※画像はイメージです。

※2024年5月16日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

中期的に再び史上最高値を視野に入れる動きとなるか

今週の株式市場は、米金利低下を背景に米国株が上昇し史上最高値を更新したことなどを好感し、日経平均株価は堅調に推移しました。


チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、4月19日安値(36,733円)形成後に反発となり、75日移動平均線(5月16日:38,568円)を挟んでの値動きが続いています。ただ、5月16日の上昇で、これまで概ね上値を抑えられてきた25日移動平均線(同:38,409円)を上回り、75日線の上に再浮上してきました。
この先、これら移動平均線超えを維持できれば、4月12日戻り高値(39,774円)や、心理的フシの4万円の水準へ向けて戻りを試す動きとなると考えられます。


一方、目先の戻りが鈍く25・75日線を割り込み、さらに調整が続く場合は、4月19日安値(36,733円)に向けて再度下値を固めにいく展開が想定されます。

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(注1)直近値は2024年5月16日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

次に中長期的な動きを確認してみましょう。今年4月安値にかけての調整は、長期上昇トレンド内の一時的な調整である可能性が高いと考えられます。前回の一時的な調整局面に当たる23年7月高値から10月安値にかけての下落率は9.6%(終値ベース)でしたが、今回の下落率は4月19日安値時点で9.3%(同)に達しており、値幅調整は概ね十分と言えます。


一方、下落期間(日柄)の面では調整不足は否めず、この先しばらく戻りを抑えられる場面もありそうですが、先行きは再び史上最高値を視野に入れる上昇になると考えられます(図2)。

(注1)直近値は2024年5月16日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成

NYダウ/ナスダック総合指数 史上最高値更新

米国株は、今年3月高値形成後に、利下げ時期の先送り観測や地政学リスクの高まり等から、4月安値にかけて押しを入れる動きとなりました。しかし、米FOMC後の記者会見等を受けて、FRB内で利上げ議論が高まっていないとの見方が広がりました。さらに5月15日に発表された4月の米消費者物価指数でインフレ鈍化が示されたことにより、利下げ期待が高まり株価は大幅上昇となりました。この結果、NYダウやナスダック総合指数は史上最高値を更新しました(図3、図4)。

(注1)直近値は2024年5月15日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成

(注1)直近値は2024年5月15日。(注2)トレンドライン等には主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成

今後も利下げ時期をめぐって神経質な展開は続くと考えられますが、チャート分析の観点からみれば、株価の長期上昇トレンド自体は継続すると考えられます。

過去のNYダウの長期上昇局面を分析すると、2009年安値形成後に5回(図5:図中①~⑤)の上昇局面がありましたが、コロナショックで高値形成となった局面(同:④)を除けば、株価は安値から1.7~2.0倍となりました。

(注1)直近値は2024年5月15日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。
(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成

それに対して今回の上昇は、今年5月高値にかけて1.4倍の上昇に留まっています。仮に、最低の上昇倍率である1.7倍を適用すると48,832ドルと試算され、今後も上昇の余地があると考えられます。また、ナスダック総合指数についても同様の傾向が見られます。

長期トレンド上で、NYダウやナスダック総合指数の上昇余地があると考えられる中、米国企業業績も2025年にかけて二桁増益(市場予想ベース)が期待されており、2022年下半期から始まった長期上昇トレンドは今後も持続する可能性が高いと考えられます。

(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)

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