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12:00
【注目トピック】日本株決算、1-3月期は堅調に推移か 今後の展望は?
※画像はイメージです。 日本:2025年1-3月期決算プレビュー 2025年1-3月期決算発表が始まる 2025年4月下旬より、2024年度通期業績の発表が本格化します。2024年度の最後の四半期にあたる2025年1-3月期の、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の市場コンセンサス推定では、増収率が前年同期比+2.6%、営業増益率は同+15.2%となっています。 2025年1-3月期は、認証不正問題などで生産活動が低調な状態が続いていた自動車で挽回生産が本格化したことや、電子部品や資本財の一部で在庫調整が進展したことなどから、久しぶりに二桁増益になったと見られます。 なお、市場コンセンサスの推定営業増益率は、鉱工業生産や為替レートから考えられる増益率に対してやや高い印象ですが、人件費も含むコスト上昇の商品・サービス価格への転嫁が順調に進んでいることから内需・サービス系の業種の活躍も期待できるため、コンセンサス程度の増益率達成のハードルはそれほど高くはないでしょう。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の四半期・増収率および営業増益率、経常増益率の推移。(注2)2024年10-12月期までは実績値、2025年1-3月期は、2025年3月31日時点のQUICKコンセンサス予想が存在する企業のみで集計している。(注3)実績値からは、ソフトバンクグループを集計から除外している。2024年1-3月期以降はさらに公益セクターに属する企業を除外している。(出所)QUICKなどより野村證券投資情報部作成 製造業の業況感が改善するが 我が国においては、自動車の認証不正問題や当初想定以上の中国経済の減速などから、年度ベースで2022~2024年度の3期連続で、四半期ベースでは2023年7-9月期~2024年10-12月期までの6四半期連続で、鉱工業生産はマイナス(前年同期比)の展開が続いてきました。 2025年1-3月期の業績は、自動車を中心に挽回生産が進んだことや、電子部品などで在庫調整が進展したことなどから、生産活動が活発化し、久しぶりにほぼすべての輸出型製造業が業績のけん引役になる公算が大きくなっています。 なお、事前コンセンサスでは内需・サービス系は比較的控えめな印象ですが、人件費も含めたコスト上昇の転嫁は概ね順調に進んでいると見られ、業績の上振れが期待できます。 (注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の営業利益の、2025年1-3月期・業種別増減益寄与額。前年同期(2024年1-3月期)の利益額を100としている。2025年3月31日時点の市場コンセンサス予想で、コンセンサス予想が存在している企業のみ集計している。(出所)野村證券投資情報部作成 不透明な業績をとりまく環境 2025年4~5月にかけての2024年度通期決算発表シーズンでは、例年以上に新年度(2025年度)業績の行方に注目が集まると見られます。 まず、2025年度の業績を取り巻く環境を整理しておくと、2024年10-12月期決算が出そろった2025年3月月初時点で、野村證券では2025年度以降の業績予想前提を150円/米ドルとおいていました。その後、為替市場ではトランプ政権の関税政策の影響を憂慮し、4月14日時点では143円/米ドルにまで円高が進んでいます。このままの水準が続くと、2024年度比で10円/米ドル前後の円高となり、業績への影響は無視できないものになるでしょう。 (注)図は、米ドル円レートの年度平均値(赤線)と、月次平均レート(灰色線)の推移。月次の直近値は、2025年4月14日。(出所)野村證券投資情報部作成 4期ぶりに前年度比で増加が見込まれていた2025年度の鉱工業生産も予断を許さない状況です。4月2日のトランプ政権による相互関税の公表を受けて、野村證券では2025年度の生産の見通しを3月月初時点の前年度比+1.9%から同+0.8%にまで引き下げました。ただ、トランプ政権の関税政策の実体経済への影響を現時点で正確に把握することは困難で、2025年度の業績をとりまく状況は不透明です。 (注)図は、年度ベースの鉱工業生産(赤線)と、四半期ベースの鉱工業生産(灰色線)。2024年10-12月期までが実績値、2025年1-3月期以降は2025年4月14日時点の野村證券経済調査部による予測値。 (出所)野村證券投資情報部作成 流動的な2025年度企業業績予想 2025年3月月初時点の、生産+1.9%(前年度比)、150円/米ドルの組み合わせでは2025年度は1桁台半ばの増益率が期待できました。ただ、現時点での生産+0.8%(前年度比)、140円/米ドル台半ばの組み合わせでは、微増益しか期待できません。 メインシナリオが微増益予想のもとでは、日々の状況の変化により、将来の利益イメージは上下に振れやすくなります。その結果、容易に減益予想の見方が浮上しがちです。こうした状況が株価の不安定さを増す要因の一つになっていると見られます。 (注)鉱工業生産および米ドル円レートを変化させた場合の2025年度推計経常増益率。1米ドル当たり1円の円安で0.4%弱、1%の鉱工業生産増で3%強、経常利益が増加する前提で試算を行っている。(出所)野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点
