
(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
27日の米国株式市場では主要3指数が揃って上昇し、S&P500、ナスダック総合はいずれも史上最高値を更新しました。大型ハイテク株が株高をけん引しました。背景には中東を巡る地政学的リスクの緩和等があったとみられます。米国債市場ではFRBがインフレ指標として重視しているコアPCE(食品・エネルギーを除く個人消費支出)デフレーターが市場予想を上回ったことを受けて長期債主導で金利が上昇し、市場の利下げ観測はやや後退しました。為替市場ではトランプ大統領がカナダとの貿易交渉を全て打ち切ると表明したことからカナダドルが米ドルに対して下落、豪ドルや円も小幅安となった一方で、欧州通貨は上昇するなど、G10通貨の中で明暗が分かれました。
相場の注目点
7月上旬には米国の財政政策、通商政策を巡る重要日程が控えています。米上院本会議は28日深夜、4.5兆ドル規模の減税を盛り込んだ税制・歳出法案の審議を開始する動議を賛成多数で可決しました。トランプ大統領が7月4日までの成立を指示していることから、上院共和党指導部は法案を早期に可決し、下院が同法案を7月3日までに採決できるようにしたい意向です。仮に夏季休暇前に同法案が成立する目途が立たない場合には、連邦政府の債務上限の引き上げ措置だけを切り出し、先行して成立させる必要があります。通商政策面では7月9日に相互関税の上乗せ分の停止期限を迎えます。トランプ大統領はそれまでに一部の国・地域に対する関税を引き上げる構えを示しています。一方、ベッセント財務長官は「通商協議は9月1日までに決着する可能性がある」との見解を示し、一時停止措置を延長する可能性があることを示唆しています。市場では通商協議が継続する間は停止期限が延長されるとの見方が優勢であり、市場の安定化に寄与していると見受けられます。
(野村證券 投資情報部 尾畑 秀一)


(注)データは日本時間2025年6月30日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。