米国:2023年7-9月期決算レビュー

23年7-9月期は前年同期比3.4%増益

11月3日までにS&P 500 指数構成企業のうち402社が、2023年7-9月期決算(2023年6-8月期決算企業も含む)を発表しました。LSEG(旧調査会社リフィニティブ)の集計では、同期のEPS(1株当たり利益)は前年同期比+3.4%の57.93ドルと予想されています。

今回の決算発表シーズンが始まる直前の10月6日時点の集計では、前年同期比-0.4%の55.78ドルと予想されていました。

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2023年7-9月期は、純利益の決算実績が、事前のアナリスト予想を上回る企業の比率(ポジティブサプライズ比率)が、直近4四半期平均、長期平均を上回っており、上記のような結果につながったと考えられます。

年度EPSは引き続き増益基調予想

アナリストの業績予想の修正状況を示すリビジョンインデックスをみると、社数では上方修正よりも下方修正が多い状態が続いています。

次に、年度ベースでのEPS予想についてみると、2023年は前年比微増益となっていますが、 2024年、2025年と増益が予想されています。なお、2023年は10月6日時点と比べほぼ変わらずとなっていますが、2024年、2025年については下方修正されています。

決算実績は事前予想を上回る企業が多かったものの、足元の経済環境や地政学的リスクの高まりなどを受けて、2024年以降については、増益基調とみているものの、慎重に見直しているアナリストが多いものとみられます。

今後の留意点

S&P 500 指数構成企業の四半期EPSは、2022年10-12月期から3四半期連続で前年同期比減益となっていました。約8割の企業が決算発表を終えた段階で、2023年7-9月期は増益見通しとなっていて、2023年10-12月期以降も増益が続く予想となっています。米主要企業の業績は減益局面を脱したと推察されます。

今後は、小売企業やソフトウェア企業などの2023年8-10月期決算の発表が始まります。これら企業の決算では実績に加え、今後の会社見通しなどを通じ、企業業績の動向を確認していきたいと考えます。

(野村證券投資情報部 村山 誠)

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