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09:00
【オピニオン】日経平均株価「5年戦線」異常なし
※画像はイメージです。 世界の株式市場は、トランプ大統領が打ち出した関税政策を嫌気して急落した4月前半からは徐々に落ち着きを取り戻しつつあります。しかし、リスクオンと呼ぶには程遠く、先行きの景気や物価動向、企業業績などへの不透明感が一層強まったことで、積極的に上値を買い戻す動きは今のところ見られません。為替市場では米ドル離れの動きが加速し、一時1米ドル=139円台まで円高が進行し、日本株の戻りを妨げる重石となっています(4月24日時点)。 とはいえ、日経平均株価はすでに底値を付けた可能性もありそうです。下図は1980年以降の長期月足チャートです。4月7日急落時には終値ベースで31,136円まで下落し、2024年8月急落時に付けた安値水準(終値ベースで31,458円)を若干ですが下回りました。ただ、その後は34,000円台まで値を戻しており、月足チャートは24年8月ほどではないにせよ長い下ヒゲを形成しています。仮に4月末までに月初の35,624円を上回る水準まで戻すと月足陽線となり、チャート面から見た底打ち感は一段と強まります。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2025年4月24日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社、各種資料より野村證券投資情報部作成 また、今回の株価調整のスケール、すなわち、24年7月高値から直近4月安値までの下落率は26.3%となっています。これは日経平均株価の長期上昇相場がスタートした2013年以降での主要な3回の株価調整時の下落率(①2015年6月~16年6月:28.3%、②2018年10月~20年3月:31.8%、③2021年9月~22年3月:19.4%)の平均値26.5%とほぼ一致します。チャート面においては、今回の株価下落は過去との比較でみて、ここまで値幅的に十分な調整をこなしてきたと言えるでしょう。 加えて、過去の下落局面において強固な下値サポートの役割を果たしてきた5年(60ヶ月)移動平均線(以下、5年線)(4月24日時点:30,679円)に下支えされる形で切り返した点も重要です。最終防衛ラインとも言える5年線を今回もキープできたことは、長期上昇トレンドの継続性を担保する動きと捉えることができます。なお、コロナショック時は一旦5年線を割り込みましたが、当時は10年線と30年線を下支えに切り返して5年線の早期奪回を果たしました。 長期上昇トレンド入りが明確となった2013年以降、日経平均株価は約3年おきに高値を付けるリズムが観察されます。株価底打ちが明確となれば、次のピークが到来する時間帯と目される2027年央ごろに向けた中期上昇トレンドへの移行が期待されます。 テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ご投資にあたっての注意点
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07:00
【来週の予定】トランプ関税の影響下で問われる日銀の政策スタンス
来週の注目点:関税引き上げの影響、日銀の政策スタンス 米国の関税引き上げを受けて景気の下振れとインフレのリスクが高まっているため、日銀は追加利上げを先送りするとの見方が強まりつつあります。日銀は5月1日(木)に金融政策決定会合の結果発表を行います。政策金利は据え置きがコンセンサスで、景気の下振れリスクに配慮しつつも、利上げスタンスを維持すると見られます。今会合では、トランプ政権の関税政策を踏まえ、「展望レポート(経済・物価情勢の展望)」で物価や経済見通しをどのように修正するのかが焦点です。野村では、25年度の実質GDP成長率見通しを前回2025年1月時点の前年度比+1.1%から、同+0.6%へ下方修正すると予想します。 米国では、5月6日(火)-7日(水)にFOMCを控えて、 FRBは4月26日(土)から金融政策に対する公式発言を自粛するブラックアウト期間に入ります。一方、今週は月末月初の重要度の高い経済指標が発表されるため、注目が集まります。29日(火)に4月消費者信頼感指数(コンファレンスボード)、30日(水)に1-3月期の実質GDP速報値や雇用コスト指数、4月ADP全米雇用レポート、3月個人消費支出・所得統計、5月1日(木)に4月ISM製造業景気指数、2日(金)に4月雇用統計が発表されます。特にISM指数は、23日(水)に発表された4月PMI(速報値)が予想外に低下したことから注目度が高いと思われます。サーベイ系の統計に加えて、実態経済関連の統計に関税引き上げの影響がどの程度現れているか注目されます。 中国では、30日(水)に4月政府版PMI、4月財新版・製造業PMIが発表されます。先んじて発表された中国の4月EPMI(ハイテク産業を中心とした新興企業のPMI)は49.4と、3月の59.6から大幅に悪化し、景気判断の分かれ目となる50を下回りました。想定を上回る米国の関税引き上げによる輸出への悪影響が懸念されます。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年4月25日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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12:00
【注目トピック】日本株決算、1-3月期は堅調に推移か 今後の展望は?
