米国:2023年4-6月期決算レビュー

23年4-6月期は前年同期比7.6%減益

8月4日までにS&P 500 指数構成企業のうち422社が、2023年4-6月期決算(同年3-5月期、5-7月期決算企業も含む)を発表しました。調査会社リフィニティブの集計では、同期のEPS(1株当たり利益)は前年同期比-7.6%の53.26ドルと予想されています。

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今回の決算発表シーズンが始まる直前の7月7日時点の集計では、前年同期比-8.3%の52.83ドルと予想されていました。

2023年4-6月期は、純利益の決算実績が、事前のアナリスト予想を上回る企業の比率(ポジティブサプライズ比率)が、直近4四半期平均、長期平均を上回っています。決算発表を前に、アナリスト達が業績予想を慎重に見直した結果と考えられます。

年度EPSは引き続き増益基調予想

アナリストの業績予想の修正状況を示すリビジョンインデックスをみると、社数では、上方修正よりも下方修正の方が多い状態が続いています。

次に、年度ベースでのEPS予想についてみると、2023年度は7月7日時点と比べ、若干ながら下方修正となっています。

一方、2024年度、2025年度については上方修正されています。2023年1-3月期決算発表の際には、決算発表が進むに従い、2024年度、2025年度共に業績予想は下方修正されていました。これと比べると、足元では、中長期的な米企業の成長性に対する見方が、よりポジティブな見方に変わってきた模様です。

今後の留意点

今後の四半期業績についてみると、2023年7-9月期は前年同期比-0.7%と、同年4-6月期よりも減益率が縮小すると予想されています。今後、2023年7-9月期決算発表が近づくに従い、アナリスト達が業績予想を慎重に見直し、同期の減益率が現状よりも大きくなる可能性はあります。しかし、余程の大きな下方修正とならない限り、減益率という点からは、2023年4-6月期が大底となる可能性が一段と高まったと推察されます。

今後は、小売企業やソフトウェア企業などの2023年5-7月期決算の発表が始まります。これら企業の決算では実績に加え、今後の会社見通しなどを通じ、企業業績の動向を確認していきたいと考えます。

(野村證券投資情報部 村山 誠)

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