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昨日 12:00
【注目トピック】米国株決算プレビュー トランプ関税の影響についての示唆に注目
※画像はイメージです。 25年4-6月期は前年同期比+3.7%予想 7月中旬から、S&P 500 指数構成企業の2025年4-6月期の決算発表が本格化します。 2025年7月3日時点の調査会社LSEG集計による市場推定・予想平均では、同期の四半期EPS(1株当たり利益)は、前年同期比+3.7%と推定されています。2025年1-3月期の同+11.5%と比べ、増益率が大幅に鈍化する見込みとなっています。 S&P 500 企業 四半期EPS(1株当たり利益)前年同期比増減益率の推移 (注)推定・予想は2025年7月3日時点のLSEG集計による市場予想平均。2025年4-6月期には、2025年3-5月期決算、2025年5-7月期決算の企業も含む。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 S&P 500 企業 四半期EPS(1株当たり利益)の推移 (注)推定・予想は2025年7月3日時点のLSEG集計による市場予想平均。2025年4-6月期には、2025年3-5月期決算、2025年5-7月期決算の企業も含む。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 トランプ政権による関税政策の影響や、事業環境の不透明感に伴い企業の設備投資が手控えられていることなどを、アナリストは慎重に業績予想に織り込んでいるとみられます。 なお、既に決算発表が始まった2025年3-5月期決算(4-6月期の集計に含まれる)企業19社については、純利益実績が事前のアナリスト予想平均を上回ったポジティブサプライズの比率は73.7%となっています。 2025年4-6月期決算のポジティブサプライズ比率 (注1)ポジティブサプライズ比率は、S&P 500 企業のうち決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。2025年4-6月期には、2025年3-5月期決算、2025年5-7月期決算の企業も含む。(注2)直近4四半期平均とは2024年4-6月期~2025年1-3月期の平均。長期平均とは、売上高は2002年以降、純利益は1994年以降の平均。(注3)LSEGによる2025年7月3日時点(19社)の集計。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 リビジョンインデックスは1超え アナリストの企業業績予想の修正動向を示すリビジョンインデックスは、2025年7月2日時点では、FY1(予想1期目)については1.26、FY2は1.26となっています。 トランプ政権の政策の影響を織り込み、アナリスト達は業績予想を慎重に見直し始め、リビジョンインデックスは、2024年12月中旬以降、1を下回って推移していました。足元で水準が改善している要因としては、積極的に業績予想を上方修正しているというよりは、下方修正が一巡したことの方が大きいと推察されます。 米国企業リビジョンインデックスの動向 (注) S&P 500 指数構成企業のリビジョンインデックス。リビジョンインデックスは直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で計算。指数が1を上回ると上方修正優位、1を下回ると下方修正優位と判断される。FY1は予想1期目、FY2は予想2期目。直近値は2025年7月2日時点で、12月決算企業の場合、FY1は2025年12月期、FY2は2026年12月期。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 決算発表時の注目点 年度ベースでのEPSの予想をみると、25年7月3日時点の集計では、25年度以降も増益基調が推定・予想されていますが、25年4月4日時点の集計よりは、全体に下方修正されています。 S&P 500 企業 EPS(1株当たり利益)の推移(年度) (注)推定・予想はLSEG集計による2025年7月3日時点の市場予想平均。カッコ内の数値は2025年4月4日時点の市場予想平均。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 AI普及に伴う情報技術関連企業の業績拡大が、S&P 500 指数のEPSの拡大基調を支えている一方、情報技術関連以外の業種では、トランプ政権による関税政策の影響などが織り込まれ、業績予想が下方修正されているとみられます。各社の決算が発表された際には、この傾向に変化が生じるか、チェックしたいと考えます。 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト村山 誠 1990年野村総合研究所入社、1998年に野村證券転籍。エクイティアナリスト、クレジットアナリストとして勤務。2011年6月より米国株ストラテジー担当。投資環境の分析、個別株の投資アイデアを提供。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」出演中。 ご投資にあたっての注意点
