。 【巻頭】日本企業全体の業績は引き続き堅調 巻頭の『【見出し】ランキングで見る業績トレンド』を見ると、上位3つの見出し「続伸」「上振れ」「上向く」の順序自体は前号の2023年秋号(2023年9月発売)と変わっていません。日本企業の業績は前号から引き続き、堅調さが維持されていることがわかります。 また、今号では「DOEランキング」が掲載されています。DOE(Dividend on equity ratio)は「株主資本配当率」を指し、企業が株主資本に対してどの程度の配当を支払っているかを示す指標です。DOEは前々号の2023年夏号から、四季報での言及が急に増えたワードです。東京証券取引所が2023年3月に開示した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を受け、資本政策を意識する企業が増えたことが要因とみられます。注目される指標についてランキング形式で確認できる点も四季報を活用するメリットです。 【1000番台】建設業の「2024年問題」に注目 四季報では、右側の見出しと文章は直近業績、左側は材料記事となっており、経営のトピックや中期的な戦略などが書かれています。 まず冒頭の極洋(1301)の見出しは右側が「高水準」、左側が「海を越え」となっています。営業利益で高水準を保ちつつ、海を越えるM&Aでさらなる成長を目指しています。仮にM&Aが成功し、利益水準の向上やROE(自己資本利益率)の改善が実現すれば、企業価値が見直され、PBR(株価純資産倍率)での評価も高まるかもしれません。 極洋の比較会社であるニッスイ(1332)も左側の見出しは「最高益」、マルハニチロ(1333)も「高水準」になっていて、価格改定の効果が出ていて水産業はおおむね好調といえそうです。 ショーボンドホールディングス(1414)は道路や橋梁などのインフラ工事を手掛ける企業ですが、注目いただきたいのは、「9割以上の作業所で週休2日制実施」との記載です。首都圏でマンション建設を手掛けるファーストコーポレーション(1430)は群馬県の建設会社と業務提携して、共同住宅建設によって作業員の相互融通、時間の貸し借りのような取り組みを進めるとのことです。 4月から運送業者や建設業者の時間外労働の規制が厳しくなる「2024年問題」が今年の一つのテーマです。先ほど挙げた2社の記載でもわかるように、1000番台の中心である建設業では難しい対策を迫られる企業が多いのではないでしょうか。 人件費の高騰が建設業では喫緊の課題となる中、収益性の高い案件を選んで受注することができるのか、選べるほど受注環境が良好になってくるかどうかが建設会社にとっては重要な要素となりそうです。足元の受注高や利益率も四季報では確認することができるので、「2024年問題」にうまく対応している企業を見つけたいですね。 その他、建設業で目を引いたのは、「大型SEP船」という言葉です。SEP船(自己昇降式作業台船)とは、海上作業用の箱船(台船)を海面上から上昇させてクレーン、杭打ち等の作業を行う台船のことです。 では、海上で何を建設するのかでしょうか。清水建設(1803)には、「大型SEP船は24年2月に台湾沖洋上風力工事で稼働」とあります。鹿島建設(1812)にも「五洋建設と共同開発のSEP船は北九州・響灘洋上風力工事で23年11月稼働」とあり、どうやら洋上風力発電所の建設に使用していることがわかります。大手ゼネコンだけでなく、準大手ゼネコンなどでもSEP船を使用した洋上風力発電の建設に注力している様子が四季報を読むとわかります。これも今年の建設業界におけるテーマの一つになるのではないかと期待しています。 【2000番台】製パン2社で明暗分かれる 2000番台は主に食料品や小売の企業が中心です。引き続き、価格転嫁による利益の増加が目立っている様子がうかがえます。 ニップン(2001)は右側の見出しに「最高益」とあります。左側の見出しは「効率化」、さらには「M&Aに前向き、海外にも強い関心」とあります。同業で国内最大手の日清製粉グループ本社(2002)を見ていただけますと、こちらも右側の見出しに「最高益」とあります。国内での価格改定が浸透し、小麦から小麦粉を製造する際に発生する副産物であるふすまの販売で利益を増加させているようです。 昭和産業(2004)は右側の見出しが「急反発」となっており、「農産物の原料高を反映した価格改定の効果が大きい」とあります。そして左側の見出しは「重点」となっており、「グループ会社を含めた生産拠点の最適化で収益改善を進める」とあります。製粉各社は前号からさらに改善している印象ですが、株価はやや伸び悩んでいます。持続的に利益を伸ばしていくための次の一手や、株価の上昇につながるような経営戦略を株式市場は期待しているのではないか、そして市場参加者は、その成果を見極めようとしているのではないかとみられます。 次に、製パン2社で比較してみたいと思います。まず、山崎製パン(2212)は値上げが浸透して、業績が改善してきています。長らくPBR1倍を割って推移していましたが、今号では1.73倍とかなり回復してきており株価も堅調に推移しています。見出しにも「好調」とあり、原材料高の影響も落ち着いてきているようです。一方の第一屋製パン(2215)は、見出しは「足踏み」となっており、こちらは「原材料費が一段高」とあります。 