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10/28 08:21

【野村の解説】与党過半数割れで政権の枠組み再構築へ

総選挙は与党に厳しい結果 10月27日に第50回衆議院議員総選挙(以下、総選挙)が行われました。28日8時時点の議席状況によると(以下、カッコ内は議席数)、自民党(191)と公明党(24)の与党の合計議席数は215となり、過半数の233議席を割り込みました。衆議院解散時に石破首相が述べた勝敗ラインの「自民党と公明党(の与党)で過半数」に達しなかったことで、責任論や求心力の低下が生じる可能性があります。公明党の石井代表や現職閣僚の落選など、与党に厳しい結果でした。総選挙後の特別国会では、衆参両院の過半数を得た人が首相に指名されます。石破首相は、無所属議員の取り込みや野党の閣外協力を含め、新たな政権の枠組みを模索することになります。 今後の政治情勢のポイント 株式市場としては、総選挙後の政権の枠組みが不明な点は、重石となります。一方、9月27日に自民党総裁選挙を実施して間もないことや、石破首相に批判的とみられる自民党議員の多くが落選したこと、11月はAPEC首脳会議やG20首脳会議などの日程が詰まっていること、12月は2025年度の税制改正や予算編成があることなどから、2025年3月の2025年度予算成立までは、首相交代論は出にくいとみられます。石破首相は、まずは選挙期間中に言及した、13兆円を上回る規模の補正予算の成立に向けた議論を進めるものとみられます。当面は党勢の回復に向け、批判の高まり易い増税などの政策は手控えられるでしょう。時間の経過とともに政策の予見可能性が高まり、補正予算による財政出動は、日本株市場の下支えになるでしょう。 (野村證券投資情報部 小髙 貴久) ご投資にあたっての注意点

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10/27 12:00

【11月の投資戦略】イベントを乗り越え、株価はファンダメンタルズに戻るか?

目次・株価はファンダメンタルズに回帰・米国経済指標の短期的な振れに一喜一憂しない・米国主要企業は二桁増益へ・中国政府の断続的な景気対策・日本では緩やかな利上げならば受け入れられる・日本株の評価が高まる余地は十分ある 株価はファンダメンタルズに回帰 米国S&P500指数は史上最高値の更新が続いています。我々は、株価はボラティリティー(変動率)の高い状況から、実体経済や企業業績などのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿うものに回帰するとみてきました。米国市場は、概ね良好な経済指標の発表が続く中で、このトレンドに戻ってきたとみます。日本市場は、ボラティリティーの低下に時間がかかっていますが、政治・経済の様々なイベントをこなしつつ、いずれこのトレンドに回帰するとみます。 米国経済指標の短期的な振れに一喜一憂しない 米国では時折り発表される弱い経済指標などにより、景気減速懸念が台頭する場面が散見されます。しかし、全体としては概ね良好な経済指標が続いており、実体経済はFOMCメンバーの見通しよりも、良好な状況にあるとみられます。港湾ストやハリケーンなどのかく乱要因はありますが、経済指標の発表における一時的な要因に一喜一憂する必要は無いでしょう。米国家計の債務や信用リスクの状況などから判断して、スパイラル的な景気悪化リスクは限定的です。利下げが進めば、住宅投資や消費が復調し、景気の下支えになると期待されます。 米国主要企業は二桁増益へ 米国市場参加者の金利観は、中長期では良好な経済環境が続くとの見方から、長期金利は安定化し、FRBの利下げにより短期金利は低下し、金利の正常化が進むとみられます。大統領・上下院議会選挙の結果によっては、経済政策の方針が変わることもあり得ますが、企業業績の拡大は変わらないとみます。2024年7-9月期は一時的に増益率が減速するものの、AIビジネスの拡大などが業績を支え、2025年にかけて主要企業は二桁増益が続くでしょう。 中国政府の断続的な景気対策 ユーロ圏では景気下振れ懸念が強まっており、ECBは連続利下げへと利下げペースを加速させました。中国でも景気減速が強まっており、中国政府は、利下げや預金準備率の引き下げなどの金融緩和を含む、景気対策を断続的に発表しています。 日本では緩やかな利上げならば受け入れられる 日本では輸出に中国の景気減速が影を落としているものの、インバウンド需要の拡大や企業の値上げによる収益性の改善などが進み、大企業の業況は概ね良好です。連合は、2025年の春闘に向けて、再び5%を上回る賃上げ方針を示しました。賃金上昇と物価の安定への信頼感が増せば、日銀による追加利上げが視野に入るとみられます。金融市場は2026年末にかけても政策金利は1%未満という緩やかな利上げを想定しています。長期金利を含めて金利上昇ペースが緩やかなものにとどまれば、景気の下押し圧力は限定的でしょう。 日本株の評価が高まる余地は十分ある 総選挙の結果が注目されますが、石破首相は金融市場の関心の高い政策に配慮するよう、発言が変化しています。急激な円高が一服し、為替が企業業績の下方修正リスクとなる懸念は低下しています。主要企業の業績拡大は続いており、バリュエーション(株価に基づく企業価値評価)に割高感は無く、PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)の上昇余地は十分あります。野村證券は、2025年末の日経平均株価の予想を42,000円としています。 投資戦略については、米国で良好な経済環境と業績拡大が続くならば、米主要株価指数の史上最高値更新は続くとみます。中国景気への懸念などはありますが、総選挙などのイベントを消化しつつ、日本株も主要企業の史上最高益更新への信頼感が高まれば、業績拡大の趨勢に回帰するとみます。 (野村證券投資情報部 小髙 貴久) ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 11月号」(発行日:2024年10月21日)「投資戦略の概要」より※掲載している画像はイメージです。 Nomura21Global参考銘柄について ご投資にあたっての注意点

