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03/10 12:00
【オピニオン】続・昇竜相場の行方 – 4万円は単なる通過点なのか
日本株の勢いがとどまるところを知りません。日経平均株価は今年2月22日に、1989年12月に付けた史上最高値(38,915円)を34年ぶりに更新し、さらに上昇して3月4日には4万円の大台を突破しました。年初からの上昇幅はわずか2ヶ月ちょっとで実に6,600円超に達しました(3月4日時点)。まさに「昇竜」の如くです。下段のチャートを見るまでもなく、2011年以降に経験した①~③に匹敵するような中長期的な上昇局面に移行しているとの見方に疑いはないでしょう。 日経平均株価はこの先どこまで上昇していくのでしょうか?市場では、日経平均株価が史上最高値を更新した際にも、今回4万円の大台に乗せた時にも、さほど達成感が広がることはありませんでした。その後押しをいれていますが、「4万円」は単なる通過点と考える市場参加者が多数派になりつつあることが窺えます。 注目されるのは、チャート分析の世界で言うところの「トレンドの加速」が発生していることです。今回の大幅上昇によって、日経平均株価は2012年以降の中長期の上昇トレンドの上限ライン(下図赤点線)を突破し、コロナショック直後の2020年3月安値を起点とした、より上昇角度が急な新たな上昇トレンドに移行した可能性が高まったと捉えられます。同様の現象は、最近では2017年前半のナスダック総合指数でも確認できます。当時のナスダックは5,000ポイント台でしたが、その後7年かけて約3倍になっています。 さて、日経平均株価のチャート分析に話を戻しましょう。今回ご紹介するのは「新値累積数値」です。新値累積数値とは上昇時(下降時)の新高値(新安値)累積値が、一つの起点から継続して何回生じているかをカウントした数値で、通常の値幅や日柄の分析とは異なる切り口の分析手法です。2022年3月安値を起点とした日経平均株価の新値累積数値(月足ベース)は、今年3月で月+8となります(下図)。2011年以降に経験した主な上昇局面が、最終的にそれぞれ①月+21(月+12を2回)、②月+14、③月+11まで伸びていますので、今回の日経平均の上値追い余地はまだありそうです。相場は山あり谷あり、谷深ければ山高し。20年越しの大底形成を経て最高値を更新した日経平均株価が登り始めた次の山の高さは、多くの人が考えるよりも高いものになっても不思議ではないでしょう。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 ※テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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03/10 09:00
【基礎から学べる「行動ファイナンス」 第11回 複雑さを避ける(2)
野村證券金融工学研究センターの大庭昭彦が投資や資産運用の際に人が陥りがちな「バイアス」に関して解説する「基礎から学べる行動ファイナンス」シリーズ。第11回では、単純化による間違いの避け方を取り上げます。 なんでも「単純化」してはいけない 前回は行動コントロール技術の3つ目として「単純化」を紹介しました。 前回説明したように、適切にコントロールされた単純化は非合理な選択を避ける助けとなります。ならば、「なんでも単純にすれば良いのか」というと、全くそうはいえません。 例えば「この金融商品は、リスクを取れば、一定の確率で高い収益が得られる」という話を、途中を省いて「この金融商品は高い収益が得られる」と「簡単」にしてしまうのは大きな問題があります。 一方、そもそも人は日常的に多くの「判断」をしており、それぞれの場面で単純化を行っています。単純化しないと、朝起きてから寝るまでの間にしなければいけない多くの選択は、いつまでたっても終わらないからです。 本連載第2回で紹介した「2重過程モデル」では、この作業の多くは、間題を単純化した上で直感的に迅速に決定する「直感システム」によって行われますが、残念ながら多くの間違いを犯してしまうことも分かっています。 間違いを減らすには… 間違いを減らすには、ゆっくり検討して判断する「熟慮システム」の働きも必須です。「直観システム」と「熟慮システム」のどちらか一方だけでは人はうまく生活していくことが難しいのです。 「直感システム」が間違いを犯すことがあるのは仕方がないとして、間違いを犯しすぎないよう「熟慮システム」うまく組み合わせる必要があります。この技術こそ、行動コントロール技術としての「単純化」です。 ここで、自然に任せると間違った単純化の起こりやすい取引や商品を2種類だけとりあげて、正しく単純化するための注意点を示しておきましょう。 1つ目は信用取引などレバレッジの大きな商品です。信用取引する場合には、見かけの投資金額より、「実際にリスクにさらされている金額がいくらか」に注意を払うべきです。 人は自らが主観的に捉えた確率や、認知的不協和などのバイアスの効果によって、大きな利益の発生や損失が起こる確率を適切に評価できないことがあります。損失が起こる時の金額や確率を過小評価しがちなので、それは避けなければなりません。 また、2つ目は生命保険契約です。生命保険は自分の命に関する契約という性質上、もともとさまざまな心理バイアスが入りやすい(過剰に契約したり、保険料が割高でも気にしなかったりする)ことで知られています。 