特集
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08:05
【野村の朝解説】米国株反発、 高まるFRBの独立性への懸念(8/27)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 8月26日の米国株式市場では、主要3指数が揃って反発しました。朝方発表された7月米耐久財受注などの経済指標は、市場予想ほど落ち込まなかったため、市場の反応は限定的でした。一方、25日夜、クックFRB理事の解任をトランプ大統領がSNS上で公表しましたが、クック理事は自身の解任について「法的根拠はなく、権限はない」、「職務を継続する」とし、法廷で争う姿勢をみせています。FRBの独立性を巡る懸念が相場の重石となりましたが、一方では後任にトランプ氏の求める人物が指名されてFRBがよりハト派的(利下げに積極的)になることを好感する向きもあり、市場の思惑は交錯しています。この日は小幅な値動きが続く中、27日に決算発表を迎える半導体大手エヌビディアや、治験の結果が好感された製薬大手イーライリリーなどが上昇して相場を下支えし、S&P500は後半にかけて上昇しました。 相場の注目点 ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言が9月FOMCでの利下げの可能性を示唆するものとの見方から主要株価指数が大幅上昇した反動もあり、足元で米国株の上値は重くなっています。パウエル議長は講演で「雇用に対する下振れリスクが高まっている」との見方を示したうえで、今後の利下げの道筋はデータ次第であるとの姿勢を維持しました。米国では来週にかけて重要統計の発表が控えており、29日の7月個人消費支出デフレーターや、9月5日の8月雇用統計などに注目が集まります。米国景気の堅調推移やインフレの想定外の加速を示唆する結果になった場合には、9月利下げ観測が後退し、株式市場を下押しする可能性もあります。また、相場の試金石となるのはここ数年の米国株の上昇を支えてきたAIによる成長期待でしょう。27日にエヌビディアが決算発表を予定しており、注目が集まります。 (野村證券 投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2025年8月27日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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昨日 16:18
【野村の夕解説】日経平均株価413円安 FRB理事へ解任通知(8/26)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は、寄り付きから大きく下落し終日軟調な動きとなりました。寄り前に発表された7月企業向けサービス価格指数は、前年同月比+2.9%となり、10ヶ月ぶりに2%を超える上昇率となりました。人件費の上昇をサービス価格へ転嫁する動きが続いています。また、日本時間26日朝方、トランプ大統領が住宅ローン不正疑惑を理由にクックFRB理事の解任を発表しました。クックFRB理事の解任は、FRBの利下げを後押しするとの見方から、米ドル円は一時1米ドル=146円台まで円高が進行しました。輸出関連株を中心に下落幅はさらに拡大し、日経平均株価は一時670円安の42,137円となりました。しかしその後、クック理事は「解任の理由はなく、辞任するつもりはない」と表明したことを受け、米ドル円は寄り前の水準まで戻り、日経平均株価は下げ幅を縮小しました。ただし、米国のインフレ指標やエヌビディアの決算を控える中、買い戻しの動きは続かず、終盤にかけて再び軟調な動きとなり、日経平均株価は前日比413円安の42,394円で取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日米国では、8月消費者信頼感指数が発表される予定です。消費者の景況感など個人消費の先行指標とされるため、注目です。 (野村證券投資情報部 笠原 光) ご投資にあたっての注意点
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昨日 09:30