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10/26 11:00

【オピニオン】米金融決算は景気のソフトランディングを示唆

※画像はイメージです。 米国では10月中旬以降、2024年7-9月期の企業決算が本格化しています。米金融機関は、早めの日程で決算発表を行うため、その期の決算の方向性を確認する上で注目されます。金融機関の決算内容については、下記の2点が注目されていました。①クレジットカードローンの貸倒率②純金利収益の見通し 下図の赤色の線は、JPモルガン・チェースのクレジットカードローン等のカードサービスの貸倒率です。2021年から2022年にかけては、コロナ禍支援の財政政策による給付金やローン返済の猶予、また、緩和的な金融政策などにより急低下しました。その後、政策の正常化などにより急上昇し、2024年4-6月期には3.50%と、コロナ禍前の水準や2024年12月期通期見通しの3.40%を超えて上昇し、信用悪化が懸念されました。2024年7-9月期は3.24%に低下し、会社は通期見通しを3.40%に据え置きました。 FRBが発表する、米国の全金融機関のクレジットカードローンなどのリボルビングローン残高(灰色の線)は、物価の上昇などを背景にコロナ禍前の水準を大きく超えて増加しました。このため、「借りて使う」消費がいつまで継続するかが注目されます。また、積み上がったローンの貸倒率の上昇は、いわゆる「バブルの崩壊」を意味するため懸念されます。ローンの返済能力に直結する雇用について、米国の失業率が上昇傾向にあることから、貸倒率の上昇が「正常化」なのか悪化が継続するのかが注目されていました。決算内容から、ひとまず懸念は後退したと考えられます。 (注)米リボルビングローン残高は、データは月次で直近値は2024年8月時点。JPモルガン・チェースのカードサービス純貸倒率は、データは四半期毎で直近値は2024年7-9月期時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 2点目の純金利収益は、銀行の収益の柱で、銀行の財務、ひいては金融システムの健全性にとって重要な項目です。下図の、米大手3行(JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ)の純金利収益は、過去においては金利水準との相関が高いといえそうです。JPモルガン・チェースは2024年9月に、FRBによる利下げや長期金利の低下を背景に、2025年12月期通期の同社に対する市場の純金利収益の見通しは楽観的過ぎる、とコメントし、同社の株価は下落しました。しかし、その後の2024年7-9月期の決算時には、純金利収益について、2024年12月期通期の見通しを引き上げ、2025年についても年央までは減少するものの、その後成長基調に戻る可能性があるとコメントしました。 金融機関の貸倒率や収益性からは、状況の悪化がさらに悪化を招くような負のスパイラルに陥る可能性が低下し、景気のソフトランディング(軟着陸)の可能性が高まったといえそうです。 (注)米大手3行は、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ。国債利回りは、データは日次で直近値は2024年10月18日時点。米大手3行の純金利収益は、データは四半期毎で直近値は2024年7-9月期時点、2024年10-12月期以降はLSEG集計による市場予想平均。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点