※画像はイメージです。 日本:2025年1-3月期決算プレビュー 2025年1-3月期決算発表が始まる 2025年4月下旬より、2024年度通期業績の発表が本格化します。2024年度の最後の四半期にあたる2025年1-3月期の、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の市場コンセンサス推定では、増収率が前年同期比+2.6%、営業増益率は同+15.2%となっています。 2025年1-3月期は、認証不正問題などで生産活動が低調な状態が続いていた自動車で挽回生産が本格化したことや、電子部品や資本財の一部で在庫調整が進展したことなどから、久しぶりに二桁増益になったと見られます。 なお、市場コンセンサスの推定営業増益率は、鉱工業生産や為替レートから考えられる増益率に対してやや高い印象ですが、人件費も含むコスト上昇の商品・サービス価格への転嫁が順調に進んでいることから内需・サービス系の業種の活躍も期待できるため、コンセンサス程度の増益率達成のハードルはそれほど高くはないでしょう。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の四半期・増収率および営業増益率、経常増益率の推移。(注2)2024年10-12月期までは実績値、2025年1-3月期は、2025年3月31日時点のQUICKコンセンサス予想が存在する企業のみで集計している。(注3)実績値からは、ソフトバンクグループを集計から除外している。2024年1-3月期以降はさらに公益セクターに属する企業を除外している。(出所)QUICKなどより野村證券投資情報部作成 製造業の業況感が改善するが 我が国においては、自動車の認証不正問題や当初想定以上の中国経済の減速などから、年度ベースで2022~2024年度の3期連続で、四半期ベースでは2023年7-9月期~2024年10-12月期までの6四半期連続で、鉱工業生産はマイナス(前年同期比)の展開が続いてきました。 2025年1-3月期の業績は、自動車を中心に挽回生産が進んだことや、電子部品などで在庫調整が進展したことなどから、生産活動が活発化し、久しぶりにほぼすべての輸出型製造業が業績のけん引役になる公算が大きくなっています。 なお、事前コンセンサスでは内需・サービス系は比較的控えめな印象ですが、人件費も含めたコスト上昇の転嫁は概ね順調に進んでいると見られ、業績の上振れが期待できます。 (注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の営業利益の、2025年1-3月期・業種別増減益寄与額。前年同期(2024年1-3月期)の利益額を100としている。2025年3月31日時点の市場コンセンサス予想で、コンセンサス予想が存在している企業のみ集計している。(出所)野村證券投資情報部作成 不透明な業績をとりまく環境 2025年4~5月にかけての2024年度通期決算発表シーズンでは、例年以上に新年度(2025年度)業績の行方に注目が集まると見られます。 まず、2025年度の業績を取り巻く環境を整理しておくと、2024年10-12月期決算が出そろった2025年3月月初時点で、野村證券では2025年度以降の業績予想前提を150円/米ドルとおいていました。その後、為替市場ではトランプ政権の関税政策の影響を憂慮し、4月14日時点では143円/米ドルにまで円高が進んでいます。このままの水準が続くと、2024年度比で10円/米ドル前後の円高となり、業績への影響は無視できないものになるでしょう。 (注)図は、米ドル円レートの年度平均値(赤線)と、月次平均レート(灰色線)の推移。月次の直近値は、2025年4月14日。(出所)野村證券投資情報部作成 4期ぶりに前年度比で増加が見込まれていた2025年度の鉱工業生産も予断を許さない状況です。4月2日のトランプ政権による相互関税の公表を受けて、野村證券では2025年度の生産の見通しを3月月初時点の前年度比+1.9%から同+0.8%にまで引き下げました。ただ、トランプ政権の関税政策の実体経済への影響を現時点で正確に把握することは困難で、2025年度の業績をとりまく状況は不透明です。 (注)図は、年度ベースの鉱工業生産(赤線)と、四半期ベースの鉱工業生産(灰色線)。2024年10-12月期までが実績値、2025年1-3月期以降は2025年4月14日時点の野村證券経済調査部による予測値。 (出所)野村證券投資情報部作成 流動的な2025年度企業業績予想 2025年3月月初時点の、生産+1.9%(前年度比)、150円/米ドルの組み合わせでは2025年度は1桁台半ばの増益率が期待できました。ただ、現時点での生産+0.8%(前年度比)、140円/米ドル台半ばの組み合わせでは、微増益しか期待できません。 メインシナリオが微増益予想のもとでは、日々の状況の変化により、将来の利益イメージは上下に振れやすくなります。その結果、容易に減益予想の見方が浮上しがちです。こうした状況が株価の不安定さを増す要因の一つになっていると見られます。 (注)鉱工業生産および米ドル円レートを変化させた場合の2025年度推計経常増益率。1米ドル当たり1円の円安で0.4%弱、1%の鉱工業生産増で3%強、経常利益が増加する前提で試算を行っている。(出所)野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点