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(8月第4週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2025年8月第4週(2025年8月15日~8月22日) 2025年8月月間(2025年7月31日~8月22日) 2025年年間(2024年12月31日~2025年8月22日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2025年8月22日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2025年8月第4週(2025年8月15日~8月22日) 2025年8月月間(2025年7月31日~8月22日) 2025年年間(2024年12月31日~2025年8月22日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2025年8月22日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2025年8月22日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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昨日 08:04
【野村の朝解説】米国株は反落、金利上昇が重石に(8/26)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 25日の米国株式市場で主要3指数は揃って反落しました。FRBの利下げ期待を背景に先週末に急伸した反動から、週明け25日のNYダウは反落して始まり、その後は終盤にかけて下げ幅を拡大する展開となりました。ナスダック総合は、27日に決算発表を控えるエヌビディアの上昇が支えとなり、寄り付き後にプラス圏を回復する場面もみられましたが、米金利の上昇が重石となり、終盤にかけて下落に転じる展開となりました。為替市場では米ドルが主要通貨に対して全面高となり、米ドル円は現在147円台後半で推移しています。 相場の注目点 先週は、金融政策の先行きを占う上で注目された「ジャクソンホール会合」で、パウエルFRB議長が利下げの可能性を示唆しました。市場の一部では利下げに消極的な姿勢を示す可能性も意識されていただけに、イベント通過の安心感から先週末の米国株は急伸する格好となりました。米先物金利は2025年9月FOMCでの利下げを8割程度織り込んでおり、9月の利下げ再開はほぼ確実視されています。一方、年内のFOMCは9月16~17日、10月28~29日、12月9~10日の3回が予定されていますが、9月以降の利下げペースに関しては慎重な見方が根強いとみられます。利下げ1回あたり0.25%ポイントとすると、現時点では年内2回程度の利下げが織り込まれており、野村證券でも9月から四半期に1度のペースで利下げが実施されると見ています。FRB内では関税引き上げによる経済や物価への影響に関して見解が分かれていることから、FRBが利下げを急ぐかどうかは今後の雇用および物価指標を見極める必要があります。目先は今週29日発表の7月個人消費支出(PCE)価格指数や、9月5日に発表される8月雇用統計が注目されます。 (野村證券 投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2025年8月26日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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08/25 16:30
【野村の夕解説】日経平均株価は続伸 半導体関連株が上昇をけん引(8/25)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 25日の日経平均株価は、米国の利下げ期待を受けて、値がさの半導体関連株が上昇し、続伸しました。もっとも、円高進行が重石となり上値は抑えられました。22日から開催されていたジャクソンホール会議における、パウエルFRB議長の講演を受けて、米国では利下げ観測が高まり、米主要3指数は揃って上昇しました。また植田日銀総裁の講演では、日銀の利上げ継続期待を維持するものとなりました。米ハイテク株高を受け、25日の日経平均株価は寄り付き後に一時568円高と上昇する場面もありました。一方、外国為替市場において、一時1米ドル=147円10銭台後半と、22日の15:30時点の148円80銭台から円高へ進行したことが重石となり、日経平均株価の上値を抑える動きもみられ、大引けは前日比174円高の42,807円と続伸して取引を終えました。業種別ではAIデータセンター関連とされる電線株が含まれる非鉄金属が上昇し、個別株では、ソフトバンクグループやリクルートホールディングス、アドバンテストといった主要な値がさ株が上昇し、3銘柄で日経平均株価を179円押し上げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日米国では、ダラス連銀のローガン総裁やNY連銀のウィリアムズ総裁などのFRB高官が発言するイベントが予定されています。ジャクソンホール会議を終え、FRBによる利下げ観測が強まる中注目が集まります。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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08/25 08:06
