Q:「スウィフトフレーション」は本当か?

テイラー・スウィフトなど世界的に有名なアーティストのコンサートチケット代が高騰しており、一部では「スウィフトフレーション」などと呼ばれています。テイラー・スウィフトの影響が国のインフレ率にまで及ぶことはあるのでしょうか?

A:FRBも注目のトピック、実際の影響は局所的

テイラー・スウィフトのコンサートの活況は、コロナ後の経済再開に伴う個人消費の回復を象徴する面がありますが、全体から見れば局所的な影響に留まっていると推察されます。

消費者物価指数(CPI)で確認すると、コンサートを含む入場料・それに付随して影響を受け得る運賃・宿泊料は、コロナ以降昨年まで加速しましたが、それ以降は徐々に減速傾向を辿り、足元では上下を繰り返している状態です。昨年までは経済再開に伴い個人消費が急増し、その影響で価格が急上昇しましたが、その後徐々に正常化しつつある状況です。もっとも、これらの項目がコロナ以前の伸びへと回帰・定着したかを確認するにはまだ時間を要する見込みです。

最近では、FRB(米連邦準備理事会)の各連銀が担当地区の経済概況を示すベージュブックにおいて、テイラー・スウィフトのツアーによりフィラデルフィア地区の経済活動が観光業を中心に押し上げられた旨の記載がありました。もっとも、テイラー・スウィフトのツアーは2023年3月~8月に行われているため、経済への影響は各地区・各時期に分散して表れていると推察されます。個人消費全体への影響という点では、過剰貯蓄の解消や貸出の減速といった要素が重要と見込まれます。

(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成

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