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昨日 09:00
【オピニオン】トランプ減税の恒久化は米国財政にとってリスクか
※画像はイメージです。 トランプ大統領は独立記念日である2025年7月4日、大規模な減税・歳出法案(OBBB・「The One, Big, Beautiful Bill」)に署名し、同法案は成立しました。上院、下院でそれぞれ僅差で成立したため、両院のすり合わせに時間がかかると見られましたが、下院は上院案に修正を加えることなく成立しました。 主要な項目は25年末で期限切れとなる所得税減税(トランプ減税)の恒久化です。26年以降、景気下押し圧力を回避することができますが、税率は横ばいですので、新たな景気押し上げ効果は小さいと言えます。 また、このOBBBには25年8月中にも対応が必要と考えられていた連邦債務法定上限について、上限を5兆ドル引き上げる条項が含まれています。従って、米国債の新規発行停止、テクニカル・デフォルト(技術的債務不履行)発生のリスクは当面回避される見込みです。 しかし、25年6月27日に公表されたCBO(米議会予算局)の試算によれば、OBBBにより連邦財政収支は25~34年度(会計年度は10月~翌年9月)の10年間で約3.4兆ドル、財政赤字が悪化するとされます(下図)。26年度以降、米国の財政赤字は2兆ドルを超える見通しです(24年の米国の名目GDPは約29兆ドルで、財政赤字の対GDP比は6%強となる)。 OBBBによる財政収支への影響 (注)数値はプラスが財政赤字を示す。OBBBは「The One, Big, Beautiful Bill」の略で「一つの大きく美しい法案」。ベースライン財政赤字はCBO(米議会予算局)が2025年1月に発表した連邦財政収支見通し。年度は米国の会計年度ベース(当該年度の前年10月~当該年度9月)。データは年度。(出所)CBO、CRFB(責任ある連邦予算委員会)より野村證券投資情報部作成 市場は各国の財政状況を注視しています。近年では英国において22年9月にトラス首相(当時)が打ち出した一連の財政政策「ミニ・バジェット」により、通貨・国債・株式市場が下落したこと(トリプル安)が記憶に新しいですが、最近でも25年7月に入り、同じ英国でスターマー政権が掲げる福祉給付削減法案を含む財政計画の実現性が懸念され、トリプル安が見られました。 日本においてもそうですが、米国においても10年以上の長期、及び超長期の金利が上昇、ないしは高止まりしています。長期にわたって財政のサステナビリティー(ファイナンスの持続可能性)について、市場が警戒しています。タームプレミアムの上昇(下図)により、金利に上昇圧力がかかるリスクを十分にモニターする必要があるでしょう。米国財務省証券(米国債)の海外投資家・国際機関の保有割合は約24%です(24年12月末現在の米財務省による推計)。海外経由で金利上昇圧力がかかるリスクも否定しえません。 米国10年国債利回りのタームプレミアム (注)データは月次で直近値は2025年6月。10年国債タームプレミアムとは期間が長めの債券を保有する場合、価格変動リスクや流動性リスクが高まる分だけ、投資家が求める上乗せ金利のことで、NY連銀による算出。(出所)NY連銀より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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昨日 07:00
【来週の予定】政策の迷走が続く中、ハードデータの重要性が一層高まる
来週の注目点:FRB高官発言、米国のハードデータ、日本の参院選 米国では7月4日に「OBBB(一つの大きく美しい法案)」が成立し、第1次トランプ政権で導入された減税の延長や連邦政府債務上限の引き上げが決定しました。9日には相互関税の上乗せ分の停止期限を迎え、トランプ大統領は日本を含む22ヶ国(9日時点)に対して、8月1日に上乗せ関税の発動を通告しています。 FRBは7月29~30日にFOMCを控え、今週末から金融政策に関する発言を控えるブラックアウト期間に入るため、7月FOMC前にFRB高官の発言を確認できる最後の機会になります。6月FOMC議事要旨によると、7月FOMCでの利下げに言及したのは19名中2名に過ぎませんでしたが、トランプ大統領からの利下げ圧力が高まっていることから注意が必要です。 経済指標では15日(火)に6月消費者物価指数、16日(水)に6月生産者物価指数と6月鉱工業生産、17日(木)に6月小売売上高、18日(金)に6月住宅着工・建設許可件数と実際の経済活動を示すハードデータが相次いで発表されます。