さらに、死亡保険・生存保険・医療保険など、保険の種類は多様で、複雑さによる非合理な行動を生じさせやすいといえます。 「不安だから」必要以上にかけてしまう「保険」 生存保険と医療保険は別に検討するとして、死亡保険のみを取り上げて簡単化すれば、適正な必要保障額の目安は、自分が事前に立てている(はずの)フィナンシャルプランのロジックから直接得ることができるといえます。 合理的とは言えない不安のみで過剰に生命保険をかけることは不要ですし、保険料が割高かどうかにも十分注意した方が良いかもしれません。 (KINZAI Financial Plan 2023年11月号掲載の記事を再編集したものです) 大庭 昭彦 野村證券株式会社金融工学研究センター エグゼクティブディレクター、CMA、証券アナリストジャーナル編集委員、慶應義塾大学客員研究員、投資信託協会研究会客員。東京大学計数工学科にて、脳の数理理論「ニューラルネットワーク」研究の世界的権威である甘利俊一教授に師事し、修士課程では「ネットワーク理論」を研究。大学卒業後、1991年に株式会社野村総合研究所へ入社。米国サンフランシスコの投資工学研究所などを経て、1998年に野村證券株式会社金融経済研究所に転籍、現在に至るまで、主にファイナンスに関わる著作を継続して執筆している。2000年、証券アナリストジャーナル賞受賞。 本稿は、野村證券株式会社社員の研究結果をまとめたものであり、投資勧誘を目的として作成したものではございません。2023年10月掲載時点での情報に基づいております。 ご投資にあたっての注意点
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03/09 17:00
【テーマ銘柄】東証の要請で変化する日本企業
東京証券取引所の要請 2023年3月31日、東京証券取引所(以下、東証)は全上場企業を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。この要請は、資本コストや資本収益性を十分に意識したうえで、成長投資や事業ポートフォリオの見直し等の抜本的な取組みの推進を求めています。 企業の対応は順調に拡大し、東証の集計ではプライム上場企業の700社超が対応を開示しています。そして2024年2月、東証は取組みにおいて投資者の高い支持が得られた29社の事例を公表しました。 (注)プライム市場上場企業でコーポレートガバナンス報告書に記載がある企業数(出所)東京証券取引所より野村證券投資情報部作成 資本コストへの高まる意識が新たな成長を呼ぶ 資本コストは、負債コストと株主資本コストの2つのコストに分類されます。負債コストは借り入れ等、調達金利です。一方、株主資本コストは株主が企業に要求する利回りとされ、確実な利回りは確定できません。しかし、株価の値動きが大きく、ハイリターンと評価されるものほど、株主の要求は大きくなると想定され、CAPM(注)により計算するケースが一般的です。 試算された資本コストを上回る利益を創出し、企業価値を高めることを投資家は企業に期待しています。 (注)CAPMは資本資産価格モデルともいわれ、リスク資産の期待リターンと価格がどう形成されるのかをモダンポートフォリオ理論で示したモデル。 (注)株主還元に伴う費用や配当総額の増減、負債増に伴う費用は考慮していない。小数点第3位を四捨五入している。(出所) 野村證券投資情報部作成 日本株市場への注目高まる 企業が投資家と対話し、企業価値を高めていくための課題を分析した伊藤レポート(注)が出てから10年が経過しました。このレポートで訴えられている「長期的に資本コストを上回る利益を生む企業こそが価値創造企業である」との概念は、世界中の投資家に容認されています。資本コストや株価を意識した経営の広がりにより、内外投資家による日本株への注目は高まっています。 (注)伊藤レポートは2014年経済産業省で実施されたプロジェクトをまとめたレポートの通称で、企業の長期的な成長を目指すための取り組みや指針が報告されている。 ご参考:東証の要請で変化する日本企業の一例 ・INPEX(1605) 石油・天然ガスの上流企業で、2022年からの9年間で探鉱前営業CF5~6兆円程度を、成長投資3.8~4.4兆円程度へ配分し、残りは有利子負債の削減と株主還元へ配分する事を2022年2月発表の長期戦略で示した。 ・住友林業(1911) 愛媛、宮崎、北海道などの山林を保有し、事業は木材・建材の商社部門と木造住宅を中心とする住宅・不動産部門からなる。豪州・米国で住宅ビルダーを買収し、海外事業が全体利益の過半を占めるまで成長した。 ・三井化学(4183) 総合化学メーカーで、自動車向けPPコンパウンドやメガネレンズモノマ、ハイエンドのおむつ用PPスパンボンドなどで、世界シェアトップである。基盤素材ではハイエンドのポリエチレン(エボリュー)やフェノールなどを展開している。 ・出光興産(5019) 2019年4月に昭和シェル石油と経営統合し、石油元売りでは国内シェア2位となった。中期経営計画で2026.3期にROE10%、ROIC5%を、2031.3期にはROE10%、ROIC7%を目標に設定している。 ・神戸製鋼所(5406) 国内3位の粗鋼生産規模を有しながらアルミ板、素形材、機械、建機、電力等の多様な事業を展開している。 ・コンコルディア・FG(7186) 神奈川県と東京西部を地盤とする横浜銀行と、東京を基盤とする東日本銀行が統合して発足した大手地銀グループでグループ総合力に強みを有している。 ・アイシン(7259) トヨタ自動車系列の自動車部品メーカーで、製品群は、トランスミッション、ブレーキ、ボディ部品等と幅広く、ATでは世界シェアトップである。中期的な成長を目指して電動化関連製品にも注力している。 ・三菱商事(8058) 原料炭やLNGなどの資源分野に強みを持つ他、非資源分野でもアジアの自動車事業などに強みを有している。良好な財務体質やキャッシュ創出力の強さを背景に自社株買いなど株主還元への期待が強い。 ・丸井グループ(8252) 関東を中心に都市型商業施設を展開する小売事業と、エポスカードを中心としたフィンテック事業を営み、小売、フィンテックに未来投資を加えた三位一体のビジネスモデルでシナジーを追求している。 ・三菱UFJ FG(8306) 国内最大の金融グループで、国際展開に強みを有している。営業純益で国際部門の利益は全体の3~4割を占めている。MUFG再創造イニシアティブにより抜本的な構造改革を志向している。 ・セイノーHD(9076) 企業間物流を手掛けるトラック会社の最大手企業で、全国に輸送ネットワークを構築しており、製造業や流通業の荷物を取り扱う。豊富な現預金により、トラック事業だけでなく自動車販売業も展開している。 (注)2024年2月、東証が要請への取組みにおいて投資者の高い支持が得られた29社と公表した企業のうち、時価総額3,000億円以上(2024年2月末時点)で当社アナリストがカバーする企業。FGはフィナンシャルグループ、HDはホールディングスの略。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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03/09 09:00
【マーケット解説動画】日経平均、一時4万円突破(3月8日引け後収録)
テクニカル展望(3月8日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の山内シニア・ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均、一時4万円突破」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価:日足3.日経平均株価:過去との比較4.日経平均株価:月足 5.来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部シニア・ストラテジスト 山内 正一郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、FINTOS!ではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点
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03/09 07:00
【来週の予定】春闘2024最大のヤマ場「集中回答日」へ
来週の注目点:日米の主要経済統計、春闘の集計結果 米国株式市場では、決算発表が一巡し、経済指標や金融政策に焦点が移りつつあります。3月19日(火)-20日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、今週はFRB(米連邦準備理事会)のブラックアウト(金融政策に関する公式コメントを自粛する)期間にあたり、経済統計に注目が集まりそうです。12日(火)に2月消費者物価指数、14日(木)に2月小売売上高、2月生産者物価指数、15日(金)には3月NY連銀製造業景気指数、2月鉱工業生産、3月ミシガン大学消費者マインド速報値など、重要統計の発表が相次ぎます。 日本では、11日(月)に2023年10-12月期実質GDP(2次速報値)が公表されます。野村證券では、民間設備投資の上方修正に伴い、実質GDP成長率が前期比年率+1.2%と1次速報値(同-0.4%)のマイナス成長から上方修正され、プラス成長に転換すると予想します。 また、連合(日本労働組合総連合会)は15日(金)に、2024年春闘で、傘下の労働組合が経営側から受け取った回答の第1回集計結果を発表します。日銀はマイナス金利政策を解除する条件として賃金と物価の好循環を重要な判断材料としており、今後の政策修正を占う上で春闘の結果は重要です。 中国では、向こう1年間の経済や外交の主要政策を審議する全人代(第14期全国人民代表大会第2回会議)が5日(火)から開催されており、11日(月)に閉幕します。5日の政府活動報告では、2024年の経済成長率目標を昨年と同様に5%前後に設定し、不動産や地方債務のリスク抑制、消費拡大に取り組む方針などを示しましたが、具体策は示されませんでした。追加的な政策方針が打ち出されるか、注目です。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年3月8日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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03/08 19:00