山崎製パンと第一屋製パン(注)を比較すると、原材料高が一巡している山崎製パンと、原材料高が一段高の第一屋製パンとで、営業利益の予想・伸び率にかなり差があります。山崎製パンの方はROE(自己資本利益率)が改善し、増配も継続するとの予想です。この2社を比べてみても、企業の資本効率改善の動きは、持続的な株式市場の評価に繋がるといえそうです。 (注)第一屋製パン(2215)「継続企業の前提に関する重要事象」の記載あり 【3000番台】祖業を手放す企業も 3000番台は繊維、外食、小売や不動産も含まれています。世の中の様々なトレンドを見ることができる番台と言えます。 小売りの神戸物産(3038)は「業務スーパー」で知られる企業です。右側の見出しは「小幅増益」となっており、「冷凍食品など高採算のPB(プライベートブランド)比率上昇」とあります。 PBは、小売業者がメーカーに大量発注し、自社ブランドを使って多くの店舗で販売するため、仕入価格も抑えられ収益性も高い商品です。インフレが進む一方で値上げも難しいといった状況でも、効率的かつ収益性の高いものを展開することで、さらに一段と利益を上げようとしています。PB比率を高めようとする小売企業は、今号で大変多く散見されました。PB比率を高めることに成功している企業は総じて、堅調な業績推移となっている点が印象的でした。 「資本政策のダイナミズム」が大きく働いている企業が大変多く見られましたので、いくつかご紹介したいと思います。鉱物や金属素材などの専門商社、ラサ商事(3023)は完全子会社の化成品専門商社、イズミを吸収合併し、経営資源を集約するそうです。DCMホールディングス(3050)は左側の見出しに「完全子会社化」とあります。持分法適用会社のケーヨーを523億円で買収し完全子会社化するとのことです。 ダイワボウホールディングス(3107)は「祖業譲渡」とあります。もともとダイワボウは「大和紡績」という会社から始まりました。子会社である大和紡績を譲渡し、今後は経営の効率化を目指していくのでしょう。東証の要請を受け、資本政策も大胆になり、ドラスティックな変化が起きているといえます。 【4000番台】半導体関連、2024年度復調か 4000番台は、化学や医療機器、情報通信やコンサルティングなど幅広い企業が含まれています。 レゾナック・ホールディングス(4004)はかつての昭和電工で、鉄のスクラップを溶かすために使用する電炉用の黒鉛電極で首位、半導体材料も手掛けています。 右の見出しは「浮上」となっていますが、直近の業績については、「半導体・電子はメモリー顧客減産大打撃」などと書かれています。記録媒体などで使用する「HDメディア廃棄損も響く」とのことで、12月期決算の企業ですので前期の話ですが、苦戦している様子がうかがえます。一方、2024年12月期以降は半導体や電子関連などが復調に向かう模様です。 住友精化(4008)の主力は、紙おむつ用の吸水性樹脂ですが、やはり半導体関連も手掛けており「半導体在庫調整で機能マテリアルは微減」とあります。こちらも半導体で苦戦している状況は共通しています。しかし「2025年3月期はエレクトロニクスガス回復」とも書かれています。こちらも半導体、エレクトロニクス関連の市況反転が近づいていることを示唆する書きぶりです。 トクヤマ(4043)は半導体用シリコンで世界大手ですが、先ほどの2社と同様に「2025年3月期は半導体関連上向く」という記述になってます。 この3社以外でも、半導体・エレクトロニクス関連を扱う企業が「2025年3月期から回復へ向かう」という記述が多く見られるのが4000番台の特徴だと思います。 半導体関連の回復についてより注目したいのが信越化学工業(4063)です。塩化ビニル樹脂、半導体シリコンウエハーで世界首位の企業です。生活環境基盤材料の利益率は41%、シリコンウエハーを含む電子材料は34%と、非常に高収益の事業を複数展開しています。 2024年3月期は「電子材料、ウエハはメモリー・ロジック顧客はともに在庫調整で苦戦」などと書かれている一方で、2025年3月期は「塩ビ安定貢献、ウエハも下期回復」とあります。収益性の高い両事業が回復してくるとの見方が足元の株価上昇につながっているとみられます。 国内首位の製薬企業、武田薬品工業(4502)は、新型コロナウイルスのワクチンの収入がなくなったことで右の見出しも「大幅減額」となっています。新興企業の一部でもコロナウイルス国産ワクチンの創薬などを目指した動きもありましたが、現在はウイルスの感染拡大が鎮静化し、独自の開発に向けた動きは一服したように思わせる記述が目立ちました。製薬2位のアステラス製薬(4503)など処方薬を扱う企業が相対的に苦戦している様子がうかがえます。 製薬でも好調なのはロート製薬(4527)です。右側の見出しは「最高益」となっています。また、久光製薬(4530)など、大衆向け医薬品を展開している企業はインバウンド需要なども追い風になり、好調さが目立ちました。 (【5000~9000番台】に続く) ※「四季報の会」は、パートナー(個人投資家向けの営業担当者)に対して四季報の読み方を解説したものであり、個別の企業の株式に対する投資判断を提供する目的ではありません。 ご投資にあたっての注意点