【野村の朝解説】FRB議長講演受けNYダウは最高値更新(8/25)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 22日の米国金融市場では、パウエルFRB議長の発言がハト派的(利下げに積極的)と受け止められ、NYダウは史上最高値を更新、S&P500も6営業日ぶりに上昇しました。パウエル議長は労働市場に関して「奇妙な均衡状態」にあり、「雇用に対する下振れリスクが高まっている」との見方を示したうえで、「基本見通しとリスクバランスの変化が、政策スタンスの調整を正当化する可能性がある」との見解を示しました。市場では9月FOMCでの利下げの可能性を示唆するものとの見方が広がり、米国債市場では短期債中心に金利が低下、米ドルは主要通貨に対して全面安の展開となりました。議長の講演直前に148円台後半で推移していた米ドル円相場は一時2円以上円高・米ドル安が進行し、146円台後半で取引を終えました。 相場の注目点 米先物金利は9月FOMCでの利下げを8割強、年内中に0.5%ポイントの利下げを完全に織り込んでいます。FRBが米国の景気後退を予想する状況にはなく、パウエル議長が示唆した利下げは「予防的利下げ」の色彩が色濃いものだと言えます。このため、29日に発表される7月個人消費支出デフレーターや、9月5日に発表される8月雇用統計を筆頭に、月初の主要統計が米国景気の堅調推移を示唆する結果になった場合には、9月利下げ観測が大きく後退する可能性があります。その場合、足元の高い米国株のバリュエーションを踏まえると、米国株は景気の堅調推移を評価するよりも、利下げ観測後退による金利上昇を嫌気する可能性が否定できません。これらの調整リスクを消化しながら米国株が上昇基調を継続できるかという点からも、引き続き米国の決算動向が注目されます。今週は27日(水)にマグニフィセント7の一角であり、AI業界の重要な試金石として注目されているエヌビディアの決算発表が予定されています。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2025年8月25日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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08/23 12:00
【注目トピック】日本株、史上最高値更新の裏にリビジョン・インデックス
※画像はイメージです。 2025年4-6月期決算ほぼ出そろう 2025年4-6月期決算がほぼ出そろいました。ラッセル野村Large Cap(除く金融)の、営業増益率および経常増益率は事前コンセンサスに対して5%ポイント前後上振れて着地した模様です。 個別企業レベルでは、事前のコンセンサス予想に対して上振れて着地した企業の割合は61%となっています。この上振れ比率は、過去においては概ね50%台後半~60%台半ばで推移しており、今回はほぼ歴史的な平均並みといってよいでしょう。 今回の決算シーズンでは、米国の関税政策の影響の織り込み度合いが注目されましたが、事前コンセンサスに対しやや上振れるという通常通りの着地となり、業績モメンタムの更なる悪化は避けられた格好です。 四半期 業績の推移 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の四半期・増収率および営業増益率、経常増益率の推移。(注2)2025年1-3月期までは実績値で、ソフトバンクグループを集計から除外している。2024年1-3月期以降はさらに公益セクターに属する企業を除外している。(注3)2025年4-6月期は推定で、2025年8月15日までに決算発表を終えた企業を対象に集計している。(出所)野村證券投資情報部作成 4-6月期は製造業中心に大幅減益 2025年4-6月期決算では製造業の多くで減益となりました。業種別の営業増減益寄与額をみると、米国の関税政策の影響が最も大きいとされる自動車の減益寄与額が最大となりました。これに、化学、鉄鋼・非鉄など素材セクターが続く構図となっています。 米国の関税政策の影響が業種により濃淡はあるものの顕在化したほか、前年同期(2024年4-6月期)に比べて約10円/米ドル円高で推移したことも製造業の業績の重荷となりました。