政策の影響をいち早く把握するためサーベイ調査に関心が集まってきましたが、政策が二転三転していることから、これらハードデータの重要性が増しています。 日本では14日(月)の5月機械受注、17日(木)の6月貿易統計、18日(金)の6月全国消費者物価指数に加えて、20日(日)の参議院選挙の結果が注目されます。与党が参院でも過半数を割り込む結果になれば、米国との通商交渉の遅れや財政拡張に対する市場の懸念が高まるリスクがあります。 15日(火)には中国で4-6月期実質GDP、6月小売売上高、6月鉱工業生産、1-6月固定資産投資と、重要統計が相次いで発表されます。中国経済に底入れ感が確認できるかが注目ポイントです。 17日(木)には南アフリカでG20財務相・中央銀行総裁会議が開催されます。トランプ関税に対する各国・地域の政策当局者によるコメントが注目されます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年7月11日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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07/11 16:28
【野村の夕解説】ファーストリテイリング急落が重石 方向感ないまま反落(07/11)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 11日の日経平均株価は、前日発表された2024年9月-2025年5月期の決算で、利益率の低下が示されたファーストリテイリングの大幅下落が重石となり、終日方向感のない値動きでした。日経平均株価は、前日の米国株上昇の流れを引き継いで上昇して始まり、一時前日比311円高と、この日の高値をつけました。しかしその後、ファーストリテイリングが急落したことを受けて、日経平均株価も急速に上げ幅を縮小させ下落に転じました。その一方で、半導体関連株や素材株などの景気敏感株が上昇し、日経平均株価を下支えしました。その後、トランプ大統領が自身のSNSでカナダからの輸入品に対して8月1日から35%の関税を課すとの書簡を公表したことを受け、米国が交渉中の他国に対しても強硬な関税政策を進めるとの思惑が強まり、日経平均株価は軟調な値動きとなりました。外国為替市場では対米ドルで円安が進行したことから、日経平均株価は再び上昇に転じる場面もみられましたが、追加の材料もなく様子見姿勢が広がり、その後は一進一退の値動きとなりました。日経平均株価の大引けは前日比76円安の39,569円となり、ファーストリテイリング1銘柄で日経平均株価を262円押し下げました。一方、TOPIXは前日比0.39%高と反発しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 トランプ政権と各国との関税交渉が継続しているため、進展が注目されます。 (野村證券投資情報部 松田 知紗) ご投資にあたっての注意点
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07/11 12:00
【今週のチャート分析】日本株は関税懸念で上値重いも、一部の新興国株は上昇
※画像はイメージです。 ※2025年7月10日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均株価、関税懸念で上値重い、25日線が下値サポートなるか 今週の日経平均株価は、円安進行が下支えとなったものの、トランプ政権の関税政策に対する懸念から上値の重い展開でした。 これまでの動きをチャート(図1)で見ると、6月下旬に5月以降の中段保ち合いを上放れして、年初来高値を更新しました。ただ、6月30日高値(ザラバベース:40,852円)形成後は日米関税交渉に対する市場の警戒感の高まりから押しを入れ、再び4万円を割り込みました。中段保ち合い時に下値サポートとなった上向きの25日移動平均線(7月10日:39,019円)が下支えとなるか注目されます。 (注1)直近値は2025年7月10日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方で、週足チャート上(図2)では6月下旬の大幅上昇で、52週線(7月10日:38,036円)と昨年7月高値以降の下降トレンドライン(6月中旬:38,300円前後)をいずれも明確に上抜けており、中長期上昇トレンド入りの可能性が高まっています。目先の調整が一巡して上昇に転じれば、再び4万円台を回復し、年初来高値(6月30日:40,852円)を更新する動きが期待されます。 (注1)直近値は2025年7月10日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 約3年半ぶり高値をつけた新興国株、上昇余地あり 新興国株は上昇傾向が続いています。