9月14日(木)、ソフトバンクグループ傘下のアーム・ホールディングスが米国ナスダック市場に上場を果たしました。同日の終値は63.59ドルで、売り出し価格の51ドルと比べて25%高く、上場は成功裏に終わったといえそうです。

日本の株式市場でも、親会社のソフトバンクグループが前日比2%上昇したほか、東京エレクトロンや信越化学工業も上昇しています。

アーム・ホールディングスはイギリスに本籍を置く半導体設計企業です。この記事では、「半導体設計」が半導体産業の中でどのような役割なのか、設計業界にはどんなプレイヤーがいるのかを確認しましょう。

ファブレスと呼ばれる半導体設計企業

半導体メーカーのうち、工場(ファブ)を持たないメーカーは「ファブレス」と呼ばれます。ファブレスは、製品である半導体の用途に応じて、企画・設計・開発を行います。ファブレスは、生産を「ファウンドリー」と呼ばれる生産工場を持つメーカーに外部委託します。ゲームやAI向けGPU(画像処理チップ)などを手掛けるエヌビディアなどはファブレスです。また、PC向けやデータセンター向け半導体の大手企業であるインテルは、ファウンドリーを別事業部として独立させることを発表しました。

IPベンダーは、半導体の「設計図」を提供

IPは、Intellectual Propertyの略で、半導体業界では「設計に関する機能単位でまとまった回路情報」を指します。IPベンダーは、実際に稼働が確認されているIPや、IPを組み合わせた製品の設計図をファブレスに提供します。IPベンダーは、IPのパッケージに対するライセンス収入や最終製品一つ一つに対するロイヤリティ収入を売上高として計上します。

EDAベンダーは、IPやAIを利用した「設計ソフト」を提供

EDAは、Electronic Design Automation(電子設計自動化)の略で、EDAベンダーは、IPやAIを用いた半導体設計ソフトウェアをファブレスに販売します。様々な機能を持ったIC(集積回路)や、複数のICを組み合わせた大規模なSoC(システム・オン・チップ)などは近年複雑化・微細化しており、設計には効率的なソフトウェアの使用が必須となっています。このため、半導体設計ソフトウェアへの参入障壁は高くなっています。

IPは、IPベンダーだけでなく、ファブレスやEDAベンダーも保有しており、それぞれの企業の強みとなっています。

「半導体株」と一括りにされがちな半導体産業の企業群ですが、同じ株価材料であっても各企業への影響には濃淡があります。投資先の企業をより深く知るためにも、その業界における役割を理解して投資をすることは重要といえそうです。

ご投資にあたっての注意点