また、米国の関税政策の行方の不透明さから、世界的に企業の設備投資が低調であったことも製造業の業績に悪影響を及ぼしました。 一方、内需・サービス系では建設、住宅不動産、運輸など、主にBtoBに属する業態を中心に増益となる業種が多くみられました。事前の市場コンセンサスでは、内需・サービス系の業種のほとんどで、前年同期比で横ばいの利益が見込まれていました。人件費などのコスト増の価格転嫁が想定以上に順調に進んでいると考えられます。 四半期 2025年4-6月期 業種別営業増減益寄与額 (注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の営業利益の、2025年4-6月期・業種別増減益寄与額。2025年8月15日までに決算発表を終えた企業を対象に集計している。(出所)野村證券投資情報部作成 想定以上の改善となったRI 例年4-6月期決算シーズンは、期がスタートして日が浅いことから、会社側が見通し変更する動きは緩慢です。今回は更に、先行きの不透明さから見通しを変更した企業は東証プライム上場企業のうち9.8%と、例年の7割程度です。そのため、より機動的に業績予想を変更するアナリスト予想の動向が注目されました。 アナリスト予想の方向性を示すリビジョン・インデックス(RI)は、2025年6月に-30%を大きく下回る水準に沈みました。米国の関税政策の影響を初めて本格的に織り込んだことがRI悪化の主因です。2012年以降の経験則では-30%を下回るような大幅なRIのマイナスを記録したあと、さらにマイナス幅が拡大することはありませんでした。また、RIのマイナス幅が最大となる時期は、株価の下落が最大となる時期にやや先行、最悪でも一致しています。 2025年8月18日時点で、RIはプラス転換しており、想定以上の回復となっています。足元の株価上昇の背景には、RIの劇的ともいえる回復が大きく寄与していると見られます。 リビジョン・インデックス(RI)と日経平均株価 (注1)赤線は、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の四半期毎(3/6/9/12月月初)のリビジョン・インデックス(RI)。直近値は2025年8月18日時点。(注2)灰色線は、日経平均株価の前年同月比で、四半期毎(2/5/8/11月月末)。直近値は2025年8月20日時点。見やすさを優先して縦軸を制限している。(出所)野村證券投資情報部作成 業績下方修正が続いている点には注意 ただ、RIがプラス転換したからといっても、下方修正が完全に止まったわけではありません。足元のラッセル野村Large Cap(除く金融)の2025年度の予想経常利益総額は6月月初比で下方修正となっています。 ①期初想定よりも5円/米ドル程度円安で推移していることに対応して小幅に業績予想が上方修正される企業が多いためRIはプラス転換したものの、②米国の関税の影響が大きい企業や業種の業績予想修正は続いていることから利益総額では下方修正、という構図です。 株価は、RIに反応して史上最高値圏にあるものの、予想利益水準が切り上がっているわけではないので、バリュエーションは(歴史的には)決して割安とは言えない点には留意すべきでしょう。 予想経常利益の推移と日経平均PER (注1)赤線は、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の2025年度、2026年度予想経常利益額の3ヶ月ごとの推移。予想は野村證券市場戦略リサーチ部による。直近値は2025年8月15日時点。(注2)灰色線は、日経平均株価の12ヶ月先EPS基準予想PERの月次の推移。なお、予想12ヶ月先EPSは、今期の残存期間に応じて、今期/来期の予想EPSを時間按分したもの。予想は東洋経済新報社。直近値は2025年8月18日時点。 (出所)日本経済新聞社、東洋経済新報社、野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト伊藤 高志 ご投資にあたっての注意点
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08/23 09:00
【オピニオン】米国株:拡張的財政政策と利下げを好感