【最新ランキング】日本株、今週の値上がり/値下がり銘柄は?(3月第2週)
日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年3月第2週(2024年3月1日~3月8日) 2024年3月月間(2024年2月29日~3月8日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年3月8日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年3月8日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年3月第2週(2024年3月1日~3月8日) 2024年3月月間(2024年2月29日~3月8日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年3月8日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年3月8日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年3月8日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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03/08 16:13
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、4日ぶりに反発 米株上昇が支え(3/8)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は、前日比210円高の39,809円で取引を開始しました。前日の米国株式が、半導体関連株を中心に上昇したことが好感されました。もっとも、日経平均株価は史上最高値圏にいることに対する警戒感に加え、為替市場でドル円レートが円高に振れていることから、上値は重く、下落に転じる場面もありました。その後は、アジア株式市場が総じて堅調となったことが安心感となり、日経平均株価はやや水準を切り上げて推移したものの、4万円台を目前にしてこう着状態となりました。引けにかけては、重要イベントである2月の米雇用統計の発表を今晩に控え、結果を見極めたいとの姿勢もあり、上げ幅を縮小し、前日比90円高の39,688円と4日ぶりに反発して取引を終えました。 個別ではソフトバンクグループや東京エレクトロン、信越化学工業などが上昇し、3銘柄で日経平均株価を約82円押し上げました。一方で、寄り前に営業利益の下方修正と、増配を発表した京成電鉄が前日比-8.77%と大きく下落しました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】2月雇用統計 非農業部門雇用者数(前月差:万人) 前月:35.3 予想:19.8 失業率(%) 前月:3.7 予想:3.7 平均時給(前年比:%) 前月:4.5 予想:4.4 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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03/08 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価は3月4日に初の4万円台、その後に押しを入れる(3/8)
※2024年3月7日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 急上昇の動きは3ヶ月目に 今週の日経平均株価は、3月4日に史上初の4万円台超えとなりましたが、その後は上値の重い展開となりました。7日は日銀・中川審議委員の発言を受けて、日銀が金融政策の正常化に踏み切るとの見方が強まり、円高・株安となりました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、2月22日に史上最高値を約34年ぶりに更新し、3月4日に初めて4万円の大台に乗せました。ただ、これまでの急上昇の反動もあり、7日には終値で再度4万円を割り込んでいます。この先、これら急騰の反動をこなしつつ、心理的フシの4万円を早期奪回し、3月7日高値(40,472円)を超える動きとなるか注目されます。 一方で、1月に入ってからの急上昇は3ヶ月目となっており、本格的な調整に進展する場合は、1月中旬の日柄調整時に下支えとなった上向きの25日線(3月7日:38,160円)が次も下支えとなると考えられます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年3月7日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 次に長期的な動きを確認してみましょう(図2)。現在は2022年3月安値(24,717円)を起点とする中長期上昇局面を形成中だと考えられます。これまでの上昇倍率は1.62倍となっていますが、これは過去の長期上昇局面(①~③:1.6倍~2.6倍)のうち、最も低い上昇倍率(②:1.6倍)と同等の動きに留まっています。 前回(③)の上昇倍率である1.9倍を2022年3月安値に当てはめると46,962円と試算され、この先も上昇余地があると考えられます。 (注1)直近値は2024年3月7日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 TOPIX、史上最高値更新へ向けた動きとなるか注目 米国では、昨年12月にNYダウ、今年1月にS&P500指数、そして2月にナスダック総合指数が約2年ぶりとなる史上最高値を更新しました。 一方で、日本では、今年2月に日経平均株価は約34年ぶりとなる史上最高値更新となりましたが、日本株のもう一つの代表的な株価指数であるTOPIXは1989年12月につけた史上最高値(2884.80pt)を更新していません。この先、日経平均株価と比べて構成銘柄のゆがみが比較的小さいとされるTOPIXも史上最高値を更新となれば、日本株は名実共に新たなステージに入ったと言えるでしょう。 チャート面からTOPIXの中長期トレンドをみると、保ち合い上抜け前の安値である2023年1月安値(1868.15pt)を起点として、26週移動平均線(3月7日:2426.95pt)を下支えとする上昇相場に入っています(図3)。2023年1月安値からの上昇率は46.2%(3月7日時点)となっていますが、前回の中長期上昇局面(20年3月~21年9月)の上昇率の71.4%には到達しておらず、今後も上昇余地があると考えられます。 (注1) 直近値は2024年3月7日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 次にTOPIXの数十年続く超長期トレンドについてみてみましょう(図4)。TOPIXは、1990年代から約30年にわたり続いてきた長期上値抵抗線を、2023年に明確に上放れしました。その後も大幅上昇となっており、平成バブル崩壊後の最安値である2012年6月安値を大底とする新たな超長期上昇トレンドが始まっている可能性が高いと捉えられます。 これら超長期トレンドの観点からみても、TOPIXはこの先、史上最高値更新に向けて歩みを進めると考えられます。 (注1) 直近値は2024年3月7日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (投資情報部 岩本 竜太郎) ※画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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03/08 09:56
【米国株決算速報】ブロードコム(AVGO):AI関連が成長のドライバー、株価は-3.28%(時間外取引)
決算概要:2023年11月-2024年1月期(2024.10期第1四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間3月7日引け後に、通信向けを中心とした半導体・インフラストラクチャーソフトウェアの設計、開発、販売を行うブロードコム(AVGO US)が2023年11月-2024年1月期(2024.10期第1四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を2.1%上回り、EPSは市場予想を6.8%上回りました。 会社の2024年10月期通期売上高見通しは市場予想を下回りました。 AI関連が成長のドライバー 会社は売上高の実績と通期見通しの成長要因について、インフラストラクチャーソフトウェア部門では、買収したヴイエムウェアのハイブリッドクラウド(AIモデル作成に必要な、複数のクラウド事業者のデータを統合して利用することを可能にする)を実現するための製品パッケージに対する需要が強いとコメントしました。 また、半導体ソリューション部門では、AIデータセンター向けの、ネットワーキング機器やAI演算用チップに対する強い需要が成長をけん引していると述べました。 売上高とEPSの推移 株価は時間外取引で下落 ブロードコムの株価は、前日比4.22%高で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比3.28%安の1360.82ドルで推移しています(NY時間17:06)。 通期の売上高見通しが市場予想をやや下回ったことや、過去1年で株価が2.3倍に上昇したことで利益確定の売りが優勢となったためと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。2023年11月に買収を完了したヴイエムウェアを除く前年同期比の売上高成長率は+11%。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2024年3月7日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年11月-2024年1月期(2024/1)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2024年2-4月期以降の予想は2024年3月6日時点。(出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】ブロードコム(AVGO):生成AIと買収したヴイエムウェアの統合が焦点、株価は-0.73%(時間外取引) 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点