2025年に入ってからは、トランプ政権の関税政策などを背景に、米国外へ資金が移動する動きが見られ、その一部が新興国株に流入しているとみられます。まずは、MSCIエマージング・マーケット指数の月足チャートを確認しましょう(図3)。 (注1)直近値は2025年7月8日時点。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)ドル建てのMSCIエマージング・マーケット指数を使用している。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 この指数は2008年以降、大きく上下しながらも長期的には上昇トレンドを維持しています。2022年10月には、長期上昇トレンドの下限付近で底を打ち、その後は上昇傾向に転じました。今年6月には、2024年10月の高値を上抜け、約3年半ぶりの高値を記録しています。今後は、2021年2月の高値(1,444pt)や長期上昇トレンドの上限(1,600pt前後)を目指す展開が予想されます。 新興国株を代表する中国株やインド株も今春以降に上昇基調となりました。中国では、今年5月に金融緩和策や内需刺激策が相次いで発表され、株価を押し上げています。上海総合指数は今年7月に昨年10月の高値を突破し、約3年半ぶりの高値を付けました(図4)。この先、21年9月高値(3,715pt)や、24年10月高値から25年4月安値にかけての下落幅の倍返し水準(3,882pt)が次の上値メドとして挙げられます。 (注1)直近値は2025年7月8日。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) ご投資にあたっての注意点
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07/11 08:15
【野村の朝解説】ナスダック総合指数が連日で最高値を更新(7/11)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 10日の米国株式市場で主要3指数は揃って上昇し、S&P500指数とナスダック総合指数は過去最高値を更新しました。トランプ政権の関税政策に対する警戒は解けていませんが、7月5日までの1週間の新規失業保険申請件数が市場予想を下回り、雇用情勢の底堅さが示されたことで市場に安心感が広がりました。また、旅行需要の回復を背景にデルタ航空が市場予想を上回る2025年12月通期の業績見通しを示したことも好材料視されました。 相場の注目点 来週、国内では5月機械受注(14日)や、6月貿易統計(17日)、6月全国消費者物価指数(18日)などの経済指標が発表されます。米国では、FRB高官や関係者が金融政策に関する公式発言を自粛する「ブラックアウト期間(19~31日)」に入るのを前に、複数の高官が講演を行う予定です。利下げのタイミング等に関する発言が注目されます。 そして、来週からいよいよ米国企業の25年4-6月期決算発表シーズンが本格化します。LSEGが集計したS&P500指数採用企業のEPS(1株当たり利益)増益率は前年同期比+3.7%と予想されています(7月3日時点)。前四半期(同+11.5%)から大きく減速すると予想されていますが、トランプ関税の影響などを考慮し、アナリストが慎重な見通しを示しているためです。春先以降、米国株のけん引役となってきた情報技術やコミュニケーション・サービスといったハイテクセクターが好業績を維持できるかがポイントになると考えています。 本日、東京市場は株価指数オプション(7月物)の特別清算指数(SQ)の算出日です。また、良品計画などが25年3-5月期決算を発表する予定です。 (野村證券 投資情報部 岡本佳佑) (注)データは日本時間2025年7月11日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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07/10 16:36
【野村の夕解説】日経平均株価は3営業日ぶりに反落 174円安(07/10)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 9日の米国10年国債利回りは低下(価格は上昇)し、外国為替市場では10日の朝9時ごろ1米ドル=146.05円前後と、9日15:30時点の146.99円前後から円高へ進行しました。また10日未明には、トランプ大統領が自身のSNSで、ブラジルからの輸入品に対して50%の関税を賦課すると発言しました。円高進行に加え、米国の関税政策への警戒感が高まり、本日の日経平均株価は前日比25円安の39,795円で始まり、1日を通し軟調な推移が続きました。また日経平均株価の上昇をけん引してきた半導体関連株に利益確定の動きが広がったことも相場の重石となりました。