※画像はイメージです。 米国株式市場では2025年8月、S&P500やナスダック総合が史上最高値を更新しました。背景には、それほど景気が悪くない中で、7月に成立したトランプ減税法(OBBB法)により財政政策がより拡張的になると見られることに加えて、過去に見られたビハインド・ザ・カーブ(金融引き締め解除の遅れが景気後退を招き、遅れて急速な利下げが行われること)の懸念が後退したことも要因と考えられます。 過去の利下げ局面と比べて、利下げペースは緩やかです。今回のFRBによる利下げ局面では、24年9月の会合で0.5%ポイント、以降2会合連続で各0.25%ポイントの利下げが行われた後、25年7月まで5会合連続で政策金利は据え置かれています。25年6月のFOMCで示された参加者による経済見通しの中央値では、25年末までに0.5%ポイント、26年に0.25%ポイント、27年に0.25%ポイントの利下げが示されました。 米国政策金利とS&P500騰落率(前年同月比) (注)データは月次(月初値)で、直近値は2025年8月1日時点。米国政策金利はFF(フェデラル・ファンド)金利で、2008年12月以降は誘導目標の上限金利。薄い灰色の網掛けは全米経済研究所の定義による景気後退期。矢印は急速な利下げと株価の下落が同時に起こった時期を強調。2025年6月FOMCでの見通しは25年末、26年末、27年末の値(2025年6月18日時点)。(出所)全米経済研究所、LSEGより野村證券投資情報部作成 コロナ禍では、景気対策としてゼロ金利政策を含む緩和的な金融政策に加えて、拡張的な財政政策が大規模に行われました。その後、これらに加え、供給制約によるインフレが顕在化し、一転して引き締め的な金融政策とコロナ禍中よりは緊縮的な財政政策が採られました。現在では、インフレがピーク時から低下し、また、求人件数や住宅在庫がコロナ禍前の水準に回復しつつあることなどから、コロナ禍からの出口戦略のソフトランディング(=軟着陸)が確認されつつあります。ただし、トランプ政権2期目の財政政策が拡張的になるとみられていることから、金融政策はやや慎重になっていると考えられます。 トランプ大統領は2期目の就任以降、FRBによる政策金利の据え置きに対する批判を繰り返し、25年7月22日にはパウエルFRB議長の辞任要求を撤回した一方、政策金利を3%ポイント引き下げて1%にすべき、と発言しました。また、ベッセント財務長官は8月13日に現在の経済環境では1.50~1.75%ポイントの利下げが望ましい、と発言しました。 FRBが利下げを急がない理由は、関税率引き上げによる(単年度の)インフレ率上昇や、トランプ減税による拡張的な財政政策の景気への好影響、と考えられます。従来は、①拡張的財政政策による景気過熱、②政策金利の高止まりによる景気悪化、のどちらが優勢かで株式市場参加者の見方が分かれていました。現在は、利下げ再開による丁度よい経済環境の継続を織り込み始めたと考えられます。 ご投資にあたっての注意点
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08/23 07:00
【来週の予定】FRB高官発言、日本の7月生産、ECBの7月議事要旨
8月22日(日本時間23時)にパウエルFRB議長の講演を控えて、前週の金融市場は様子見の色濃い展開となりました。FRBが年内中に利下げを再開すると予想される中、市場の関心は2026年の利下げペースとパウエル議長の後任人事に移行しつつあります。FOMCにおける政策判断に際しては、議長・副議長を含む7名の理事とNY連銀総裁に加え、4名の地区連銀総裁が輪番で投票権を有しています。現時点で利下げを主張しているFOMC委員は2名であり、辞任したクグラー理事の後任を含めても、人事だけで政治が金融政策に介入する余地は限定的です。各委員の政策判断の変化が注目されます。 今週はダラス連銀ローガン総裁、NY連銀ウィリアムズ総裁、ウォラーFRB理事の講演が予定されています。ウォラー理事は早期利下げを支持する姿勢を明確にしていますが、残り2名は7月FOMC直前に利下げに慎重な姿勢を示していました。その後の景気動向を踏まえた政策判断の変化の有無が注目されます。 経済指標では25日(月)の7月新築住宅販売件数、29日(金)の7月個人消費支出・所得統計が注目されます。特にFRBは食品・エネルギーを除いたコア個人消費支出デフレーターをインフレ指標に位置付けているため、関税の影響の有無が注目を集めそうです。 日本では28日(木)に中川日銀審議委員の講演が予定されているほか、29日(金)には8月東京都区部消費者物価指数、7月鉱工業生産が発表されます。7月の貿易統計は関税の影響が自動車・同部品を中心に及んでいることを示唆する結果だったことから、生産実績に加え、業種ごとの生産計画が注目されます。 欧州では28日(木)に7月ECB金融政策理事会の議事要旨が公表されます。ECBは2024年6月以降、累計8回の利下げを講じてきましたが、25年7月には利下げを見送り様子見姿勢に転じています。利下げ再開の条件等が示唆されるかが注目点です。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年8月22日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点