※2023年11月16日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

保ち合い突破となれば35,000円が次の上値メド

今週の日本株は、米国長期金利が低下したことなどを好感し、グロース株を中心に上昇しました。

日経平均株価のこれまでの動きを振り返ってみましょう。日経平均株価は、10月30日安値(30,538円)形成後に大幅上昇となりました(図1)。

11月6日に①10月に上値抵抗となってきた75日移動平均線(11月16日:32,166円)を上抜けたことに加え、②10月13日高値(32,533円)を超え10月4日・30日安値でのダブルボトムが完成となったことから、本格的な上昇トレンド入りとなってきたと捉えられます。

15日には今年最大の上昇幅(前日比)で33,500円台にのせており、この先、急騰の反動をこなしつつ、まずは中段保ち合い上限である9月15日高値(33,634円)や、6月19日高値(33,772円)の突破へ向けた動きとなると考えられます。

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(注1)直近値は2023年11月16日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

また今回の中段保ち合い上限への接近は、下落率や調整期間の点で2020年6月~10月末の中段保ち合い時と比較して調整十分となった後の上限接近です(図2)。上限突破となる可能性も十分考えられ、次の上値メドとして心理的フシの35,000円の水準が挙げられます。

(注1)直近値は2023年11月16日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

一方で、上昇一巡後に押しを入れる動きとなった場合は、11月6日上抜け後に下値支持線として機能した75日移動平均線(11月16日:32,166円)や、上向きに転じた25日線(同:31,914円)が下支えとなると期待されます(前述:図1)。

米国長期金利低下、5%で天井形成の確度高まる

米国で長期金利が低下しています。米FRBが2022年3月利上げ開始以降初めて2会合連続で利上げを見送り、その後10月の消費者物価指数が市場予想を下回ったことを受けて、10月に一時5%にのせた米国10年債利回りは4.5%を下回る水準まで低下しました(図3)。

では米国10年債利回りは10月ピークの5%の水準で天井をつけたのでしょうか。チャート面でみると当面の天井をつけた可能性が高いと考えられます。まず、2020年3月ボトムから今年10月ピークまでの上昇期間は、これまでの中長期的な金利上昇期間を大幅に上回っており、その点からいつ天井形成してもおかしくない状況にあったと捉えられます。その中、11月の利回り低下によって、これまで下支えとなってきた今年7月以降の上昇トレンドラインを割り込みました。今年4月以降の上昇局面が終了し、10月ピークで当面の天井を付けた可能性が高まったと考えられます。

(注1)直近値は2023年11月14日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。
 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

一方で、2020年ボトム形成後の中長期上昇局面では数ヶ月単位の利回り低下の動きはみられましたが、12ヶ月移動平均線前後の水準から切り返してきました。先行き、12ヶ月線(11月13日:3.973%)を下放れとなれば、年単位の利回り低下トレンド入りした可能性が高まったと捉えられます。 

(投資情報部 岩本 竜太郎)

※画像はイメージです。

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