取引時間中に特段の材料もなく、大引けは前日比174円安の39,646円と3営業日ぶりの反落となり取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 トランプ大統領は8日の閣議の中で、EUに新たな関税率を通知するための書簡を送るのは10日になると発言しています。米国の主要な貿易相手の1つであるEUに対する関税率の公表が注目されます。その他、米国では、セントルイス連銀のムサレム総裁、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁がそれぞれ講演を行います。市場でFRBの利下げ再開への期待が高まる中で経済や金融政策の見通しが注目されます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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07/10 08:30
【野村の朝解説】ナスダック総合指数が過去最高値を更新(7/10)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 9日の米国株式市場で主要3指数は揃って上昇し、ナスダック総合指数は過去最高値を更新しました。米財務省が実施した10年国債入札が需要の強さを示す結果となり、金利が低下したほか、エヌビディアの時価総額が世界の上場企業として初めて一時4兆ドルを突破したことなどが好感されました。一方、トランプ政権は新たにフィリピンなど8ヶ国に対して関税率を通知しました。また、6月FOMC議事要旨では、利下げタイミングについてメンバー間で意見の相違があることが示されました。貿易政策及び金融政策の先行きは予測が難しいものの、米国株は上昇が続いており、投資家マインドは堅調のようです。 相場の注目点 トランプ政権が日本に対して8月1日から25%の関税を課すと通告しました。東京市場では交渉期限が7月9日から延期されたことを安堵する声が聞かれていますが、少なくとも7月中は先行き不透明感の強い状況が続くため、予断を許しません。これに加えて、20日に控える参院選がかく乱要因となる恐れがあります。日本政府は選挙終了まで米国側と本格的な交渉を行うことが難しく、さらに選挙で与党が敗北し政権の枠組みが変化した場合は、交渉に関わる閣僚の交代なども想定され、期限までの合意に至らないリスクが高まります。また、7月下旬から本格化する25年4-6月期決算において、関税を巡る不透明感が業績に悪影響を及ぼす懸念が強まれば、日本株が下押しされる可能性もあるとみています。 本日、日本では6月企業物価指数、6月東京都心オフィスビル空室率が発表されるほか、日銀支店長会議が開催されます。また、セブン&アイ・HD、ファーストリテイリングなどが2025年3-5月期決算を発表します。一方、米国ではセントルイス連銀のムサレム総裁、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が講演を行う予定です。 (野村證券 投資情報部 岡本佳佑) (注)データは日本時間2025年7月10日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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07/09 16:32
【野村の夕解説】日経平均株価132円高 関税懸念で4万円届かず(7/9)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 9日の日経平均株価は、米国半導体株高を受けて値がさの半導体関連株式の上昇が寄り付きを牽引しました。寄り付き直後に本日の高値を付けた後は、米国の関税政策への懸念、具体的にはトランプ大統領が銅や銅関連製品への50%、医薬品に関して200%の追加関税を表明するなどが重石となり、日経平均株価はその後上げ幅を縮め、一時前日比115円安まで下落する局面がありました。その後、中国の6月消費者物価指数が発表され、前年比0.1%上昇と5ヶ月ぶりの上昇へ転換したことが好感され、日経平均株価は再び持ち直す動きが見られました。また、外国為替市場において、1ドル=147円台まで進んだ円安を背景に、自動車など一部輸出関連や原油価格上昇からエネルギー関連の株価が堅調に推移し、相場全体を下支えしました。終盤においては、15時に発表された6月工作機械受注の速報で前年同月比0.5%減と9ヶ月ぶりにマイナスへ転じたことに加え、追加の材料もなく参議院選挙や企業決算発表を控えているため、様子見姿勢が広がり、日経平均株価は前日比132円高の39,821円で引けました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 明日の日本では、寄り付き前に6月国内企業物価指数の発表と、9時から日銀支店長会議が行われます。トランプ関税による影響を、企業がどのように評価し対処しているのかに注目です。 (野村證券投資情報部 笠原 光) ご投資にあたっての注意点