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【オピニオン】日経平均株価「5年戦線」異常なし
※画像はイメージです。 世界の株式市場は、トランプ大統領が打ち出した関税政策を嫌気して急落した4月前半からは徐々に落ち着きを取り戻しつつあります。しかし、リスクオンと呼ぶには程遠く、先行きの景気や物価動向、企業業績などへの不透明感が一層強まったことで、積極的に上値を買い戻す動きは今のところ見られません。為替市場では米ドル離れの動きが加速し、一時1米ドル=139円台まで円高が進行し、日本株の戻りを妨げる重石となっています(4月24日時点)。 とはいえ、日経平均株価はすでに底値を付けた可能性もありそうです。下図は1980年以降の長期月足チャートです。4月7日急落時には終値ベースで31,136円まで下落し、2024年8月急落時に付けた安値水準(終値ベースで31,458円)を若干ですが下回りました。ただ、その後は34,000円台まで値を戻しており、月足チャートは24年8月ほどではないにせよ長い下ヒゲを形成しています。仮に4月末までに月初の35,624円を上回る水準まで戻すと月足陽線となり、チャート面から見た底打ち感は一段と強まります。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2025年4月24日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社、各種資料より野村證券投資情報部作成 また、今回の株価調整のスケール、すなわち、24年7月高値から直近4月安値までの下落率は26.3%となっています。これは日経平均株価の長期上昇相場がスタートした2013年以降での主要な3回の株価調整時の下落率(①2015年6月~16年6月:28.3%、②2018年10月~20年3月:31.8%、③2021年9月~22年3月:19.4%)の平均値26.5%とほぼ一致します。チャート面においては、今回の株価下落は過去との比較でみて、ここまで値幅的に十分な調整をこなしてきたと言えるでしょう。 加えて、過去の下落局面において強固な下値サポートの役割を果たしてきた5年(60ヶ月)移動平均線(以下、5年線)(4月24日時点:30,679円)に下支えされる形で切り返した点も重要です。最終防衛ラインとも言える5年線を今回もキープできたことは、長期上昇トレンドの継続性を担保する動きと捉えることができます。なお、コロナショック時は一旦5年線を割り込みましたが、当時は10年線と30年線を下支えに切り返して5年線の早期奪回を果たしました。 長期上昇トレンド入りが明確となった2013年以降、日経平均株価は約3年おきに高値を付けるリズムが観察されます。株価底打ちが明確となれば、次のピークが到来する時間帯と目される2027年央ごろに向けた中期上昇トレンドへの移行が期待されます。 テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ご投資にあたっての注意点
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【来週の予定】トランプ関税の影響下で問われる日銀の政策スタンス
来週の注目点:関税引き上げの影響、日銀の政策スタンス 米国の関税引き上げを受けて景気の下振れとインフレのリスクが高まっているため、日銀は追加利上げを先送りするとの見方が強まりつつあります。日銀は5月1日(木)に金融政策決定会合の結果発表を行います。政策金利は据え置きがコンセンサスで、景気の下振れリスクに配慮しつつも、利上げスタンスを維持すると見られます。今会合では、トランプ政権の関税政策を踏まえ、「展望レポート(経済・物価情勢の展望)」で物価や経済見通しをどのように修正するのかが焦点です。野村では、25年度の実質GDP成長率見通しを前回2025年1月時点の前年度比+1.1%から、同+0.6%へ下方修正すると予想します。 米国では、5月6日(火)-7日(水)にFOMCを控えて、 FRBは4月26日(土)から金融政策に対する公式発言を自粛するブラックアウト期間に入ります。一方、今週は月末月初の重要度の高い経済指標が発表されるため、注目が集まります。29日(火)に4月消費者信頼感指数(コンファレンスボード)、30日(水)に1-3月期の実質GDP速報値や雇用コスト指数、4月ADP全米雇用レポート、3月個人消費支出・所得統計、5月1日(木)に4月ISM製造業景気指数、2日(金)に4月雇用統計が発表されます。特にISM指数は、23日(水)に発表された4月PMI(速報値)が予想外に低下したことから注目度が高いと思われます。サーベイ系の統計に加えて、実態経済関連の統計に関税引き上げの影響がどの程度現れているか注目されます。 中国では、30日(水)に4月政府版PMI、4月財新版・製造業PMIが発表されます。先んじて発表された中国の4月EPMI(ハイテク産業を中心とした新興企業のPMI)は49.4と、3月の59.6から大幅に悪化し、景気判断の分かれ目となる50を下回りました。想定を上回る米国の関税引き上げによる輸出への悪影響が懸念されます。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年4月25日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点